この口コミは、Sanurai Jさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら
利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。
問題のある口コミを報告する
-
昼の点数:4.1
-
¥15,000~¥19,999 / 1人
-
-
料理・味 4.0
-
|サービス 4.0
-
|雰囲気 4.5
-
|CP 3.7
-
|酒・ドリンク 3.7
-
-
[ 料理・味4.0
-
| サービス4.0
-
| 雰囲気4.5
-
| CP3.7
-
| 酒・ドリンク3.7 ]
地産地消の高み
-
イケチョウガイの吸い物
{"count_target":".js-result-ReviewImage-245017486 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-245017486","content_type":"ReviewImage","content_id":245017486,"voted_flag":false,"count":1,"user_status":"","blocked":false}
-
鮒の刺身
{"count_target":".js-result-ReviewImage-245017498 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-245017498","content_type":"ReviewImage","content_id":245017498,"voted_flag":false,"count":1,"user_status":"","blocked":false}
-
鮒寿司茶漬け
{"count_target":".js-result-ReviewImage-245017514 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-245017514","content_type":"ReviewImage","content_id":245017514,"voted_flag":false,"count":1,"user_status":"","blocked":false}
-
酒粕のアイスクリーム
{"count_target":".js-result-ReviewImage-245017542 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-245017542","content_type":"ReviewImage","content_id":245017542,"voted_flag":false,"count":1,"user_status":"","blocked":false}
2024/05/11 更新
既に名店としての評価は確立されているこちらのお店。
ただ、妻が発酵食材をやや苦手とする事もあり、今まで訪問を逡巡していたのだが、GWのこの
機会に思い切って訪れてみた。
結論から言わせてもらうと、興味深くも美味なお料理の数々で、夫婦揃って楽しい時間を
過ごさせて頂いた。
代々続く鮒寿司の名店をオリジンとする食材への矜持、そして本当の意味での地物湖産食材への
拘りが見事に昇華されたお食事の数々だった。
少々長くなりますが、印象に残ったお料理を幾つか。
・八寸にあった鮒寿司の飯(いい)を口にした途端、私より先に妻が「うわ、うまっ!」と
小声で叫ぶ。魚治さんの二年物(こちらのお店で経験的に培った食べ頃のベストタイミングが
約二年となったとの事)の凄さにまずやられる。氷魚(鮎の幼魚)の和え物も非常に良い塩梅
の調味で、実力の高さがうかがえる。鮒寿司の粕漬は初めてだったが、これも成程とうなずいて
しまう物。この時点で妻への心配は不要となる。
・椀物:イケチョウガイの出汁と春野菜、黄身真丈
淡水真珠を産みだすイケチョウガイ、もうこれ以上真珠は育たないとなった老貝の身を出汁に
した椀物。流石に初めて口にする物だったが、想像を超えて淡く上品な旨味の吸い地に仕上げて
ある。こんな味になるとはちょっと想像できない。
・鮒の刺身真子和え:
岐阜の人間である自分にとって、真子を和えた鮒の刺身自体はそう珍しい物ではない。が、
こちらの物は文字通り「物が違う」。真子はくっきりと大きく旨味もあり、二杯酢と山葵で
頂くその刺身は極めて上等な味わい。同じ淡水魚の鮒とは言っても、水深20M付近の物は
こういうお味になるのだ、と感心。美味い。
・鮒寿司の飯(いい)をクリームソースに見立てたパスタは定番の一つのようだが、残った
ソースをトーストされたバケットに付けて頂いた時の感動が更にそれを上回る。これこそが
正しい食べ方なのだ、と断言出来る程の相性だった。
・箸休め代わりに供された小さな器に入ったお吸い物。上品かつ切れ味鋭いお出汁に、ひたひたに
柔らかくなった鮒寿司の頭の部分が入っている。お出汁を飲みながらその頭を味わう。
美味くない訳がない。鮒寿司の塩味と酸味と出汁のバランス、見事としか言い様がない。
・琵琶湖の小鮎の天婦羅:
小鮎の天婦羅もそう珍しい物ではないのだが・・いや、美味い。こんなにふんわり、かつ
上品な旨味を持つものか。語弊を恐れず言えば、上等なモロコとシロギスを足して二で割った
様な味わいだった。良い意味で鮎っぽさを感じない。今までに味わった類似の物ではベスト。
・ここまで来ると、締めのお食事の「鮒寿司茶漬け」、もう食べる前から美味い事は判っている。
果たして美味であった。他店のレビューでも書かせて頂いたが、こうした熟れ寿司を最も
美味しく頂く方法の一つはお茶漬けなのだが、それが非常に高いレベルで昇華された逸品。
出汁と鮒寿司のバランスが素晴らしい。
・水菓子:酒粕のアイスクリームと朝獲れのイチゴ
酒粕を使用したアイスクリーム、或いは鮒寿司の飯(いい)を使用したデザート類なども、
昨今口にする機会は無いではない。が、こちらの酒粕を使ったアイスクリームは、これまで
食してきた類似の物とは一線を画す完成度である。アイスクリームと酒粕のバランス、あくまで
スイーツである事から外れないその着地点。コースの最後を感動で締め括る事が出来た。
聞けば、試行錯誤の末、食前酒でも出されていた発泡日本酒の酒蔵である富田酒造さんの酒粕が
ベストマッチとなる事に気付かれたそう。
食材の良さ・珍しさだけでなく、料理人としての確かな実力、そして調理のバランス・完成度に
腐心されているからこその美味なお料理の数々。本当の意味での地産地消を体現されている、
数少ないお店の一つと言えよう。
コースの途中に、安易に近江牛等の肉料理を出さない所にも店の在り方としての矜持・覚悟が
うかがえる。お若い方には、判り易い満腹ボリューム感に若干欠ける事から、CP的に逡巡する所が
あるかも知れない。が、一通り食の世界を巡った方には大変興味深いお店の一つとなる事は間違い
ないと思う。
食味+存在意義、そして風景の見事さも含め、総合☆点数4.1とさせて頂いた。
琵琶湖の自然や食材に関する興味深いお話も色々と聴かせて頂き、大変有意義な時間でもあった。
また違う季節に、違う湖産食材でのお料理を是非口にしたいと思う。