3回
2017/05 訪問
2017年5月16日(火)のランチで訪問
この日はずいぶん前から有給休暇を取得していた。しかし、体調が悪くなってしまったので、結果としては療養のための1日となった。ずいぶん前から有給休暇を取得したのは、「ラ ヴィオレッタ」の予約が取れたからだった。
今年度は、毎月一日以上は有給休暇を取得することに決めた。与えられた仕事が免除されるわけではないので、始業前か終業後に調整することになるのだが、それでも毎月一日以上は休妻日を設けようと決めたわけだ。妻からすると、私は必ずしも望まれる存在ではなく、むしろ食事など気を使わなければならない存在であり、そのようなことがないように「ラ ヴィオレッタ」を予約したのだった。
このお店は無料で個室を利用できるのがありがたい。他の来店客に気兼ねすることなく食事を楽しむことができる。
Pranzo A2,800円を注文した。
Antipasto
師崎産真鯛のカルパッチョ 新玉ねぎのソース
真鯛は鮮度が高くて上質なものだったが、主役以上に脇役のほおずきトマトがびっくりするほど甘くて驚いた。
真鯛のドレッシングは清涼感のあるもので、新玉ねぎのソース、からすみ、バルサミコ酢などでプレートを彩り、見た目が鮮やかで食欲をそそる前菜だった。
師崎産天然すずきのグリル 焦がしバターとフレッシュトマトソース
皮目がパリッとして身はふっくら、すずき本来の美味しさだけを感じるもの。
シェフの技量を感じられる一品。たいていの西洋料理店の魚料理は、和食の煮魚や焼魚に及ばないと感じるが、このお店の魚料理は、魚の美味しさを引き出しているように感じられた。
Primo Piatto
リングイネ(駿河湾産生桜えびと師崎産ダルマイカ)
しっとりと滑らかな食感のリングイネ。桜えびの香ばしい風味、春菊の苦味がたまらない一品。不漁と言われているのにダルマイカ(剣先イカ)を使うところが流石だ。ダルマイカがふっくらとして、他の食材との食感のバランスが取れていて美味しかった。
スパゲッティ(「佐野農園」さんのフルーツトマトと水牛モッツァレラ)
フルーツトマトとモッツァレラという定番中の定番のシンプルなパスタ
シンプルなパスタだけに、フルーツトマトの自然な甘み、モッツァレラの柔らかい食感を味わうことができるもの
DOLCE
アカシア蜂蜜パンナコッタ ロイヤルミルクティーのジェラート添え
プレートの中央にパンナコッタ、ロイヤルミルクティーのジェラートを配し、プレートの周りを蜂蜜、ベリー、ナッツ、ミントなどで鮮やかに彩ったドルチェ
蜂蜜、ベリー、ナッツなどをパンナコッタに落とし込んで一緒に食べると、これが美味しくてドンドン食べ進めてしまった。
見た目のインパクトに意表を突かれたが、味も満足できるものだった。
祖父江産 平飼い自然卵のカタラーニャ きび砂糖のキャラメルジェラート添え
エスプレッソ
びっくりするほど苦いエスプレッソ
コーヒー
前回の前菜の「北海道産 白子のソテー 焦がしバターとトマトフレッシュソース」、「北海道産帆立貝 エストラゴン風味のクリームソース」ほどのインパクトはなかったが、単に食材の好みによるもので、シェフの技量、創造性は素晴らしく、この日の料理も充実したものばかりだった。
2017/05/20 更新
2016/12 訪問
実直なシェフが創り出す満足感いっぱいのイタリアン
2016年12月28日(水)のランチで訪問
ラ ヴィオレッタ(La Violetta)を訪問した。このお店は金城学院高校西側の一方通行の道路に面しており、気づかれにくい立地にある。この日は個室を予約していた。個室料を取らないところが良心的だ。
Pranzo A2,800円、こだわりの白ぶどうジュース500円(いずれも税込)を注文した。
Antipasto
北海道産 白子のソテー 焦がしバターとトマトフレッシュソース
上質な食材を使って、技量の高い料理人が腕を振るったことがわかる一品。白子は一切のクセがなく、とろーっとした食感。火入れ具合が見事で、白子に香ばしさをまとわせ、ソースが白子の美味しさをさらに引き立てていた。
絶妙なかたさを保った大根は、旨味を吸い込んで、次元の違う味に生まれ変わっていた。
北海道産帆立貝 エストラゴン風味のクリームソース
上質なホタテに、シェフが手を加えた後、火を通してソースと合わせた一品。食材、シェフの技術、ソースのすべてが素晴らしい料理だ。
クリームソースは乳臭さを感じることがあり、魚介類とは相性があまりよくないと思っていたが、このお店のクリームソースは別次元のものだ。乳臭さはなく、ホタテの味を引き立たせるものだった。エストラゴン自体の風味を知らないが、エストラゴンによるものだったのかもしれない。
Primo Piatto
スパゲッティ 三河湾産 白魚とサルディーニャのからすみ
一般的なお店よりもボリュームがあるパスタ。白魚、ルッコラ、からすみを使ったものだが、一体どこから旨味を引き出しているのか感心してしまう。次元の違うパスタを食べたときに感じることだが、家庭のパスタと違ってスープがほとんどないのにしっかりと美味しさを感じるのだ。
リングイネ ズワイガニと桜海老のトマトソース
ずわい蟹と桜海老の美味しさ、旨味がギッシリと詰まったパスタ。
この手のパスタは失敗すると魚介のクセを感じることがあるが、「ラ ヴィオレッタ(La Violetta)」については、そうした心配は不要だろう。
とにかく美味しいが、妻に選ばれてしまったので、少量しか食べられなかったのが残念だった。
Dolce
ラムレーズンのパルフェ あんぽ柿添え
ラムの風味を強く感じるパルフェ。パルフェは、アイスクリームのことらしい。
ちょうど良い柔らかさの柿が添えられ、柿とパルフェの甘さのバランスが取れていた。
ボネ(ピエモンテ風チョコレートプリン)きび砂糖のキャラメルジェラート
アマレッティを加えたボネの上にキャラメルジェラートを据えたもの。甘さ控えめのボネとキャラメルジェラートと上品な甘さとの調和が取れた一品。シェフの味のバランス感覚が素晴らしいと思わせるもの。
エスプレッソ
厳選した食材を使って、その食材にシェフがしっかりと手を加えたことが伝わってくるもので、前菜、メイン料理ともにシェフの技量を感じる料理だった。
前菜は、主菜と錯覚を覚えるようなドッシリとした料理で、パスタはボリューム満点だった。前菜に使われていた白子、ホタテはそれ自体が上質だったが、合わせたソースが食材の味を引き立たせるもので、意味のあるソースだった。
新鮮な魚介類を使った料理の素晴らしさは、「クッチーナ イタリアーナ ガッルーラ」を思い出させるもので、それぞれの料理の器にもこだわりを感じた。
シェフ自らが料理説明をしてくれたが、丁寧で実直な人柄を感じた。一つひとつの料理に手を抜くことなく向き合わなければ、これだけの素晴らしい料理にはならないだろう。現在のところ、お値打ちな値段での提供であり、ぜひ再訪したいと思った。
2016年は県外出張もほとんどなく、これだと思うお店は少なかったが、今年も残り数日となって、「マイ☆ベストレストラン2016」入りが有力なお店に出会うことができた。
2017/06/10 更新
2018年8月21日(火)のランチで訪問
妻の誕生日祝いで「ラ ヴィオレッタ」を訪問した。
「Pranzo B」4,500円、グラス スパークリングワイン1,000円、長野県産 こだわりの白ぶどうジュース600円(いずれも税込)を注文した。
値段が安くても美味しい料理を提供するお店はたくさんある。しかし、料理が美味しいうえに、芸術性、創造性があって、雰囲気のあるお店は限られるだろう。そうした要素を求めるには、それなりの対価を支払わなければならないが、「ラ ヴィオレッタ」は良心的な値段で期待に応えてくれるお店だ。
料理は素晴らしい食材を使っていることが分かるものだ。料理の色彩は豊かで、料理を引き立てる色と質感の器を使ったもので芸術性の高い料理だ。
前菜の「さわらのグリル 焦がしバターソース」は、さわらが美味しいのは言うまでもないが、なめらかなマッシュポテトが、ややフレンチを感じるもので、品のよいバターの風味を感じるもので印象に残った。
「スパゲットーニ 浜松産フルーツトマト、フレッシュモッツァレラ」は、びっくりするほど甘いフルーツトマトだった。家庭料理では、フルーツトマトをサラダで使うという発想はあっても、パスタのソースに使おうとの発想には結びつかない。熱を加えることで甘味をさらに感じられるようで、これほどまで甘みを感じるトマトソースは初めてのことだ。
「鹿児島県鹿屋ふくどめ小牧場さんの豚「純血チンタセネーゼ」のグリル」は、かなり脂肪の少ない筋肉質な豚肉のグリルだった。
「青トマトの自家製コンフィチュールとフロマージュブラン、無花果」は、トマトをドルチェに使う発想と、コンフィチュール、香り高いフロマージュブラン、無花果の一体感に驚きを感じた。
「シチリア島産ピスタチオのパルフェ南信州の梨」は、ピスタチオを感じるアイスクリームを使ったもの。妻はきな粉のような味と形容していたが、どちらも種実類であり似通った味といえるだろう。
このお店の料理は、メイン以外は魚が主体であり、料理の力強さというよりは料理の繊細さを感じられるもので、シェフの料理に対する考えや主張が伝わってくるものだ。料理を食べ終えると、お腹はいっぱいになっても重苦しくなることはなく、満足感や幸福感が余韻として残った。