7回
2023/05 訪問
明治からの精霊が潜む老舗の鏡
月曜日の夜です。
銀座です。
今夜は凡そ三年ぶりのこちら、二葉鮨さんにお伺いしました。
ひとり呑みにピッタリの隠れ家ですが、今夜はシバ犬のようなモフモフ笑顔がカワユイ、フォロワー女子とご一緒します。
年明けから、お鮨、中華、懐石、イタリアンときて、今夜が五回目の逢瀬。ご希望をお伺いすると、フレンチをパスして『お鮨を好いとぉよ〜』と、博多弁でつぶやきます。
オッフゥ、オッフッフフフ、ハート、瞬殺\(//∇//)\
仕方あるまい。
ラッコも必殺技をお見せするか、ということで暫く隠しておいた二葉鮨さん。
三原橋のたもとで六時に待ち合わせ、二人して暖簾をくぐります。
すでに仕事関係なのかな、四人のオヤジ様が歓談中。ラッコ達二人はその対局のカウンター奥に座って、小瓶のアサヒで乾杯します。
こちらは撮影禁止なので、写真は掲載できませんが、その分いつもより長めの駄文で紹介しますので、のんびりとお読みいただければ幸いです。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
こちらには創業時(1877)からの精霊が潜みます。
柱の影にも黒漆の付け台にも、時間を十分ほど進めた大きな丸時計の針の上にも・・・
時間だけが醸したこの絶妙な空気の波に漂う、ラッコとシバ犬。
つまみも握りもお好みオッケーだし、何より一斉スタートでも回転制でも無く、ただただ客のペースで好きなだけ楽しめば良し。
少なくなりましたね、こちらのような昔ながらのお鮨屋さん。
<つまみ>
あまりにも心地良いので、ついついつまみを頼み過ぎてしまいます。何だか居酒屋使いをして申し訳ないけれど、目の前の冷蔵ケースに並んでいる今夜の踊り子さん達を見ていると、あの娘もこの娘こも、みんなこっちにおいでよ、なんてね、アハッ\(//∇//)\
⚫︎お通し:空豆
切れ目を入れていないのが町寿司。皮ごと食べちゃえ、ってことかな?
⚫︎眞子鰈:
頭と尻尾を落とした25cmくらいのサイズを丁寧におろします。斬りたてなので、カチコリ食感。好き。
九州出身のシバ犬女子も喜びます。
⚫︎中トロ:
確かこちらは昔からミナミマグロの筈。
従い冷凍物ですが、手当が良いので本鮪に比肩します。
⚫︎赤貝:
うっおぉ〜、噛めば噛むほど滲み出るグルタミン酸の旨み。後で紐もいただいちゃお(^◇^)
⚫︎鰹:
旬ものはウンマイ。自家製ポン酢でいただきます。このチョイ甘の酸味は橙で間違い無し、多分・・・
⚫︎墨烏賊:
ネットリ、最高。
塩は要りません。本山葵と煮切り醤油の組み合わせに適うもの無し。
⚫︎生鳥貝:
ヤバいよぉ〜。冷蔵ケースの中で艶やかな輝きを放ち続けます。生なので、しんなり、はんなり、エッ、エロい!
ボイルでは消えてしまうこの昆布の旨み。生でしか味わえないわなぁ、アハッ\(//∇//)\
⚫︎青柳:
この熟柿色の艶肌を見て、反応しないオヤジなぞ、居るはずが無い!
エッ、どっ、どこが反応するの?
アイヤァ、そんな子供じみた質問をするもんじゃありやせん。言わずとしれた、大人が反応する部位です。
そうです。カワユイ胃です!
まっ、個人差はありますけどね、グフッ\(//∇//)\
⚫︎縞海老:
何度か北海縞海老に遭遇したこともありましたが、今夜はいわゆる縞海老。子持ちの殻から丁寧に身を剥がし、紅の縞々が滴るばかりの艶めきを纏います。
太い、甘い、エロい(^◇^)
⚫︎蝦夷鮑:
こちらでは夏を迎えると煮貝(氷水の中に切り身を浸す)という仕立てでご提供。今夜はまだ早いということで、ブツ切りをいただきました。
これも鳥貝や赤貝と同様、グルタミン酸の旨味を噛み締めます。
⚫︎平貝:
ラッコの握り拳ほどの大きさの立派な平貝。モフモフシバ犬女子の大好物とのこと。
お腹が膨れてしまうので、薄く斬り付け磯辺巻きで所望。軽く振りかけた一味の刺激が心地良い。
⚫︎縞鯵:
モフモフシバ犬女史が冷蔵ケースをガン見しています。
『どしたの?』
『縞鯵が食べたかとぉ〜』
柵を見て、これが縞鯵と分かる女子は多分、少ない。
実はその中でもお腹部位を食べたかったようですが、提供されたのは背身。
次回は『お腹をください』って言ってみよう。
⚫︎穴子:
甘く薄めの色付けで煮た穴子を笹の葉に乗せてアルミ箔で蓋。火が直接当たらないよう、ゆっくり、ふっくらと温めます。
皮目のゼラチンが煮汁の糖分でキャラメライズされ、薄い皮膜を張ると完成。
その皮膜が歯に軽くあたります。舌の上で素早く解けます。まるでクレームビュルレかのよう。
メイラード反応の色艶も食欲をそそり、桂剥きされた胡瓜との相性も抜群。これは都内随一のつまみ穴子に勝手に認定、アハッ(^◇^)
⚫︎赤貝:紐
目の前の冷蔵ケースには見当たらなかったけれど、これは隠しネタと素早く見抜いたラッコは、しれっと『紐、ありますか?』なんて呟きます。
『はい、ご用意できます』と膝下からバットを取り出す親方。
ヘッヘッヘ、隠さんでもええねん、逃がさへんからなぁ〜、アハッ。
ワカメを枕に寝かされる三本の紐娘。真ん中の小柱部位が一際艶めきを帯びておりました。
ハムッ、ハムハムハム・・・
う〜ん、グルタミン酸に万歳(^O^)
<握り>
あらかたのネタはつまみでいただいてしまいました。
でも大丈夫。表には出していない隠しネタがある筈。
イケズなラッコは『そいでは、なにか握ってください』なんて、敢えてネタを指定せずにお願い。
何が出てくるかなぁ、フフフッ(^◇^)
肝心のシャリですが、米酢と塩のみの典型的な白シャリ。もうね、この真白き酢飯がラッコのドストライク。
⚫︎縁側:眞子鰈
やはりありましたか。それにしても太いし分厚い。
鮃の縁側とは明らかに異なる地味を堪能しました。
⚫︎小肌:
うん、うんうん、完璧な〆具合。二日目くらいかな?
⚫︎蝦蛄:
これも隠しネタ。きっとお聞きしなければ出てこないかも。
⚫︎馬糞ウニ:
房が全く壊れていない。明礬の嫌な匂いも皆無。上物の箱ウニでした。
⚫︎トロたく:細巻き
⚫︎干瓢巻き
モフモフシバ犬女子が巻き物を食べたそうなので、トロたくと干瓢を所望。仲良く六つに分けてもらい、アムアムアム(^◇^)
⚫︎生鳥貝:
つまみの印象が鮮烈過ぎたので、思わず追加で握りを所望。なんでこんなに昆布のグルタミン酸の味わいがするんやろ。砂地に住んでいる筈なのに、昆布を餌に彷徨ってんのかな?
⚫︎玉子:
〆はやはり玉子焼きでしょ。鞍掛でいただきました。
<お酒>
・アサヒ:小瓶
・賀茂鶴:大吟醸、二人で六本
2023/05/18 更新
2019/05 訪問
精霊の降り立つ皐月の夕暮れ
水曜日の夜です。
銀座は三原橋のたもとです。
みのりカフェのシャーベットでしつこく絡みつく痰を切るつもりが、全く効果が現れません。
むしろ冷えた喉が外気と反応し、その温度差からゴホゴホと咳き込みながら暖簾をくぐります。
『いらっしゃいましぃ〜』の三重奏。
先客は、ラッコと同世代の男性とそのお母様。
『彼がねぇ、誕生日だから何が食べたい、って聞くから、あたしゃあ、すぐに此方よ、と答えちゃいましたのよ・・・』と美しきお母様。
素敵ですね。
親孝行は何事にも変えられません。
ラッコは左端に座ります。
全体が見渡せるし、何より板場の所作が真横から楽しめます。
『花粉症は収まりましたか?』と、お弟子さんが呟きます。
覚えてるんかい!
こちらのお店は接待にも使われることが多く、客あしらいに抜かりなし。
一番搾りの小瓶で喉を湿らしながら、蕗味噌をつついていると、壁の大時計が♪ヴォーン、ウォンウォンウォン♪と半刻を刻みます。
クォーツは鳴きません。
やはり時計はネジで巻かないと。
その昭和の音色で微睡みから目覚めたのか、精霊様のご降臨。ラッコの背中に忍び寄ってまいります。
羊羹色の船底天井。原木の節目が残る栗皮色の柱。触れるとザラザラの駱駝色の京壁?
まさに精霊の住処。
ラッコが感じる精霊様は、実は五人衆。
三原橋二葉、浅草紀文、人形町喜寿司、日本橋吉野、そして神保町鶴八。
時間でしか醸せない精霊の吐息を肌で感じるのなら、是非、それらのお店でゆたりゆたりと微睡んでいただければと思います。
そしてご馳走様でした。
いただいたものは以下の通りです。
撮影禁止なので、ちょっと長くなりますが文字で表現しますこと、ご容赦ください。
<つまみ>
●蕗味噌:
お通しです。お酒に合います
★●真鯛:
肩側を三切れ。今シーズンの一番。断面の脂が玉虫色に煌きます
★●インド鮪中トロ:
1cm厚の拍子切りを二枚。
黒鮪に比べ、季節を問わず安定したお味。酸味や鉄味は薄く、ただただ甘い
●赤貝:
小振りですね。身も薄いけど味は濃い。萩産
ここまでが基本のつまみとなります。
この先は、もちろんお任せも出来ますが、ラッコは食べたいものを所望します。
ただし、細魚と縞海老は季節も終了。
煮貝にはまだ早く、残念。
★●穴子の付け焼き:
江戸前を一尾。太い、舌の上で溶ける。
入梅の頃が江戸前の旬ですから、はしりなのかな。
つけダレの甘さが口に合います
★●平貝磯辺焼き:
薬味は柚子胡椒と一味
★●初鰹:
銚子に水揚げ。どの地域で取れたのかは分かりません。筋肉質で淡白な味わいに感動。甘酢でいただきます
★●初鰹ハラス:
アルミケースの中に潜む砂ズリを発見。堪らず切りつけてもらいます
●小肌:
肉厚。二尾付けでした
★●蝦蛄:
岡山の日生町産。蝦蛄爪は無かったけど、独特の臭みに悶絶。ラッコは甲殻類が大好物
そろそろ握りに移行します。
白身は何が有りますか?
煮物は? 酢締めは?
なんてお聞きしながらネタを選ぶ時が一番の幸せかも。
シャリは赤酢と塩のみですが、茶飯系の酢のように色濃くは有りません。
<握り>
★●眞子鰈:
勝浦。今シーズン、一番の出色
★●鯵:
青魚とは思えない身質。ブラインドだと鯵と分からないかも
●春子鯛:
勝浦。甘酢漬け。
小鯛は一年中どこかの港に上がりますが、こちらは春のこの季節にしかお使いになりません
★●縞鰺:
銚子。天然。これは熟成かな?
●鳥貝:
銚子。此方の流儀は生。内臓のモフモフが生きています
●青柳:
富津。やや細身。
●北寄貝:
うん。軽く湯通ししてありますが、なんのなんの、こいつも裏のモフモフが生きています
●北寄貝紐:
ネタケースに横たわる紐を目敏く発見。頼まないわけにはまいりません
●平貝:
炙った磯辺巻きも良いけど、活も好き。
お腹に腹巻のように細い海苔を巻く仕立て
●赤貝紐:
多くの紐の中からサイズを選別して二本巻き。噛めば噛むほど昆布の味が舌全体に広がります
●車海老:
尻尾を残す仕立て。やはりこの形態が好き
●ボタン海老:
珍しいかも。北海縞海老も縞海老も甘海老も仲卸に無かったとのこと
★●穴子お腹:
つまみと同じ江戸前。カリッカリに焼いていただきます
●穴子尻尾:
同じくカリッカリに
●活アワビ:
房総産。まだまだ小粒。やはり七月がベストかな
★●馬糞ウニ:
根室。何も言うこと有りマシェン
★●ネギトロ手巻き:
円筒形状に巻いて褌で漏らさない形態
●干瓢巻き:
江戸前では外せません
●カッパ手巻き:
桂剥きして千切り。芯の水分が多い部分を使わない流儀
●玉子焼き:
昔ながらの鞍掛の流儀に即した1センチ厚。この高さの玉子焼き器はもう何処にも売ってらっしゃらないとのこと
<お酒>
●一番搾り:小瓶
●賀茂鶴:純金箔入り大吟醸、五本=五合
2019/05/10 更新
2019/03 訪問
腑に落ちるひと時
水曜日の夜です。
明日は祝日。銀座をブラブラします。
何だか酢飯をいただきたい気分。それも強い赤酢の旨味ではなく、米酢と塩のみのシャリ。
赤酢も否定はしませんが、希釈率が低いとお米の甘さと魚の持ち味を感じないラッコ。
それに今宵は孤独を愛する時間なので、静謐な空間が必要。しかも体に馴染んでいれば猶更良し。
とくれば約半年ぶりのこちら、三原橋のたもとの二葉鮨さん。
外観もそうだけど、扇型にたおやかな曲線を描く黒漆の付け台、土間のような床、柱から見おろす観音像、十分ほど進めた大きな精工舎の丸時計。
すべてがラッコのドストライク。まさに歴史が育んだ、鮨の精霊に満たされた空間。
東北新幹線を上野駅で降り、銀座線で四丁目の交差点まで移動します。
地上に出たところで念のためにお電話。
『大丈夫でございますよぉ~。今、どちらにいらっしゃるのですかぁ~?』
江戸の町娘さんのような、女将さんの明るいお声がスマホ越しに届きます。
『三越の前なので、ものの数分でお伺いします』
人込みを縫うように歩きながら、いつもより半オクターブ高い声で嬉々として応えるラッコ。
暖簾をくぐります。
『いらっしゃいましぃ~』の三重奏。
親方と女将さん、お弟子さんの柔らかい笑顔がラッコの小さなハートをマッサージ。
ううっ。そこ、ツボやねん。
おうっ、はあっ~、気持ちええなぁ。
先ずはビールの小瓶で唇を湿らせます。
お通しの蕗の薹の味噌和えもまた美味し。
ラッコの注文を待つかのように、お弟子さんが山葵をおろし金でゆっくりと円形に回しはじめます。
♪トントントン、トントントン♪
おろした山葵を包丁の背で、弱くリズミカルにたたきます。
指で確認しながら無駄な長めの繊維をはじきます。
下準備は完了。
『刺身をつまんで、それから握っていただきます。あっ、つまみには穴子の付け焼きをお願いしますね』とタイミング良く呟くラッコ。
『かしこまりました』と静かに、そして丁寧に応じる親方とお弟子さん。
ラッコの逸る心を見透かしたかのような余裕の所作。ボレロのように緩やかに昂る情念。
両肩に精霊様が乗っかってくるよぉ~。
ああっ、もうなんも言えねぇ。
そしてご馳走様でした。
写真はありません。
つたない語彙の中から可能な限り詳細に表現しますので、想像力を満開にしてご一読ください。
<つまみ>
●蕗の薹の味噌和え:
湯がいて擂鉢であたり、軽く味噌と合わせます。金属のような苦みがオトナの味。乳酸菌と食物繊維で腸も活性化。瓶ビールを呑んでいましたが、堪らず賀茂鶴に切り替えます。
●真鯛:
背中側。朝〆でしょうか、鯛の強靭で短い繊維がラッコの歯ぐきを押し返します。白身に熟成は不要。この歯触りと舌触りがすべて。魚は熟成しない、腐敗するだけ。ごめんなさい。単なる私見です
●赤貝:
鉄分が半端ない。瓜系の薫り高さに鼻の穴が全開。訊けば日本海側の山口
●大トロ:
こちらは季節を問わずインド鮪かな? 今の時期なら半端な黒よりインドの方がはるかに上質。身質に細かく溶け込んだ脂の煌き、たっぷりの山葵の刺激がその脂を中和します
●穴子の付け焼き:
江戸前。ツメは辛口だけど、煮汁は砂糖たっぷりか? 皮目が軽くスクロースでコーティングされたような食感。フワフワではなく、筋肉も感じる仕上がり。炙りあがりを横目で確認しながら、キュウリを丁寧に桂剥きするお弟子さん。この甘さが大好き
●鯵:
生姜醤油でいただきます。青魚臭は皆無。生姜醤油に浮かぶ肌理細やかな脂。ただただ甘い
●墨烏賊:
名残りかな。ラッコの故郷の広島では別名モンゴイカ。瀬戸内海で獲れていたんでしょうね。寒い季節の父親の晩酌のアテでした。一切れ貰ってビールを舐めては『ニッガーーーー』と涙目になっていたガキラッコ。最近、なぜだか子供時代の夢をよくみます
●本ミル貝:
水管部分のコリコリ感が好き。これもそろそろ終わりかも
●甘海老:
今夜は縞海老、北海縞海老とも入荷は無し。能登の甘海老。ラッコの中指くらいのちょうど良いサイズ。ネットリ具合が半端ない
●生トリ貝:
銚子の天然物。老舗の矜持で揃えたはしりの逸品。裏のモフモフ繊維も嬉しい。火を通して甘みの立ち上がる貝も多いけど、トリ貝は生に限るなぁ
●細魚:
淡路島産。塩〆。甘い、とにかく甘い。閂は大味だけど小顔の細魚は甘い。腹黒い魚なのに超絶美味
●細魚の皮焼き:
よくある串に巻いたものではなく、三尾分を畳鰯状態に広げたもの。まさに細魚の皮煎餅
●平貝磯辺焼き:
薬味は七味。薫り高い江戸前の海苔との相性も抜群
<握り>
●鮃:
真鯛と同様、歯ぐきを押し返す肉質。噛めば噛むほど鮃固有の旨味が立ち上がります
●青柳:
海岸線を散策しているかのような潮臭さが口中に充満。ラッコの好物の貝
●小肌:
酢と塩の入り加減が絶妙。人によっては強い、と感じるかもしれませんが、酢が好きなラッコは頬が緩みます
●赤貝紐:
身より更に鉄臭い。雲梯で遊んだ後の掌の香り
●縞鯵:
旬は夏場の筈ですが、小ぶりなせいか爽快な味わい
●活鮑:
サイズは小さめ。コリコリ感が堪りません。ラッコは全て自前の歯なので、ボリボリと齧ります
●煮蛤:
ほあっ、なんだろう。婆ちゃんの味がする。あっ、別に婆ちゃんを食べたわけではなく、子供の頃、祖母が作ってくれた料理の味付けにそっくり。なんだか涙が出てきちゃった。お墓参りしないと
●生トリ貝:
つまみも良かったけど、シャリとの相性も抜群
●穴子:
江戸前。お腹と尻尾と二貫、お願いします。だって穴子、好きなんだもん
●馬糞ウニ:
根室産、軍艦で。ウニは海苔との相性が抜群、海苔無しのお店もありますが、ラッコは何といっても軍艦
●ネギトロ:
手巻きで。だって海苔が好きなんだもん
●干瓢巻き:
江戸前の〆は干瓢をおいて右に出るものなし。山葵たっぷりを所望し、覚醒します
<お酒>
●スーパードライ:小瓶
●賀茂鶴:三合
2019/03/23 更新
2018/08 訪問
いらっしゃいましぃ!の三重奏
月曜日の夜です。
明日は家内が帰天して丸四年。彼女の親友から生花が届くので、早めに帰宅せねばなりません。
懐かしい想い出に浸りながら、外でゆっくりとお酒を呑むのは、どうも今夜がベストのようです。
お昼休みにしばし考え、亡き家内も気持ちを寄せていたこちらのお店にお伺いすることに決めました。
午後遅くに電話を入れると、ちょうど一席、ご用意できるとのこと。月曜日だと思って油断していました。カウンター八席にテーブルが四脚とは言え、週の初めから満席なんて、鮨バブルに翳りは見当たりません。
こちらの強みは、なんと言ってもその設え。
年季をへた土壁は焦げ茶に変色し、緩やかな曲線を描く漆黒のカウンターは、魚たちのタカラヅカといったところか。
親方も女将さんもお弟子さんも、付かず離れずの適度な距離感。扉を開けると『いらっしゃいましぃ!』なんて、ちょっと崩した下町言葉の三重奏で迎えられると、なんだかおへその辺りがくすぐったくなっちゃいます。
それに土地持ち家持ちなので、コスパも高い。流行りの新店などでは、コストの三割から四割が家賃でしょうからね。店主の技量にはお金を払うけど、不動産屋には払いたくありません。
食べたいものを伝え、あとはのんびりと昔の思い出に浸ります。
確かあの時には北海縞海老があったなぁ
緑色の縞模様を子供みたいに眺めていたなぁ
そして幸せそうにモグモグしていたなぁ
最後にウニは必ず二貫、だったなぁ・・・
賀茂鶴を片手に気がつけば三時間弱。
週の初めだし、そろそろお暇しますか。
寂しさと愛おしさは募るけど、こればっかりはどうしようもありません。どうにかしようとも考えておりません。
今夜は枕が涙で濡れちゃいそう。
そしてご馳走さまでした。
いただいたものは以下の通りです。
今夜は満席でしたので写真撮影は厳禁でした。
<おつまみ>
●お通し:貝紐とガゴメ昆布の酢の物
●石垣貝:表は青柳、裏のモフモフは北寄貝
●中トロ:多分、インド
●真子鰈:甘い
●煮貝:黒鮑と肝の煮物の冷製
●焼穴子:この甘味が好き
●鯵:まさに旬
●縞鯵:この脂を絞って飲みたい
●煮蛸:久里浜産
●下足の炙り:墨烏賊
●北寄貝の炙り:薬味は柚子胡椒
●墨烏賊とウニ:小デブの定番
<握り>
赤酢は薄く殆ど米酢と塩だけのシャリ
小デブの好みです
●鱚昆布締め:旨味が濃い
●新子:二枚付け、絶妙な酢通し
●赤貝:鉄の味
●赤貝の紐:更に鉄の味
●青柳:磯の香り
●鱸:江戸前
●ボタン海老:卵のせ
●活黒鮑:コリコリポリポリ
●車海老:海老は湯がいてナンボ
●馬糞ウニ:甘い
●イクラ:ちょっと塩が強いか
●海苔巻き:サビ抜きで
<お酒>
●一番搾り:小瓶
●賀茂鶴:大吟醸、西条、三合
2018/08/08 更新
2017/09 訪問
創業明治十年の握り
水曜日の夕方です。
福島出張が早めに切りあがり、五時過ぎに東京駅に到着しました。
散髪でもしようかな、と銀座まで移動します。
小デブが入店する直前、脇から小走りに駆けてきた中デブオヤジが先に入ります。タッチの差で一時間待ちとのこと。
お腹が空いた。
待てない。
床屋の外に出ると小雨が降りはじめました。
夜の濡れた路面にネオンの光が写り込むさまは美しいけど、週の中日だし、あまりウロウロするつもりはありません。
傘を開きながら、閃きました。
通りを一本昭和通り方向に歩くと、うふふ、二葉鮨がある。
六時前。予約はしてないけど、一人だったら座れるかな。
扇型の一枚檜のカウンターの端に座るだけで、昭和、それも戦前の雰囲気に浸れることができます。
舟形天井と歴史を感じさせる褐色の色艶、入口の扉の上に鎮座する木彫りの観音様、直径80cmはあろうかという大時計。
ほぼ一年ぶりの訪問ということもあり、昔の恋人に再会するような期待に胸が膨らみます。
扉を半分開け『一人なんだけど入れますか』と可愛く呟きます。
『はい。端っこでよろしければどうぞ』と同い年の親方が答えます。
沢田雅美似の奥様もにっこりと微笑まれます。
端っこ、端っこ。ネタケースの中身は見えないけど、親方の所作を真横からジーっと見つめることができる特等席。
やや左側にカウンターが傾斜しているのもご愛嬌。なんせ都の有形文化財の指定を断ったくらいの設えだもの。
水曜日なので、お酒は控え目、握りも腹8分目と決意し、お好みでお願いします。
いただいたものは以下の通り。
そしてご馳走様でした。
<つまみ>
●鰯つみれ:あーーーっ、うふーーーっ、好き
●ハタ:赤旗?それは共産党の機関紙やねん、アオハタ?それはジャムやろ、ということで、多分キジハタかなぁ。ムニュッ、ムニュッ、熟成ど真ん中
●赤貝:ちょっと痩せていたか...
●中トロ:インドマグロ、肌理が細かく爽やかな脂。手当の悪い黒より手当の良いインドが好き
●煮貝:時期的に小さめ、もうそろそろ終わりかな
●穴子の炙り:羽田沖産。炙って皮の表面の煮汁の糖分が飴細工のようにパリパリに、大好き
●秋刀魚:皮を軽く炙って臭み消し。若いアスリートのような脂
●新イカとウニ:ウニは厚岸浜中産の養殖。この時期の天然を凌駕する抜群の甘さ。江戸前の海苔で巻いていただきます
<握り>
シャリは赤酢が控え目、砂糖無しの色白。
赤酢が前に出過ぎると、心の中で『茶飯じゃねーよ』と毒づく小デブの口に会います。
黒漆の付け台に並びます。美しい。
●マコガレイ:白身の儚い旨味を引き出すシャリ。赤酢だと旨味が勝ちすぎます
●シマアジ:天然物。太平洋のスプリンター。まさにアスリートの筋肉と脂
●赤身:インドマグロ。しっとりと嫋やかな淑女。養殖本鮪を食べるくらいなら絶対にインド
●大トロ:インドの蛇腹
●青柳:腹巻の海苔で磯香がダブル
●石垣貝:岩手三陸産
●小肌:強い〆が好き
●鯖:金華山沖。鯖は魚の王様ヤァ
●シマエビ:でっかい牡丹海老よりこのサイズが一番うまい
●新イカ:シャクシャク
●赤貝紐:しっとり熟成
●新イカゲソ炙り:超短足。でも美味しい
●エゾバフンウニ:厚岸浜中産の養殖。この時期は天然を凌駕
●干瓢巻き:江戸前の〆はこれでしょ
<お酒>
●一番搾り:小瓶
●賀茂鶴:純米大吟醸、金粉入りを二合、西条
2017/09/08 更新
2015/09 訪問
漆黒と朱
◼︎2016年9月
金曜日の夜です。
お一人様の時間です。
煮貝で賀茂鶴を目当てに三原橋まで歩きます。五時半です。最初の客です。
いつもお鮨屋さんには早めに入るようにしています。何より静かだし、他のお客さんがいらっしゃると躊躇することが遠慮無く聞けるからです。今回もお醤油の事など、たいへん興味深く聞くことが出来ました。
先ずは一番搾りの小瓶です。こちらのような古い設えには、瓶ビールですね。太宰の一節に倣い『二葉には瓶ビールが良く似合う』と頭の中で呟きます。
お通しは新イクラの醤油漬け。晩夏です。新婚の頃、この時期になると家内の実家の函館から鮭の半身と筋子が送られてきました。広島育ちの私は、筋子なんて見たことが有りません。何やろうこれは? 血が付いてるやないか。うーむ、キモい、とモジモジしていたところ、家内がおもむろにテニスラケットを取り出し、そのネットで筋子をグリグリしています。
外膜が破れ、透過度50パーセントの朱色の粒々がボウルに溜まっていきます。綺麗。ゴムボールがガラスのビー玉に生まれ変わります。『マジックや! スゴいスゴい!』と思わず後ろからカミさんに抱きついてしまった甘い記憶が蘇ります。
親方にこの話をすると『あたしゃぁバトミントンのラケットですね〜』と、ホントか冗談かわからないレシーブを返されます。ひょっとしたら季節季節の大きさに合わせてラケットを持ち変えるのかなぁ、なんて変な方向に妄想してしまいました。
『ボォ〜ン!ボォ〜ン!』と壁のデッカい時計が6時の泣きを入れます。10分ほど進んでいます。時間を忘れても四丁目や有楽町の駅まで歩いて間に合います。粋な計らいです。
他の予約客が続々と入ってきました。さあ、これからが本番です。二人で11名のお客を捌かなければなりません。場所柄、橋之助と三田寛子、築地市場の顛末などなどを話していると、あっという間に8時過ぎです。
長っ尻ですいません。
今日もご馳走様でした。
いただいたものは以下の通りです。
<おつまみ>
新イクラの醤油漬け:丼にしたい
中トロ:インドかな?
アズキハタ:見た目は鰈やヒラメに似ていますが、明らかに異なる味わいが。うまく言葉にできません。
赤貝:薄かったです。産卵後か?
サンマ:皮目をたたいています。皮は残したほうが絶対旨いですもんね。脂の乗りは今一つです。三切れありましたが、脂を感じたのはお腹部分だけでした。
縞海老:赤と白のコントラストが綺麗
煮貝:もうそろそろ終わりでしょうか。肝の外皮も厚く、口に残りました。
穴子:炙っていただきます。小笹の雉焼きも好きですが、なかなかどうして二葉の焼き穴子も大好物です。
イカとウニ:小鉢に盛っていただき、混ぜ混ぜします。ムラサキが濃厚でした。
ホタテ磯部焼き:厚みは函館鮨金の半分ですが、海苔との相性はこちらが良いかもしれません。
<握り>
ウニ
新イクラ
小肌×2カン:一枚付けです。このサイズが一番好きです。
青柳
石垣貝
活アワビ
かっぱ巻き、海苔巻き
<お酒>
一番搾りの小瓶
賀茂鶴×三合
■2016年6月
水曜日の夜です。
お昼過ぎに予約を入れ、6時過ぎにお伺いしました。先客はご高齢の爺様と婆様の3人連れ一組です。
一番搾りの小瓶をいただきます。突き出しは枝豆。壁掛け時計のボーンと言う音が、自分を昭和に戻してくれます。
つまみを頼みました。
出されたのは、シマアジ、岩手の石垣貝、マコガレイ。石垣貝は別名、石陰貝とも呼ばれるそうで、夏が旬の青柳色をした鳥貝のような風味です。
続いて、蛸、鯵、北寄貝の卵巣?部分の焼き物、穴子の炙り、イカウニ、煮貝をいただきます。
特に煮貝の肝は親指くらいの大きさがあり、ネットリとした食感で、賀茂鶴との相性が抜群でした。
握りは新子の五枚付け、甘エビ、伊佐木、小肌、タマゴ、干瓢巻きなどをいただきました。新子は二週間前は十枚付けだったそうです。ハシリの値段なので、了解された方にのみ時価で提供されたそうです。
1センチ程度のハシリものを揃える矜持に敬意を払いますが、私はとても頼めません。三枚くらいにならないと味も乗ってきませんし、単に話のネタにしかならないですもんね。でも、食べたい方は居らっしゃるでしょうね。
賀茂鶴三合で2万円でお釣りです。いつもながらコスパは高い。
あと二週間もすれば、新子が三枚付けになりそうなので、またお伺いします。
ご馳走様でした。
■2016年2月
金曜日の夜です。
あてもなく銀ブラです。
静かに過ごしたかったのでこちらにお電話したところ、カウンターに滑り込めました。
先々代(確か3代目?)のころ、歌舞伎の一幕見の帰りに立ち寄りして以来二十数年間、年に1~2回のペースでお伺いしています。人形町のとある名店と同じく、今の旦那さんはセントポール出身です。4代目が急逝され、若くして後を継がれました。
こちらは、私が一人静かに飲み食いするときの、とっておきのお店です。外観も内観も含め、かけがえのない粋な雰囲気が大好きです。まず天井が高い。地下や階上にあるお店では味わえない空気感です。重要有形文化財と言えるくらいの設えに、ささくれた心が癒されます。流線型のつけ台も優しく迎え入れてくれます。直線やエル字型にはない味わいです。角があると知らず知らずに構えちゃいますもんね。またそのつけ台が美しい。漆黒と朱に塗られています(寿司桶をイメージしてください)。お江戸の粋ですね。どんな高価な陶器にも勝ります。
大根の妻とワカメがおかれ、それを背もたれに平目と赤貝と中トロが並びます。続いて走りの鳥貝、ミル、赤貝のヒモ。アサヒの小瓶を軽く飲み干し、賀茂鶴の大吟醸に。イカゲソの焼き物が小鉢で、続いて筏状に焼かれたサヨリの皮焼きが。
握りは順不同ですが、ほうぼう、サヨリ、大トロ、ウニ軍艦、小肌、穴子、鯖、才巻き、縞海老、鰤、多分コウイカ、海苔巻き、かっぱ巻き、卵(カステラ風ではなく重量感があります)などなどをいただきました。
こちらのシャリは酢と塩のみです。切れ良く、大吟醸の旨口と良く合います。
三合飲んで二万円でお釣りでした。最近流行りの新だなは、テナント料が二割程度入っている筈なので、こちらのように持ち土地持ち家の老舗の方が明らかに食べ得だと思います。
次回は煮貝のある夏かな。親指くらいの肝が私を呼んでいます。
余談ですが、御多分に漏れず次の代への相続は悩ましい問題です。
無責任ですが、ビルにはして欲しくないなぁ。松阪屋跡地のビルを低層にしたり、ユニクロのロゴを白色にした銀座の大旦那たちの意地(ご活躍)を拍手しつつ、街づくりの観点から行政にも今以上のサポートをしてほしいところです。
2016/09/18 更新
水曜日の夜です。
銀座四丁目です。
今日は亡き家内の誕生日。
イベント好きな彼女は、お互いの誕生日、婚約記念日、結婚記念日、ヴァレンタインデーやクリスマスなどなど、その都度その都度どこかで外食しないとプクーッと頬っぺたを膨らます性格。
帰天してからかれこれ今年で十年目ですが、毎夜毎夜、夢枕に立つ彼女を想い、今夜はひとり静かに呑みながら、昔の思い出を見つめ直します。
選んだのはこちらの【二葉鮨】
何度か家内と一緒に訪れ、琴線を優しく撫でるような老舗の雰囲気に、ふたりして心地良く漂っておりました。
『いらっしゃいやしぃ〜』
暖簾をくぐると、今夜も変わらない江戸弁がラッコを迎えます。
良いなぁ、この音。
今夜も長居しちゃいそ、アハッ\(//∇//)\
さてさてそれでは本題です。
写真撮影は禁止なので、可能な限り駄文で紹介します。
そしてご馳走さまでした。
<まとめ>
五代目の横で、永らく勤めていらした若手がいらっしゃらない。彼の出過ぎず控えめ目な所作に好感を抱いていたんですよね。
聞けばさるご事情から横浜に移られたとのこと。
『八年もアッシを支えてくれましたからねぇ、残念つぁ残念なんですけどね、でも今のご時世、こればっかりは仕方ないっす』と親方の小西氏。
見つめる先には、おやっ、六代目かな?
『ご子息ですか?』
『へぇ、多分、血は繋がっていると思いやす』
軽く頭を下げる六代目。
後ほどいらしたドイツとスペインのお客様にも、軽やかな英語でネタをご説明。
人も時代も移りゆくけれど、凡そ百五十年の歴史だけが醸すこの上質感、きっとそこかしこに精霊が潜んでいるに違いない。
アッ、忘れちゃいけない。
亡き家内もラッコの左肩にちょこんと座っているんだよな、ねぇ。理絵さん(^◇^)
<つまみ>
⚫︎お通し:真鯛の煮凝り
真鯛の身は綺麗にチャンクされておりました。
ひと口、アンムッ!
アイヤァ、真鯛の潮汁みたいなお出汁で伸ばしているのかなぁ、ウンマイ。
それに真鯛の身。歯茎を押し返すようなグイッグイッとした筋肉質に、思わず脱力。これはもはやお通しのレベルではありやせん。
⚫︎お造り:
・中トロ:インドマグロ
・真鯛
・赤貝
・カツオ:ポン酢
・墨烏賊
・墨烏賊:ゲソの炙り
こちらの特徴はインドマグロに有り。お造りには、赤身と中トロのグラデーションが楽しめる中トロ部位をご提供。
『この色の移り変わりが見ていて艶っぽいっすからね、フフッ』と親方。
冷凍品だけど、それ故品質は安定しているし、近海物がへたる真夏でも変わらない美味しさが楽しめます。
恐らく、ここまでがお決まりの仕立て。何も言わなければ握りに移る筈だけど、ラッコの胃は太いので、冷蔵ケースの中からさらに追加。
・青柳
・縞海老
・黒鮑
青柳の潮の香りが好きなラッコ。誰だよぉ〜、バカ貝なんて失礼な名前を付けちゃったのは?
縞海老もこちらでは標準装備。時期が合えば、北海縞海老もいただけます。
黒鮑は時期的に小さいけれど、ブツにして活のまま、ガシガシガシ。旨味も十二分でした。
⚫︎炙り:
・穴子
数多あるお鮨屋さんの中で、こちらの穴子の付け焼きがなんと言っても口に合う。
遠火のガス火でじっくりと間接焼きした穴子は、アルミ箔の蓋の中で付け焼きタレがキャラメルに変化。桂剥きした胡瓜を中に挟んでいただけば、ウッフゥ、賀茂鶴が進む進む\(//∇//)\
⚫︎小鉢:
・墨烏賊
・馬糞ウニ
居酒屋使いをして申し訳ないけれど、小川の良いウニが目の前に有れば、そりゃあ、頼みますよね。
六代目に『小鉢にね、墨烏賊とウニを入れて海苔と山葵たっぷりで・・・』と伝えると、身体は素直。
何言ってんやろ、この爺様、みたいな感じで軽く固まっている六代目。
それを見た五代目の親方が『はいよ、イカウニね』と呟くや否や、墨烏賊を細目の短冊に切り付け、馬糞と煮切りを入れたボウルの中で混ぜ混ぜ混〜ぜ。
まるで美味しくな〜れ、とでも言うよな呪文が聞こえてきそう。
小鉢に盛り付けたら、更に追い馬糞。小さく刻んだ海苔をトッピングして、イカウニの完成!
これ、二葉の二代目からなか田(→奈可久)に通じるスペシャリテ。
<握り>
目の前の冷蔵ケースを眺めながら、どれにしようか、次はなんにしよう、なんて悩むのもまた楽し。
気をつけたいのは、表に出していない隠しネタの存在。
ハシリだったり、数が少なくなったりしたネタは、親方のここぞ、と言うときにしか出てきません。
ラッコはわかんないフリして『鳥貝と本ミル、細魚をお願いします』なんて呟きますが、『本ミルはごさいやせん。細魚と鳥貝は最後のひとつづつです』と、足元の冷蔵庫から取り出す親方。
へへっ、引き当てちゃった\(//∇//)\
⚫︎石鯛
⚫︎北寄貝
⚫︎赤貝の紐
⚫︎平貝
⚫︎細魚
⚫︎春子鯛
⚫︎鳥貝
⚫︎鉄火巻き
⚫︎ネギトロ巻き
ここまでいただいたところで、親方からのオススメを追加。プロの提案には素直に従うに限ります。
⚫︎勘八:お腹、大分
⚫︎小肌
⚫︎車海老
⚫︎干瓢巻き
⚫︎玉子焼き:鞍掛用の薄焼き
<お酒>
・スーパードライ:小瓶
・賀茂鶴:大吟醸、西条、五合
さあってと、これで二時間半。
お会計も22なんて、このコスパは超絶的、アハッ(^◇^)
ちゅうか、他が高すぎるのかな、グフッ\(//∇//)\