東京のFさんが投稿したたこつぼ(広島/堀川町4)の口コミ詳細

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たこつぼ八丁堀、胡町、立町/日本料理、うなぎ、あなご

1

  • 夜の点数:4.8

      • 料理・味 4.8
      • |サービス 4.4
      • |雰囲気 4.4
      • |CP 3.8
      • |酒・ドリンク 3.8
  • 昼の点数:4.8

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.8
      • |サービス 4.4
      • |雰囲気 4.4
      • |CP 3.8
      • |酒・ドリンク 3.8
1回目

2014/01 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.4
    • | 雰囲気4.4
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク3.8
  • 昼の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.4
    • | 雰囲気4.4
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク3.8
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

値は張るが引き出しは無尽蔵

2014年1月再訪

沢山のレビュアーの方々に訪問していただき、すっかり食べログでも(高級割烹としての)知名度を上げてきたここたこつぼ。
しかし、繰り返しになるが、真にここの無尽蔵の引き出し、底無しのポテンシャルを知るのは、少なくとも店と信頼関係を築くことのできる客として、しばらく通い詰めてからである。
(私の場合、初訪問のきっかけが祇園のある人からの紹介であったので、やや事情が異なるかも知れないが)

実力ある店が、相応の評価や知名度を獲得するということは、一面では喜ばしいことであり、とりわけ地方・僻地の新進店にとっては良い追い風となると思う。
それをきっかけに、新たにその店と深く長い縁を持つ客が生まれる可能性も広がることであろう。
しかし他方、地元に根付いた老舗などの場合、ネットやマスコミの影響により一見客が増加したところで、必ずしも店にとって好ましい結果を招くとは限らない。
気に入っていた店が予約困難になるといった客側の都合は措くとして、(また、人気が出たことに慢心し質を落とすような店は論外として)席を占める客層・客数が変われば、それまで理解ある常連客と共に培ってきた店の雰囲気や作り手のモチベーションにも影響するであろうし、極端な場合、たけしたふじやのように、既に常連客のみで自足し、新規の客向けの営業をしていない店などは、対応に困ることともなろう。
では、たこつぼはと言うと、私の信じる大将の巧みさから推して、評価や知名度の上昇程度で店のあり方が変わるようなことはないと楽観している。
ただ、なにぶん、独自色の強い、素材・郷土性重視の料理を供する店であるので、客が単に評価の高さのみを見て訪問したとすれば、その日本料理観に合わない場合、値が張る訳も分からず、まして秘められた無尽蔵の引き出しなどには思いも及ばず、ただ期待外れだったという悪印象を与えかねない点に一抹の不安を覚えてしまう。
慧眼な食べログ利用者には、単に評価のみではなく、事前に店のスタイルや価値の在処を理解したうえで、初訪問に臨んでいただきたく思う。

しばらく食べログから離れていた間、色々と思うところがあり、余談が多くなった。
食事内容についてのレビューに移ろう。印象的な品のみを取り上げる。

年始ということで、この地方独自の作り方をした黒豆をいただいた。(写真参照)
あえて皺を付けるのが広島流とのことで、皺が寄る歳になっても元気で、といった意味があるそうである。
味わいがしっかりとしていて旨い。

しかし今回の幸運は何をおいても、極小サイズの小鰯を味わえたことであろう。(写真参照)
小鰯の刺身は広島の郷土料理にしてたこつぼの名物でもあるが、ここは普段から特に小さなサイズを選って仕入れているそうである。
が、今回ほどの極小サイズとなると、たこつぼでも年に3、4回しか入らないとのことで、もちろん私もこの日初めて口にすることができた。
定番の一品として食べ慣れていただけに、確かに味の繊細さ、清らかさがいつもとはまるで違うと感じられた。
大将によれば、これほどのサイズであれば、一日置いてもまだ臭みが出ないそうで、東京へ送ることも可能なのだという。
因みに、小鰯は包丁で切るのではなく、竹製の専用の道具を使って身を剥いているのだが、今回ほどの極小サイズとなると、これに更に針金を組み合わせ、頭をがっちりと固定して剥くというより特殊な方法を用いるそうである。
まさに、長年の知恵の結晶といえよう。

また、ハガツオとホンガツオによる「戻り鰹の食べ比べ」という試みも面白かった。(写真参照)
同じ調理を施したハガツオとホンガツオを一皿に並べ、味の違いを確かめつつ大将から好みを問われる。
私は意外にも、ここではハガツオの方に複雑な味わいを感じ、こっちが好みだと答えると、大将の好みも同じであった。

さて、この他にもいろいろと供されたのであるが、今回、たこつぼを訪れた目的は瀬戸内の河豚を食すことである。
あらかじめ断らねばならないが、たこつぼはある時期以降、河豚は河豚専門店に任せる、という方針に転じ、河豚料理からは手を引いている。
よって、現在のたこつぼは原則として河豚料理をやっていない。(ゆえに写真の掲載はしない。この店の秘めるポテンシャルを推し量る参考とされたい)
今回は、田中旅館まで足を延ばす時間がないために、特例としてここで近似した河豚料理(主にてっさ)を供していただいたものとご理解いただければと思う。
田中旅館と近似というのは、主には1.5キロ程度の瀬戸内の河豚を〆たての状態でてっさにしてもらった、ということである。
大将によれば、1.5キロ程度の瀬戸内の河豚は、寝かさなくとも、多少身が縮みこそすれ、柔らかく、十分な旨みがあるのだという。
あくまでも柔らかさを重視している点では歯応えを重視する田中旅館と対照的ではあるが、そこは些細な好みの問題といえよう。
(ちなみに大将に言わせると、瀬戸内の人間は外海の大きなサイズの河豚は身が硬いと嫌うそうであるので、内海の河豚をあえて硬く出す上関はある種特異な地域なのかもしれない)
味は、確かに田中旅館ほどの濃厚さこそないものの、十分な旨みと、そして繊細で複雑な味わいが感じられた。
ただし、個人的には難点と思われるポン酢の使い方までが共通しているので、何とももったいない気分にさせられる。そこはやはり同じ瀬戸内流であるらしい。
大将が、瀬戸内の人間がこの食べ方に慣れると、よその食べ方では物足りなく感じるようになる、と言うので、ここばかりは理解できない食文化の壁と思うより他なかった。


と、こうして無理押しで今回、瀬戸内の、田中旅館に近似した河豚を食べたのには訳がある。
翌日、大阪流の極致とも呼べる多古安の河豚を食べる予定を立てていたからである。
細かな違いはあれど、結局のところ、河豚そのものの嗜好で大きく分ければ、てっさに華を見る(下関的)全国標準派と、てっちりを真打と見る(消費量最大の)大阪派という2大対立が見て取れ、前者の理想は1.5キロ前後の内海産であり、後者の理想は3キロ以上(多古安の場合は6キロ以上)の外海産、という極めて大きな隔たりが浮き彫りとなる。
この両者を連食し、双方への理解を深めたうえで、新しい河豚料理の可能性を提示したいという段取りを考えているのであるが、もはやたこつぼのレビューの域を超えているので、本日はここで筆を擱くこととする。

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2013年7月再訪

今更、再訪も何もない、常連となっている店なのだが、相変わらずの素材の充実ぶりであった。

突出しの鱧出汁のゼリー寄せは繊細な味付け。
郷土料理である小鰯の刺身を口にして、広島を感じる。
これほど脂ののった瀬つきの鯵を選りすぐって出すことができるのはたこつぼの実力。
日本一の清流と謳われる名川・高津川の鮎も、塩焼きにした後、手早く隠し包丁を入れ、背骨を抜いてから供する。
最高峰の素材が揃う周防大島の海からは鮑、赤ウニ、そして岩牡蠣が。
個人的にダメ元でお願いした天然スッポンもしっかり用意してくれていた。
締めには見るも香ばしいオコゲ付きの鮎飯。

ワガママを言えば言っただけ値は張るが、それに応え得るポテンシャルがここにはある。
しかし、これから秋冬にかけて、更なる本領を発揮することであろうことを常連の客は知っている。

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ここ「たこつぼ」はこと瀬戸内、中国地方の素材の扱いにかけては最高クラスと呼べる割烹であると思う。
訪問した回数はもう数えきれない。

私は個人的に広島とは縁が深く、ラーメンや焼肉、鉄板焼きといったB級グルメなどもかなり昔から食べ歩いており、紹介したい店も多々あるのだが、今は急ぎ足で和食の店のレビューを優先することとしたい。
(食べログで高評価のチャテオあくさんも訪問済みなのだが、このレビューも後の機会に回すこととする)

さて、広島市街でハイクラスな和食店として名が挙がるのは、白鷹などであろうが、私は広島の一軒、としてはやはり「たこつぼ」を推したい。
ランチに2千円台の「ひつむし」定食をやっていたり、比較的庶民的な「おでん」などがあったりと、予算次第で手軽な利用もできるのであるが、ここの真骨頂は何より瀬戸内の幸を中心とした海鮮料理・郷土料理であろう。
ただし、私のようにあまりに通い詰めた上で、あれもこれもと食べたいものを思い切り食べ、酒も思う存分飲んだとなれば、会計は5万円を超すこともある。
この店の場合、あらかじめ予算と食べてみたいものを伝え、おまかせでその日その時期の小料理をちょいちょいと出してもらう、というのが賢い利用法であるかもしれない。

が、値は張るものの、私は通い詰めるほどに、この店の底知れない引き出しの多さに唸らされた。
周防大島の赤雲丹に岩牡蠣、名物の生蝦蛄の刺身、至高とも呼べるアワビなど、最高峰の素材が揃うばかりでなく、地元の食文化・郷土料理も大切にしており、小イワシの刺身や鯛そうめんなどの料理では、「広島・瀬戸内らしさ」を十二分に感じさせてくれる。
また、オリジナリティも極めて高い。
秋から冬にかけて登場する川ガニ(モクズガニ・ツガニ)の雑炊などは、常連客が毎年心待ちにしてしているメニューであるが、私もこれを初めて口にした時は、そのあまりに濃厚な蟹の風味・旨みに悶絶したものである。
そしてもちろん、通い詰めて店との相互理解を深めた客には特別なモノも供される。
まさに無尽蔵の深みを秘めている。
1度や2度の訪問でこの店の真価を知るのは恐らく難しいだろう。
そういう類の店なのである。

大将の客あしらいも当意即妙で、雰囲気も凛としつつアットホームな、実に調和のとれた寛げる割烹である。
ただし、CPについては、納得できないという評価があるのも理解する。
酒についてももう少し、いろいろと上質な地酒などを吟味して置いてほしいとも思う。

ただ、私の評価基準は、あくまでも味の絶対値を原則とするので、料理・素材に関して無尽蔵の引き出しを秘めたこの店の存在は広島・瀬戸内にとって稀有であり、高く評価すべき名店であると思う。

広島市街へ赴く機会のある人は、まずはランチの定食からでも、一度この店の様子を覗いてみてはいかがだろうか。
(気が向いたなら、ランチの時間帯にも夜と同じような料理を頼むこともできる)


総評:★4.7
通い詰める価値あり、稀有なる名店。

  • 極小サイズの小鰯の刺身

  • 広島流の黒豆

  • 左ハガツオ、右ホンガツオ、戻り鰹の食べ比べ

  • 突出し、鱧出汁のゼリー寄せ

  • 広島名物、小鰯の刺身

  • 瀬つきの鯵

  • ハガツオのお造り、周防王島の赤ウニ等

  • 高津川の鮎の塩焼き(背骨抜き)

  • 周防大島の鮑

  • スッポン鍋

  • 周防大島の岩牡蠣

  • 鮎飯

  • 3年子を使用したイカナゴの釘煮(神戸の郷土料理を元にしたオリジナル)

  • アオリイカの歯茎、他

  • 鯛の白子と肝

  • 初鰹を昔ながらの食べ方で

  • カラスミを焼きたての餅に包んで一口

  • コノコとコノワタ

  • 初鰹の脂ののった腹の刺身(右)

  • 殻付きの真牡蠣

  • 小ぶりの牡蠣

  • メカブ

  • アカラ

  • 刺身

  • メバルの煮つけ

  • 鯛そうめん風に食す

  • 川ガニの雑炊

  • スッポンの血

  • スッポンの煮込み

  • 河豚白子の昆布焼き

  • カラスミ

  • 周防大島の岩牡蠣

  • 周防大島の岩牡蠣

2014/01/22 更新

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