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居酒屋瀬戸花畑町、辛島町、熊本城・市役所前/居酒屋、郷土料理
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夜の点数:3.7
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¥6,000~¥7,999 / 1人
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料理・味 3.0
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|サービス 3.5
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|雰囲気 4.3
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|CP 3.0
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|酒・ドリンク 3.1
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[ 料理・味3.0
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| サービス3.5
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| 雰囲気4.3
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| CP3.0
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| 酒・ドリンク3.1 ]
良い晩だった
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2024/02/17 更新
仮眠をとり、16時過ぎにホテルを出て、西へ歩いた。昼間はコートが要らない位で、夕暮れも2月にしてはわりと暖かく、白川沿いの風も気持ちよかった。
中央区万町にある古い醤油蔵で、ROTH BART BARONのライブを見た。
良い歌、6人の良い演奏だった。
電球色の照明と、入り口の格子戸から差し込む2月の力のない陽の光が、ROTHに合っていた。
演奏に聴き入っていると、当然だが陽は暮れて暗くなり、蔵なので足元から深々と寒さが伝わってきた。
演奏の合間に三船さんが、前回熊本に来た時は寒すぎてせっかく九州にきた実感がなかったけど、今日は暖かくてすごく良かった、と話していた。
ライブが終わった頃には、昼間と違って、やはり2月だった。寒かった。心だけはホクホクさせながら、足早に市街地を目指して歩いた。
途中、河原町あたりの路地で、エスニック料理屋やバーが目に留まったが、連休中にもかかわらず客は無だった。燻んだ看板と怪しげな薄暗いネオンがおいでおいでしていたが、さすがに下調べもなく無の店にしらふでは入れなかった。
路面電車が走ってて、熊本の街は便利そうだな、と思った。歩ける距離だったので、乗れなかった(乗らなかった)のが残念だった。
下通あたりは賑わっていた。
新市街などに何軒か、一人で入りやすそうな店をピックアップはしていたが、19時過ぎでどこも満席、あるいは一見さんが割って入れる雰囲気ではなかった。
だいたい旅先では、とりあえずコレという地の一品がある店を選んでしまう。そしておひとり様でも気兼ねなく入れれば尚良し、アルコールはビールでも酒でもワインでも構わない。
それとは別に、特別なウリはなくても地元民に愛される店もチェックする。
それでは、と、評判を聞く限り自分好みの酒場で、リストに載せていた「瀬戸」を選んだ。
中が覗きづらい地下の入り口に一瞬ひるみかけたが、ちょうどのタイミングで退店客がおり、向こうからドアが開いた。
若い女性の店員さんに「ひとりですけど」と問うと
「ちょうどカウンター空いたんで大丈夫ですよ」と快く通してくれた。
店内は評判通り賑わっていた。L字カウンターの中央2席が開いており、腰を下ろした。
とりあえず、生ビールとホワイトボードのシマアジ刺しを頼んだ。生ビールが旨かった。きちんと手入れされているサーバーなんだろう。
ほどなくして「お兄さん、どうぞ」とカウンター越しにシマアジが届いた。お兄さんなんて久しく言われてなかったので、自分だと気づくのに少し間ができてしまった。
ずっと喧噪の中に居る。
大津の運動公園で練習しながら何かの世界大会に出たグループ、
「おい、天ぷら頼んでるけど、まだか!さっきも言ったやん!」とせかす常連、
それをまあ待ってよと宥める店員、
お隣はバツイチどうしのカップル旅行客、
ウェイティングバー アバンティみたいに、ついつい聞き耳を立てながら、手際よくオーダーを捌いていく厨房を見ていると、一人酒がどんどん楽しくなってくる。
ついさっきまで醬油蔵で心に沁みる素晴らしいバンドを観ていたはずだけど、と笑えてくる。
好きなものを気楽に頼めるから酒場は好きだ。
お任せ串5本セット、アナゴ焼き、タコの唐揚げ。
正直に言うと、どれも普通の酒場の味だった。
でも、普通の地元の酒場を求めに来ているので、ビールが進むこの味が正しい解答。どの皿も、ツマ、にきちんと手を加えられているのが嬉しかった。
途中で、隣に同年代くらいの一人客が座った。
瓶ビールと馬ホルモン煮込み、鳥レバーを3本頼んでいた。内臓好きなんだろうな、と思った。
ちょこちょことスマホを触っていて、会話することは無かった。
店主らしきメインの料理人、両脇を固めるベテランのおっちゃん、愛想も客捌きも良いホールのお姉さん、全てをそつなくこなせるプレーヤーが揃っている感じ。みんな、役割をよく判っていて、良い店とはこういうことだと思う。
特に店主らしき方は、聖徳太子のようにいくつも耳(目)があるんじゃないか?
「注文こっちに直接で良いですよ~」「〇〇もうちょっと待って~」、そして私のような一人客にもタイミングをみて話題を振ってくれたり、気配りが上手。
客も良い。仕事仲間、男友達、恋人、おひとり様、みなが幸せそうにワイワイしている。
満員御礼のなか、2人客が入り口を開けた。店主が「今ちょっと無理やわ~」と言うと、カウンターの端の2人が「俺たち良いよ良いよ、出るわ、お会計。」と。
良い店に良い客、素敵。
心も胃袋もしっかりホクホクなったところで私もお会計、満足だった。
階段を上がると、アーケードにも路地にも人が溢れ、まだ連休のど真ん中に居た。
熊本は鹿児島よりアーケードが広いな、と思った。
城があって、路面電車が走って、広いアーケードが賑わってる、学生の頃に遠距離をしていた彼女の住む町に似ているな、と思い出した。
そういえば、大学の時に熊本に遊びに来て、たまたま熊本出身の大学の同級生とすれ違った事があった。
休み明け、その子に「熊本ですれ違ったね」と言うと「・・・???」キョトンとされた。
数秒たってから「あぁ、それたぶんウチの双子の妹やわ!ときどき言われるよ、笑」と。
すごい偶然だな、と思った。
あれすれ違ったの、味千ラーメンのあたりやったよな~とかは思い出したけど、
遠距離していた彼女とのエピソードは何だかぼんやりした霞に包まれた感じだった。
酔った頭で楽しい思い出が浮かばないっていうのは、楽しくなかったのかな、とも思った。
路面電車の停留所名やアーケードの雰囲気、彼女の家までの途中に松屋が有った事なんかは、ありありと浮かぶんだけども。
熊本は十数年ぶりだった。
実は熊本の人って少し苦手だった。熊本の人は熊本を愛しすぎててチョットな、、、イメージで。
清正公さんラブ、くまモンラブ、が強いな、って。(熊本の人すみません)
でも、熊本の酒場の人は素敵だった。
良い晩だった。
暖かいとも寒いともいえる2月の夜に、路面電車を眺めながら、色々と感じさせられた。
三船さんが、前回の熊本の時はまだナウシカの腐海に入るみたいに、みんなマスクをしてたね、と喋ってた。今日のことを奇跡だとも形容してた。
三密だとか自粛だとかが、直接仕事や生活に関わってくる人々は本当に不安だったろうな、と思った。
3年間の流行り病のあとに、大手を振ってライブが観れるようになって、ワイワイと酒が飲めるようになって、本当に良かった。
さむさむ、と急ぎ足でホテルに戻り、シャワーを浴びた。ハイボールを飲みながらテレビをつけると、オリンピック出場が決まる女子バスケの中継をしていた。ただ、喧騒の余韻が抜けず、今日一日の素敵な出来事、下通に溢れる楽しそうな人々の顔ばかりがフラッシュバックし、バスケは頭に入ってこなかった。
ROTHが私を熊本に連れてきてくれて良かった。
たぶん、熊本は酒場にいない人も素敵なんだろうと思えるようになっていた。