レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
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2位
1回
2008/08訪問 2008/09/01
「El Bulli(エル・ブリ)」で修行された山田チカラシェフの独立店。
確かな和食の技量の上に魔法のような調理法を重ねたそのコースは驚愕に値します。
箱を大きくせず、小さなお店で和装の若い女将の接客で進み、和室で〆るところも他にないスタイル。
賛否両論ある店だと思いますが、ぼくは好きです。朝食もあるところが素晴らしい!
道の向こうに六本木ヒルズが見える人気のない街角。小さな3階建てのビルの1階に白塗りの壁のお店がありました。入り口向かって右側には細い竹を植え、左に小さな覗き窓。
看板はなく、この覗き窓のガラスにちょこっとかかれているだけです。事前に店の画前をチェックしていなければ通り過ぎていたかも。扉は平坦な引き戸。中に入ると靴を脱いであがる簡素な玄関があり、左にあるダイニングの中はものすごく暗い。壁を切り裂くように縦に間接照明があるだけなのですから。
手前の右には照明を消してありますが和室がありました。
お出迎えのときは入ってくるのを察したのか、若い板さんが和室の中から正座して出迎えてくださいます。
実際の給仕などを担当されているのは和服姿の若い女将さん。背筋がしゃんとしていてきれいな方です。最初はとっつきにくいのかなと思いましたが、そこはカウンターです。次第に打ち解けました。そうすると気持ちよく食事ができるようになってきます。
食事の席はL字型のカウンターに8席のみです。
08年8月7日夜の来訪。
親友の土金先生と姐さんを呼んでこの店へ。
仕事が終わって20時の予約に間に合うように伺いました。「旬香亭」のころに伺うことは適わなかったので今日の予約が取れてうれしい。
飲み物でいただいたのは軽く紅茶のように発酵した香りのある香檳烏龍茶。ガラスのコップはとても薄いもので、冷たく美味しい。
姐さんはVICHY CATALAN(ヴィッチーカタラン)というスペインはバルセロナの温泉水で天然の発泡水。土金の親父も驚く軟水で注いで置いておいても泡はたたず、口に含むと微炭酸どころか細かな炭酸が口を刺激してきます。軟水であるためか、炭酸水の苦手なぼくもこれは美味いと思った。調べるとお医者様の水と書かれていますね〜。
後からいただいたのはリンゴのジュース。これも100%のリンゴジュースでした。
2008.8.7
コース12000円しかありませんが、遅くの時間の方はちょっとメニューが違っていました。2回目以降だったのでしょうか。
コースの前にキャビアを別に出すか聞かれましたが、一人6000円とのこと。ビビる金額ですし、ぼく一人ならともかく同行の二人もいるから贅沢はやめておきました。もともとお酒の飲めない自分ですしね。
おしのぎ
最初に出されるのは大きなスプーン一杯分の白米、ゴマ豆腐の味噌汁、そして和え物です。
和え物は真鯛のこぶ締めとモロヘイヤに自家製のカラスミ2切れをのせて。オリーブオイルでまとめられた和え物というのも珍しい。こぶ締めですが、塩もきっちり効いています。自家製からすみもしっとりして香りよく良い感じ。
ご飯は一粒一粒がそそり立つよう。やや艶がない気もしますが、つぶれた米が一粒もないのには驚かされます。
味噌汁は赤出汁で中央にゴマのほんわり香るまったりしたゴマ豆腐です。
ご飯が最初に出るのはどうか…という意見もどこかにあったかと思いますが、ぼくは逆転したこの店のスタイルが好きになりました。
サングリア
おしのぎをいただいているときに一緒に出されるのは柑橘系のジェラートの上にリキュールをちょいと注ぎ、上にたっぷりの葡萄ジュースのエスプーマをのせたグラス。
氷水で冷やしていたエスプーマの機会で女将さんが目の前で仕上げてくれ、二口くらいで飲むよう言われます。軽やかな葡萄のジュースに柑橘系の香り。お酒の飲めないぼくでも美味しく飲めるサングリアでした。
本マグロ正油ヌーベ
長方形の白いお皿にキューブをいくつも並べたようなお皿。
本マグロの赤身と中トロ、ラディッシュを添えた車エビ、ホタテ貝柱、ますこ、丸くまとめたわさび、そして四角い形にまとめたプルンとしたムース状の醤油なのです。まぐろや車エビはオリーブオイルでマリネしてあります。これに醤油を少しとって一緒に食べる。軽い感じの醤油で、量を自分で調節しやすいのです。
サマートリュフビシソワーズ
これも目の前でサマートリュフを削りかけてくれて完成する一皿。
塩気がしっかりしている冷たいヴィシソワーズは美味。フルールドセルのような塩の結晶を舌に感じたので、もしかしたら皿に塩を振ってから注ぎ込んでいるのかもしれません。
ここに香りはやや穏やか目でコリコリナッツのような食感の良いサマートリュフです。
カプレーゼ
これもグラスで。下の層は赤というよりもオレンジ色のトマトのムース。その上にはチーズのエスプーマです。上には酸味のあるドライトマトを中央に添え、横にパリッと水分を飛ばしたバジルの葉です。カプレーゼにある食感を破壊し、滑らかな口当たりを実現した一味違ったカプレーゼでした。
ここで出されたパンはフォカッチャ。やや塩気が強めで外側がパリッとしていて美味しい。
次にバゲットが出されました。こちらはフォカッチャに比べて普通です。
手長エビ
手長エビのソテーに泡のボール。この泡はチーズの泡なのです。ほんわりと香るチーズの風味が面白い。スープに浸っているのですが、これはアメリケーヌソース。濃い海老の出汁が美味しい。
キノア
このお店のスペシャリテ。キノアのように見える粉末が半分の壁にかけられた器に、目の前で熱いコンソメスープを注ぎ込み、匙でスープごとすくい取って食べる。冷たさと熱さを同時に味わう。粉末は液体窒素で固形化したフォアグラのムース、コンソメもやや濃厚に傾いた出来栄えです。さらりと口に入るフォアグラがコンソメと交じり合い濃厚な旨みの競演に口の中がざわめきます。
穴子スモーク
御椀が目の前で蓋を開けられると、スモークの煙が中から広がります。御椀の中に桜チップのスモークの煙を閉じ込めてあったのですね。
それが晴れると、なかにはふっくらとした穴子。その下にはペーストにしたレンコンと食感のある胡麻です。木の芽のさわやかさもうれしいですね。
佐賀牛
3種類の肉料理から選択できます。ぼくは佐賀牛のざぶとんと呼ばれる部位の肉を。味付けはシンプルに塩胡椒。まったくの直球勝負。火の入りも素晴らしい。肩ロースの上に座布団のようにのっている部位らしいのですが脂ののりといい実に美味い。
付け合せは金針菜とマッシュポテトです。
土金先生は鶏です。食べていませんが、構成は同じ。
付け合せには葉物野菜が別添えで。
ここで締めの前にチーズを薦められました。木枠のガラスケースに。一緒にイベリコ豚の生ハムも出されるそうです。ということで当然注文。
生ハムはいつもながら美味いね〜。それもそれだけではありません。
赤肉のメロンの球体ジュースが一緒に出されました。イベリコ豚を口に入れた状態で球体ジュースを口に入れると、生ハムメロンが口の中で完成!
付け合せの干し葡萄も、好きではない自分が食べても美味。
五島うどん
長崎県の五島のうどん。日本三大うどんである讃岐、稲庭、水沢、五島の一つ…ということは調べてはじめて知りました。水沢か五島かは結論出ていないみたいですね。四大うどんにしちゃえばいいのに。つるつるしたのど越しの良いうどんで細い麺です。上には香りよい岩海苔がたっぷり。そしてこの汁もまた美味。甘みがなんとも上品。
デザートは一口でいただけるちょいとビターなキャラメルのアイスと濃厚なカスタードのプリン。
食後にはお茶がいただけます。金沢出身のぼくはほうじ茶で。ほかにも煎茶、抹茶などがありました。
お茶菓子はしっとりしたフィナンシェとさっくり軽いガトーショコラ。
最後に可愛らしい飴ちゃん。
ぼくが食べたのはマンゴー味でした。
お茶は和室でいただけるとのことでしたが、先客がいて相席もご迷惑かと。時間も遅く、終電に間に合わないため早々に帰らせていただきよく見てはおりません。
さて、トイレウォッチャーなのでトイレも。和室の奥にあります。杓子を添えた水桶にちょろちょろと水が流れる手洗い。ちょっと使いづらい気もしますが和の面持ちが面白い。トイレはその奥で折りたたまれる開き戸です。
同様のスタイルでされる店が増えればかわってくるのかも知れませんが、現状ではしっかりした技術の上に「エル・ブリ」の魔法を乗せて展開している稀有な店です。その点において「龍吟」よりも上の評価。写真撮影可能なのも評価がこれだけ分かれている理由かもしれません。
ところで、土日限定で朝食をやっているそうです。
7時、8時半、10時の三部制。早速、次の日曜日の朝8時半で予約しました。
文字数制限に引っかかりますので、ブログの方をご覧ください。
3位
1回
2008/11訪問 2008/11/14
割烹と料亭の二つの顔を持つと言われる赤坂の和食店。
京都の料亭が東京に作り出した異空間ともいえるそのエントランスからその料理にいたるまで素晴らしい。
トップクラスの店としての重要な役割も感じ、考えさせてくれました。
赤坂の一角。ビルの立ち並ぶ中に緑深い石畳の通廊のエントランスがありました。
緩やかな階段になった道の両側には竹や木などの緑と足元を照らす照明。
小さな木の看板を掲げた竹の門を通り抜け、道を歩くと、ここが都心であることを忘れます。
突き当りで右に曲がり、小さく祭られた場所を見ながら建物の入り口へ。ここはよく上を見ると、ビルの合間を抜ける場所。裏口の方みたいに見えますが、よくぞこのエントランスを作れたものです。
入り口はシンプルに。なるほど、京らしい和のわびた風情があります。
中に顔を出すと出迎えの仲居さんが待たれていました。名前を告げて落ち着いた雰囲気の1階を右に見ながら、奥左側の階段を上がり2階へ。ちらりとみえた1階はカウンター席や小上がりのようなオープンな半個室などのようです。
2階は靴を脱いで上がります。
畳敷きの廊下からふすまをあけていただき個室である和室へ。
黒塗りの長い机で、足元は掘りごたつのように座ることができる構造。本当にコタツのように足元が隠れるよう布が張られています。塗りのいすにフカフカの座布団。娘のためには座布団は小さいものと二重にしてくださっていました。
08年11月5日の来訪。
17時の予約で。両親とともに伺いました。
懐石 21000円
コースは一番高いものをお願いしてあります。
最初は金色の面の杯に日本酒を。鉄瓶のようなよい急須から仲居さんが注いでくれます。
これが爽やかな口当たりで美味しい。日本酒の飲めない自分がそう思い、かつ飲めるほどしかありません。ネットで調べると菖蒲酒のようです。口がすっきりと食事の体制に入るとともに、これはいいかも♪と気持ちもリセットされます。
飲み物は冷たいお茶を希望したところ京番茶をいただきました。
薄いガラスのコップは一流店で使うそれ。
冷たく美味しい。なくなるとすぐに持ってきてくださいます。
途中からは温かいものに変えていただきました。
先付は白子です。生姜の利いた和風出汁に。とろりとした濃厚な白子にさっぱりした汁で美味しい。和食の店としての力量をしっかり感じさせてくれました。
とても美しい八寸。重ね合わせて盛り付けるところがまた良い。上に飾られているのは真っ赤なもみじ下には黄色のイチョウとオレンジ色の柿の葉。それと蕎麦と海苔で作られた食べられる松葉も。
柚子の器に盛られているのはあんきも、茹でたシメジ、水菜です。
手前にはフォアグラの松風。フォアグラに松の実とレーズンを使い、表面にはけしの実。
その上にのっている紅葉型のものはざっくりした食感のイカの表面にウニをのって焼いたもの。
黄色い陶器の器の中には自家製のカラスミが厚切りで。これにコリコリしたクワイのチップスが添えてあります。
それと大ぶりの銀杏は見たことない大きさ。
お造りは2皿。一皿目は左に明石の鯛、右に伊勢海老の刺身。厚切りでブリブリした食感が双方ともたまらない。鯛も見事ですが、その上にうろこをとった皮がのっていました。ゼラチン質の塊のような皮際が魅惑的な口当たりです。
盛り付けてあるのは山葵に細工された大根とにんじん、それに水前寺海苔。
刺身のつまも手抜かりなく極細の切り方。同じ細さの茗荷がまぜこまれていて爽やかな口当たりです。
2皿目のお造りはこしびという鮪の稚魚。筋目のない見事な鮪の身はとろけるように美味しい。
上にはマスタードがのっています。
これにつけていただくのはこのお店のスペシャリテである黄身醤油。出汁を加えた醤油に卵の黄身を3日間漬け込んで作るのだそうです。卵の黄身の持つ濃厚な旨味を絡めていただくのですからすごいものです。
ここで松茸の土瓶蒸しです。中の具は鱧と松茸。まずはお猪口にスープを注ぎ飲む。実に美味い。和風出汁に松茸の香りがすごい。
さらに添えてある酢橘をひと垂らし絞って飲むと、爽やかな風味が加わって何倍にも美味しく感じました。この美味しいスープを娘が大変気に入ったようです。半分は飲まれてしまいました。
もちろん、たっぷり目に入っている松茸と鱧の具も後から美味しくいただく。量が多いなぁとこのとき思う。
カマスの杉木焼きです。松葉の上に盛り付けられ、辺縁が燃えた杉の木の薄い板が秋らしさを驚きとともに演出してくれています。
カマスは幽庵焼きで椎茸を添えています。やわらかく味のしみこんだカマスはただでさえ美味しいが、ほんわりと漂う杉の木のスモーキーな香りに絞られた酢橘も爽やか。
炭を使った網焼きの焼き松茸が登場。運ばれてきたときから松茸の良い香りが。
焼き方はすでに焼いてある状態なので、すぐに食べられます。
手前左にはポン酢、右は酢橘と塩です。
この松茸も娘は食べていました
ただ、酢橘が続くのはちょっとどうかなと思う。美味しいけど。新しい食べ方ってないのかな?
ここでしめ鯖。半透明のガラスの皿にのせられた紅玉を器に。
横に添えられているのは木の蓋をした長細いお猪口。この中には海老味噌と海老の殻でとった濃厚なスープ。うわ、美味い!! 和食の店であることを忘れてしまいました。これも半分娘に飲まれてしまいました。
全体的に量が多目でもうおなかが膨れたところで、ドンときたのは京野菜の炊き合わせ。
焼いたアナゴの身ににんじんや蕪など。上に刻んだ柚子の皮が添えてあります。食べ切れませんでした。
土鍋に持ってきてくれた食事はいくらご飯です。
混ぜ合わせて茶碗に盛られたときにはいくらをつぶしてその中身をご飯に混ぜ込んだようで、米粒が赤く染まっています。上にのっているいくらは数を減らしていますけど。米は一粒一粒がつぶれていない最高の炊き上がり。これはすごい。海苔と三つ葉も入っていました。
食べきれない分は持ち帰ることが可能で折り詰めにしていただく。
お汁は野菜のすり流し。
香の物は3種盛り合わせで、ここにいたるまで隙のない味わい。
デザートは2種類からの選択でした。
蕎麦粉と胡桃のカステラ キャラメルアイス
ビターな味わいのキャラメルのアイスに蕎麦の実を乗せて。舌には胡桃と蕎麦粉入りのブラウンのカステラです。
代白柿 柚子ソルベ
完熟した甘みを持つゼリーのように透き通った柿。奈良県は西吉野特産の江戸柿という渋柿を京都独特の方法で渋抜きした柿で、京都の料亭ご用達の品。まるでゼリーのように透き通り、とても甘い。柿はタンニンが黒く固まって色がつく…と先日テレビで見ましたが、これに染みはまったくない。
一緒に柚子入りのシャーベットです。上にブランデーのジュレみたいのがかけられていたと思います。
最後にお抹茶をいただく。プラスアルファがかかったと思います。
一緒に出されたのは蕎麦の実の煎餅。
ところで、娘のための食事も用意していただいております。
玉子焼き、鮭の焼き物、ふんわりと柔らかな具の入ったお澄ましにご飯です。
玉子焼きは甘くもしょっぱくもなく玉子本来の味わい。お澄ましは塩分がかなり薄め。
子供ということで、薄味に作られているようです。大人のものをもらってばかりいるうちの娘は余り気にいらなかったらしく、食べないなぁ。その代わりに大人の食べているものをガンガン食べる。もともと鮪好きなのでこしびは食べるし、土瓶蒸しはガンガン飲むし、海老のスープもぼくの分半分飲んじゃうし、焼いた松茸も食べていました。恐るべき2歳児です。
アイスも出していただきました。ぼくらのと同じキャラメルのアイスです。
トイレは上がり口の左に。
木の床の和室的トイレでありながら、タンクなしの便器など最新式のものを上手く取り入れていました。さすがは一流店。
とても素晴らしい。
ところで、掘りごたつの足元にもち米のようなものがへばりついていたようで、靴下にペッタンペッタンとつく。お手拭でしっかり拭うと取れるので問題なかったのですが、途中で仲居さんにお願いしてきれいにしていただくということがありました。靴下を洗濯するとまで言ってくださったのですがご辞退申し上げる。トラブル時の対応はしっかりしたもので安心できました。
また、ミシュランに載る大型店だからでしょうが、慣れていない仲居さんもいらっしゃいました。それほど気になるようなことはないのですが、教えている光景も少し見受けられます。これを見て大学病院を思い出しました。なるほど、こういうお店がよい接客の人材も育てるのだなぁと考えさせられました。そう思うと少々の至らないところなど、気にならなくなりませんか?
最後にはきっちり料理人のお見送りもしうていただく。このあたり京都の料亭はしっかりしていて感心させられます。
4位
1回
2008/11訪問 2008/11/23
ミシュランの星にも輝く京都の予約困難店の銀座店。
カウンターでオープンキッチンを眺めながら、和洋折衷の創作料理を洋と和のハイセンスな器でいただく。
出される料理も全国の食材の対比や温度の対比を意識しつつ、京の素材の素晴らしさにも心打たれます。
昼食は一度食べに来たかったこの店。京都でも予約が取れない店ですが、銀座のランチは果たして直前の電話で一人なら大丈夫でした。
交詢ビルのエレベータを降りて、右行くと突き当たりにあるのがこの店。
壁一面に稲穂が書かれ、シンプルな外観に鉄格子のような扉、中は石を積み上げた壁でなんともよいデザイン。
入ってレセプションがあり、奥はガラス壁で仕切られた半個室、右の部屋はカウンターが並ぶ厨房でした。
木のカウンターに座りやすい赤い背もたれの椅子。厨房にはなんと9人が働かれています。
ちょうど名札のないシェフがいらっしゃいました。金髪ですし米村シェフご本人みたいです。月の3分の1は銀座店にいらっしゃるということなのでラッキー。
カウンターは半の入りで混んでいません。隣のほうには小学生のお母様方が自分たちは10000円のランチを楽しまれています。さすが銀座。
ウーロン茶 700円
美しい模様が入ったガラスのコップにウーロン茶。ケチらずたっぷりあるのがうれしい。
スペシャルランチ 10000円
メニューはカレーランチ3000円、ランチ6000円で、スペシャルがこれです。
夜来ることはかなわないでしょうからこれを頼みました。
甘鯛のムニエルとキノコのワンスプーン
ガラスの皿に大き目のガラスのスプーンで供されるワンスプーン料理。
パリッとした煎餅のようにうろこを仕上げた甘鯛に粒マスタードのソース。その下にはシメジなどのキノコとジェノベーゼのソースでしょうか。一口で食べるようにシェフから言われるので半分は別個に食べようとしていたぼくも一口でいただく。
弾けるような弾力の甘鯛のムニエルは見事。シメジの歯ごたえもプリッとしていて美味しい。やや塩味が足りないのかインパクト的には弱いかも。
鼈のスープと的矢産牡蠣のフライ
鼈のスープは独創的な面白い形のカップでいただきます。
濃厚な鼈のコンソメのようなスープで美味しいが味は生姜が濃すぎるか。焼いた白いネギに鼈のエンペラとその身が入っていました。鼈はしっかりした味わい。
カキフライは手前が的矢産の牡蠣、奥が広島産の牡蠣とのことでした。
上に盛られているのは九条ネギの新芽の千切り。これが爽快で美味しい!!
カキフライの上には自家製らしいタルタルソースとケチャップのようなソース。
カキフライはジューシーで熱々。実に美味しい。
鮃と洋ナシ イベリコハムのサラダ
重ねあわせた料理。イベリコ豚の生ハムの上にバーナーで炙った平目の縁側とヘーゼルナッツ。その下にはルッコラに茹でたキャベツ、ソテーした平目と生の平目を重ねています。仕上げにオリーブオイルを振り掛けていました。
これも巻いて一口で食べるようにシェフから言われました。2つあるのでひとつはそうして、もうひとつは別々に食べたい〜!!
イベリコ豚の生ハムは期待通りの濃い味わいで、さっくり甘い洋ナシにハーブのドレッシングが軽妙なバランスで口の中で混ざり合います。
粟麩のピザ 渋皮煮添え
これが面白い料理です。お餅かと思うほどむっちり柔らかな粟麩に黒オリーブ(たぶん)のペーストを塗り、ブルーチーズをのせてピザのように焼いています。ゴルゴンゾーラの香りがすごい。上には渋皮ごと甘く煮込んだ栗に百合根、火が通って縮んでいるセルフィーユでした。
伊勢海老とボッタルガの冷製パスタ
小さなカップと大きなカップを重ね合わせて供されたのは冷製パスタです。
上には生海苔とすりたてのわさび。
下は冷製のスパゲッティーニで、スライスしたカラスミに刺身の甘海老、蕎麦の芽のスプラウト。
スパゲッティーニにはとろみのある餡が絡められています。
これも別個に味見していたら、生のりをといてかけて食べるようシェフから指示が出されました。
黒毛和牛のステーキ 京水菜とレッドオニオンのサラダ添え
中空の変わったお皿に。
黒毛和牛を炭火で焼いたもの。右はヒレ肉、左はロース肉で。かなりレアな仕上がりですが中まできっちり温かい。
上にたっぷりの水菜と赤い皮の玉ねぎとニンニクチップです。下にはゴマのソースです。
香箱蟹の飯蒸しと京野菜のポトフ
白いUFOのような器と金属に支えられたボウル状の器に。
左の白い器には金沢でお馴染みの香箱蟹を使った飯蒸し。むっちりしたもち米の上に甲羅の内側に有る未成熟卵の赤い内子と味噌に白いとろとろした身。それに腹に抱えた卵の外子はきちんと筋を取って添えてあります。そして、脚のみを2本乗せてくれていました。
ポトフはまるでコンソメスープのようなスープに柚子の皮を入れて爽やかな香りを演出し、じっくり煮込まれて柔らかいにんじん、皮が黒く太いごぼう、蕪の具が美味しいもの。器がもてないほどに熱々。
カンパリオレンジのシャーベット
銅製の小さな器に。上にはオレンジ。苦味の利いたカンパリオレンジのシャーベットが中に入り、炭酸水が注がれていました。ポトフに相対してガンと冷たさを強調した素晴らしいシャーベットです。
ちょっと固めのシュークリーム
お好みのデザート1品を7種類のデザートのリストからの選択できます。よく見ると、デザートだけどんどん1品1000円で追加も可能と書いてあります。
右にチョコレートを立てたキャラメルのアイス。左に外側にさっくりした皮で中のカスタードが流れ出すほどとろとろ。
パン、コーヒー
出だされたパンにはバター2切れも。パンは熱を入れているわけではないし、バゲットを切って出したものです。一口だけいただきました。
お茶菓子は小さなものを4種。砂糖をまぶしたクッキー、口解けのよい抹茶のクッキー、シナモンロールのようなクッキー、シュワシュワととけるマシュマロのようなお菓子。
コーヒーもカップが面白い。
食材の産地、料理の温冷、その対比が面白いレストランです。もちろん、器から内装にいたるまで実に素晴らしい。
昼であったためか凄みを感じる料理がなかったことや、ちょっと好みとはずれる味のものもあったことが三ツ星でない理由。厨房の人数が多いことにも由来するのでしょうか。夜にもぜひ行ってみたい。
5位
1回
2008/09訪問 2009/03/22
フランス語で自然の賜物・天賦を意味するお店。
店主は「麤皮」出身とのこと。前菜から始まるコースも素晴らしいが圧巻は炭火の窯で焼かれた塊の牛肉です。正に極上の肉がガッツリ味わえる最良の店でした。
ビルの地下1階にあるのですが、外からではそれとわかりません。工事中のそのビルの中を通り、奥にあるエレベーターで地下に降ります。
降りて向かって右側にビロードのテーブルクロスをかけた小さなテーブルに大きなフラワーアレンジメントとワインの瓶がおいてありました。その脇の木の扉がこのお店です。扉のガラスにあまり目立たない形で店名が書かれています。
中に入ると、ウェイティングです。ボックス型のソファに2つのテーブル。
円形のソファ席の向こうの突き当たりの壁がすべて客席のテーブルになっています。照明は穏やかなダウンライトでシンプルな壁には絵が飾られています。一番奥は仕切りがされていて個室チックになっていました。
テーブルには白いテーブルクロス。白磁の皿が見せ皿として置かれ、ナイフとフォークのほかに木の箸が添えられています。
08年9月9日の来訪。
本日は同期とご飯という設定で利用。17時半過ぎに仕事は上がらせていただき銀座へ。
乾杯は珍しく微発泡の白ワインで。アルコール度数は高くないとのことです。ブルゴーニュのものらしいですね。ビンは小さく半透明でensoと書かれています。低カロリーで低アルコールの飲み物です。
その後は烏龍茶で。
コース 21000円
注文は人にお願いしてありましたが、この店ではたぶんこれです。
前菜は3品の盛り合わせで。
奥からアナゴのテリーヌ、右は鮑の酒蒸し、左は自家製スモークサーモンです。
アナゴは皮まで含めて層状に積み重ねていて、和風だしのジュレが添えてありました。
酒蒸しは鮑の柔らかさと噛む歯をむっちりと押し貸す弾力が絶妙。昆布をたっぷり食べた肝とともに添えられ、姫葱で飾っています。
スモークサーモンは驚きの厚切り。砕いたピンクペッパーに柑橘系の皮の細切りとグレープフルーツの果肉にディルがのせられています。添えてあるのはコンソメのジュレ。香りを楽しめる良い味のサーモンでした。高温の窯で作るからできる一品ですね。
ステーキ屋さんだと思って来たのですが、前菜からして素晴らしく、素敵な店であると確信できます。
パンはバゲットにバター。
魚料理はスズキのポワレです。皮をしっかり焼いてしっとり良い身が肉厚で美味い。上にはトマト、下には味噌ベースのソースが敷かれ、周りに辛みのあるオーロラソースのようなソースで飾られています。
上に添えてあるのはアスパラに実の美味さがギュッと凝縮した蟹の脚の身。
スープは牛の筋からも出汁をとっている濃厚なコンソメ。そこに牛筋とその牛肉、蕪、にんじんなどを入れて一緒に煮込んでいるそうです。シェフは田舎料理だといっていました。普段出せる品ではなく、暇がないと出せないものだとか。昨日がちょうど不思議なほど暇だったそうで。今日はラッキーです。こんなに美味いスープにありつけるとは。とくにその牛筋は口にするとコラーゲンが口に流れ出すほどにとろとろの仕上がりで美味しい。
サラダは各種葉物野菜にプチトマト。メインにサイマキエビのエスカベッシュを添えて、生ウニにホタテの小柱も混ぜています。上には薄切りのたまねぎ。ドレッシングは結構酸味が強いけど、これがまた美味しく野菜をいただける。海老は頭まで食べられるとのことでしたが、ちょっと苦手です。
肉は4人とも男だったので、フィレとサーロインをガツンと塩胡椒して炭火の窯で焼いたものを。
これをシェフが目の前で切り分けてくださる。焼き加減はお任せでミディアムレアだと思います。最初に強火で焼いてからじっくり火を通すので、その中は真っ赤ですが火が通っているという素晴らしい仕上がり。塩胡椒で味はついています。
フィレはその赤身がとても良いもの。固まりできていますので、自分で切ってガッツリ食べれます。いやあ、美味いなぁ。
サーロインは赤みに脂身が散在する良いもの。脂の美味さがまた良いのですが、柔らかくジューシーで表面のカリッとさとの好対照が好印象。脂がこれだけ多くともしつこくありません。ステーキ屋にありがちな脂身で残すような肉もついていないところがまた良い。
300gくらいあるのでしょうか。全部食べられるだけに後半はやはりきつくなる。
味を変えるためにマスタードソースが添えられていました。意外にもこれはそれほど効果を発揮しませんでした。肉が良すぎたのかな?
付け合せの野菜はバターで炒めてあるカリフラワやサヤエンドウ、にんじん、ジャガイモなどです。
デザートは葉っぱの形の皿に。
切り身のパパイヤ、黒胡麻とバニラのアイス、パッションフルーツのシャーベットでしょうか。中央には重めの生クリームとフランボワーズです。
食後の飲み物は、コーヒー、エスプレッソ、紅茶、そして水出しコーヒーからの選択。
もちろん、水出しコーヒー。ガラスのコップで澄んでいながらコクのあるのみ口で美味しい。
ちなみにトイレウォッチャーですのでトイレも見ています。ここのトイレは入り口脇にあり、結構広め。洗面とトイレの境界がない構造です。タンクなしでボタンでふたを開けられる最新のもの。手洗いも自動で硯のような溝に水は流れます。全体としてこのトイレ、洗面にリボンをかけた備長炭を置いているのですが、その効果とは真逆にレモングラスの香りがします。
6位
1回
2008/06訪問 2008/06/24
長谷にあり、湘南の名店と呼ぶにふさわしい一軒。
ストイックな店主による極上の寿司。
1日に極僅かなお客を相手に真剣勝負の寿司を振舞う姿勢は好みが分かれそうですが、ぼくは好きです。
店構えはやはり小さい。寿司屋というよりも和食の店という感じの佇まいに特徴的な手彫りの合法な看板。
中に入ると、テーブル席2卓にカウンターのみというこぢんまりした作りのお店。店主いわく、一人で鮨を握るには7、8人が限界。それ以上だと一人では握れないか、粗い握りになるという考えの持ち主です。
黒光りする分厚い富貴漆の木のカウンターでいただきました。目の前の壁は珪藻土を用いた塗りが特徴的ですね。湘南の海の波を模したかのような模様に活けた花…すっきりした「八左エ門」とはまったく別の方向にこだわりが見える。壁の前には包丁が飾られています。店主の使う包丁は日本刀と同じ玉鋼というから、飾るのも自然なことでしょうか。
07年3月に初回来訪。
コースはおまかせのみ。
最初の小鉢はのれそれ。穴子の稚魚です。これがつるんとした口当たりながら平べったい穴子らしく食感が独特。ポン酢醤油に万能葱と卸し生姜。これが激ウマです! 最初からこんなに良い素材を上手く出してくれるとは、と感涙しました。
赤貝の肝の串。濃厚な赤貝の肝を炭火で焼いた後に串に刺したみたいですね。これもシンプルに調理してあり、とても美味しい。
3品目はグラスに能登の赤ナマコ。これも柚子ポンのようですが、上に大根おろしと紅葉卸、柚子の皮をのせています。この赤ナマコの美味さには絶句。ぼくはこの日までナマコが嫌いだったのです。しかし、小粒に切られたこのナマコはくっきりした小気味良い歯ざわり、極上の味わいにしばらくの間浸りました。苦手なものはと聞かれて、口までなまこと出かかったのを飲み込んでよかった~(笑)。
空豆。フジの籠にゆでた大振りの立派な空豆。皮を自分で剥いて食べます。
つるんとした柔らかな空豆ですね。
金色に塗られた独特の器にトコブシ2個です。むっちりしていてトコブシもアワビと同じくらい美味しいなと思いました。これには甘いつめが塗られていたと思います。添えてあるのはとろりとした刻んだわさびの茎。
ヤリイカ。鹿の子に包丁の細工を入れ、卸し金で柚子を削って竹の刷毛で振りかけていました。味付けは岩塩。漣のように美しく反り返ったヤリイカは一種の芸術品のようです。もちろん、甘みと歯ごたえも新鮮で素晴らしい。
真鯛の昆布締めと金目鯛。煮切りを塗ってあります。
金目鯛のピンク色のメタリックな輝きの美しいこと。これが本当に魚かと信じられない。もちろん、金目は好きな魚ですし、その味も素晴らしい。
昆布締めの真鯛は刻んだ万能葱を仕込んでいます。透き通る白身にほんのりしたピンク色。実に良い仕事をしている。
辺縁に細かく包丁を入れた家で茹でた赤貝。大振りで厚い身に赤貝らしい歯ざわりと磯の香り。
とり貝。このとり貝はそれほど好きな感じではないのですが、握りのよさが逆に際立ちました。酢飯は赤酢を混ぜたブレンドだそうですが、酢飯は赤くないのですね。
マグロ赤身のづけ。これがマグロの赤身かと言う様なねっちりした食感。出すまでに4,5日熟成させてから握っているとのことでしたが、それがこの美味さと食感を生むのですね。
若竹の握り。穂先の方を焼いてあります。柔らかでコリコリしています。これは筍の香りが弱いためか、安定感がないからか珍しく海苔を使っています。
茶碗蒸しです。同じような滑らかな口当たりのしらことしゃきっとした百合根が入っていました。上には柚子の皮を削って。口当たり良い滑らかな茶碗蒸しは非常に上品。余計な具が入っていないところも好みです。
こはだ。美しい切り立った包丁の入り方、江戸前らしく丁寧な〆方、酸味を適度に感じます。手抜きは一切無しで店主のこだわりが良くあらわれている握りです。
海老。煮切りを塗って艶やかに光っています。ほんの少しだけ甘くしたおぼろを中に仕込んでいるようです。
中トロ。4、5日は熟成させたマグロの中トロ。写真ではわかりにくいのですが、半分が大トロの状態。ごっつく美味い。この後に大トロが出てこないところもこだわりなのでしょうね。
五島の鯖。プリッとした身でしっとり。鯖はりんご酢でつけているらしいですね。ふんわり握られた酢飯一粒一粒が美しいと写真を見て思いました。紅葉卸とネギをちょいとのせています。
稚鮎。尻尾の方が僅かに口に残る。
鯵。身に切れ目を入れて。上には卸ししょうがと葱。鯵が持つ脂の美味さも最高ですね。
玉子。カステラのように甘く、しっとりしたもの。焼き具合といい上質です。
味噌汁は蟹です。じっくりと蟹の旨味と味噌の甘みが湧き出る作り。味噌汁自体は味噌がまったくでしゃばっていません。おすましとの中間のような不思議な味噌汁でした。
穴子。これも岩塩に酢橘をしぼって。ふんわりした穴子の身にタレはなし。純粋に穴子の味が味わえます。
軍艦巻きではなく、生雲丹の握り。とろけるような甘い香りの生雲丹を酢飯の上にのせて岩塩をふっています。醤油や海苔などの香りなく、純粋に雲丹と酢飯の競演を楽しめます。塩だけというところが雲丹の甘みを引き立てる。柔らかい握りのためにこれは手渡し。
自家製の醤油漬けのいくら。これも海苔を使わず、上に盛り、小皿に乗せて出してくださいます。海苔の香りが邪魔をしないようにとの配慮。
ミル貝。歯ごたえがしゃっきりしています。煮きりが塗られていました。
足りないので、もう少しお願いして出していただいた平貝です。切れ目を入れることで、折り曲げて酢飯を包み込むようにしてのっています。
蛸の頭の握り。煮込んであり、スカッとした食感で面白い。珍しくタレが塗られていますね。これに関しては香り云々ではないよう。
最後は巻物を願い。ねぎとろです。刻んだ万能葱と堂々たる中トロの細切りを粗く切ったものを巻いています。巻いているところを見ると面白いのですが、細巻きを作るように巻いて、最後の部分を切って下に蓋をして渡してくださいます。
デザートは細長い苺と驚くほどみずみずしい伊予柑。新鮮で上品ながら実に美味しい。この店のこだわりはここでも具象化されていますね。
子供も連れて行きたいけど、難しそうな空気でした。店主と真剣に向き合って食べる感じが好きな方はあうかな。ストイックすぎる店主とあわない方もいそうですが。
08年6月2日夜の来訪。
文字数制限に引っかかりますのでブログの方をご覧ください。
7位
1回
2008/06訪問 2008/06/07
かつてここまでコストパフォーマンスに優れた店があっただろうか。
ぼくの大好きな「サローネ2007」の平シェフが腕を振るう渋谷の小さなイタリア料理屋です。
ちょっと奥まった場所にある隠れ家でゆったり落ち着けるのもうれしいところ。
価格はB級、味はA級。ぜひご自分でご確認ください。
金曜日の夜、渋谷は物凄い人です~。しばらくこんな猥雑な感じの雑踏には足を踏み入れていなかったなぁ。
お店は東急ハンズの目の前の雑居ビルの2階に。雑多な看板の中から店の案内を見つける。
緑色のステップの螺旋階段を上がり2階へ。上に上がってすぐのお店は別のお店。
そのまま右に行くとエレベータ前に金属製の装飾された看板が立っていました。レストランがあるようなビルの内装ではなく、不安はありますがここで間違いない。
右に目を向けると待合の椅子があり、お店がありました。ここにも金属製の装飾を使った小さな扉。「サローネ」の印象がありますのでその差には少々戸惑うかもしれません。
中に入っても小さなお店ですね。イタリアらしい塗り壁にレンガがむき出しになったような作り。
テーブル席だけではなく、厨房前のカウンター席が。
奥には4人掛けテーブル2卓を備えた小さな個室があります。薄暗く雰囲気が良い。
08年6月6日の来訪。
「サローネ2007」の平シェフが事情があって夏までくらいこちらに入っていらっしゃるとのことで行こうと誓っておりました。
19時半で先客は2組でしょうか。厨房にいた平シェフが早速挨拶に来てくださいました。徐々に店は混んで満席に近くなります。相席はないので4人卓に一人の方もいらっしゃいますね。
通常はパン代としてコペルト500円がかかるのですが、サービス期間中に付きコペルト無料。さらに通常3000円のディナーコースが2500円と格安です。もちろん、6月7日までの期間限定ですが(笑)。
大間の本鮪ほほ肉のタルターラ.トリュフの香り 1400円
コースの前に気になった前菜を注文。そぎ落とした感じのしっかりした食感の鮪のほほ肉は脂を含まないものの赤身らしい充実した味わい。タルタルのソースを絡め、上には刻んだ万能葱。白トリュフオイルを隠し味程度に使っています。ただ、香りとしては葱が強いかも。
ここから3000円のコースです。
北海道産えぞ鹿の自家製スモーク.カルネサラータ
前菜4品のうちの1皿目。スモークの香りも良い蝦夷鹿の肉。生ハムのようで、オリーブオイルをかけ、イタリアンパセリを散らしています。
シチリアの空豆の冷たいズッパマッコ
前菜2皿目。「サローネ」でもいただいた空豆の冷たいスープです。魚のだしが結構強めに感じました。オリーブオイルをたらしていますが、さらにこの中にクリーミーなマスカルポーネチーズが沈んでいます。
ここでパンが登場。自家製だそうですが、揚げパンかと思うような美味しいフォカッチャとレーズン入りのパンの2種です。コペルトなしなのにお替りまでもってきていただきました。
アンティパストミスト
前菜の3皿目。右のナスのソット・アチェートは酢漬けなのに甘く、酸味がよい感じに。
手前のカボチャはバター煮です。ほんわり甘いカボチャの味にバニラの風味がします。
左はゴボウのアラビアータ。辛味がきいたトマト味のゴボウはなかなか行けます。
コロダイのシチリア風カルパッチョ
長崎産のコロダイは透明な身と赤い部位が美しく、はじけるような食感。上にはディル、セルフィーユ、イタリアンパセリなどお得意の5種類のハーブ。オイルのほうにも、乾燥もののタイム、オレガノ、フェンネルが使われ、広島のオレンジを添え、さらに香ばしいアーモンドスライスが入るなど香りのオーケストラ。
下には平シェフの故郷山形のタラの芽、行者にんにくとコゴミです。上に乗っているので十分なくらいで、山菜を添えているのは贅沢~。
長野産極太グリーンアスパラのフリウラーノソース
極太で繊維の少ないグリーンアスパラをボイルしていただく。下には卵黄とビネガーにエシャロットを加えたフリウラーノソース。酸味がビシッと効いたソースでした。振りかけてあるのはナツメグ。それに白トリュフオイルがかかっています。
やんばる豚のサルシッチャと茄子のラグー.ペコリーノ風味
実に良い塩梅の自家製サルシッチャにナスのスパゲッティーです。サルシッチャだけではなく、2色のパプリカにパッキーノトマトを使ったミートソースライクなしあがり。いいですね~。実に美味しい。本当にこのコース設定でやっていけるのか心配になります。
上にたっぷりかけられているのは「サローネ」でもおなじみのペコリーノウンブロエトルスコ。ヤギのチーズです。
佐島産スズキのアクアパッツァ
平シェフのスペシャリテのアクアパッツァ。「アクアパッツァ」修行時代に教わり、真っ当なことを真っ当に行うだけとおっしゃられますが激ウマです。
基本は佐島のスズキ。いつものヴァポーレの3倍はあるスズキに感涙。上には身が半生に近いぷっくりしたアサリがたっぷり。熟成が進んだオリーブにケッパー、ドライトマトと刻んだイタリアンパセリが合わさり、乳化したオリーブオイルとアサリやスズキの出汁もたっぷりでケッパーの酸味が利いたスープも飲み干すほどに美味しい。これだけで2000円はくだらない皿です。コスト度外視ですね。
ミニデザート
3種盛りです。冷たいティラミスのカッサータ、プチプチが入った赤葡萄のムース、しっとりと重めのスポンジケーキに生クリームのソースと蜂蜜です。
カプチーノ
ミルクの泡が結構荒いのですが、温度がすぐに飲める程度でしたのでさっと飲めました。
夏まで平シェフがいらっしゃるのであればコペルト払って3500円でもコストパフォーマンスは抜群だと思います。この低価格で最上の料理を味わえるとは。知れ渡るとまったく入れない店になりそうですね。
ところで、今回は平シェフのカラーの確認ができた感じです。やはり「サローネ」のランチでいただいた樋口シェフのセンスとはかなり違う。それでいて合わさっているのが夜のサローネかと納得いきました。
8位
1回
2008/06訪問 2009/04/12
銀座のちょっとはずれにある素敵なフレンチです。
フレンチのエスプリに和のエッセンスを取り入れた料理はきっと素敵な時間をもたらしてくれると思います。
ビルの1階に小さな入り口があります。丸く窪んだ白い壁に後ろから照明が光る半透明のプレートの看板。地下のお店なので階段を下りていきますが、足元の照明のスペースにはワインの瓶が並び正面にはエッフェル塔を使った布(タペストリー)が降りていくときに目に入ります。
入り口は簡素で、入ってすぐがレセプション。向かって左は小さな待合スペース。
シェフは「メゾン・ド・トロワグロ」のシェフ・ド・ポワソンをはじめ、「レオン・ド・リヨン」など腕をふるわれていた鳴神正量氏。入店の時点から出迎えてくださり、料理が出るときも直接もサーブして説明してくださいます。
ダイニングは地下ですから暗く落ち着いた雰囲気に。鮮やかな赤の壁、黒い天井にフランスらしさが漂います。
テーブルの上には和の絵柄も美しい見せ皿。フォークとナイフがまたかわっています。ナイフではなく、へらのような食器もありますね。それでいて肉のときのナイフはぼくの好きなライヨールです。こだわっていますね~。
08年6月1日の来訪。
17時半ですので1番目のお客。もともと何回転もさせることをせず、お客の数を絞っているそうですが、現在では気楽に入ることもできそうな混み具合に。カウンターもありますし、銀座で一人ならばまたぜひ入りたいお店です。
鳴神六宝(6品のコース) 10500円
8品のコースもありますが早く帰らないとどやされるのでこれに。
付きだしに出されたのはシェフのスペシャリテ、テリーヌ・コション リュースティック。鹿児島産黒豚肉、フォワグラ、オニオンコンフィのテリーヌ。表面のゼリーの層には黒トリュフが仕込まれていました。まったりしたフォアグラに「AWkitchen」の豚のリエットを思い出した黒豚とオニオンコンフィはバランスよく美味しい。
付け合せは干しイチジクの赤ワイン煮とイタリアンパセリです。
手前には赤穂の塩と黒七味。あえてこれを選択するところが好みです。しかし、量が少ないので黒七味もそれほど効果を把握できませんでした。
パンはほんのり甘い丸い玉子型のパンと小麦粉の香りがたつ表面の固いパンのスライスの2種。
冷前菜は4品の盛り合わせ。
左手前には鯵のマリネと自家製ピクルスの薄切りを重ね合わせてミルフィーユのように。
左奥は茹でた穂先筍。塩気がなく、ただただ素材の持つ香りと味わい、そのしゃっくりした食感を楽しむ。シンプルながら気に入りました。
その右はその筍を甘くふんわりとムースにしたものです。やんわり甘~い。たしかに香りは筍で、デザートのようですが前菜として成り立っているところが感動。
右手前はマーシュといいましたか、胡麻の香りがとても強力な葉物野菜です(すみません聞き取れなくて)。一緒に添えてあるのは色が薄いので皮を剥いたプチトマトに見えましたが、シャクシャクおいしい赤玉のラディッシュでした。上にはせんべいのように焼いたパルミジャーノを添えています。
温前菜は白く大きなスプーンに。中はタラバガニの身と刻んだしいたけ、キャベツ。外側はズッキーニをふんわりしたムースのようにして衣にしています。和のしんじょうか中華の饅頭のようですね。ジャポネーゼというソースはコンソメベースでしょうか。吉野葛でとろみがつけられ、梅干のような美味しい酸味を感じました。上には姫葱です。
これがとても驚きで印象残った皿。基本はオレンジや香味野菜を煮込んだスープのジュレですが、燻製にした北海道は余市のタコの切り身で、その香りに驚かされます。貝とセロリのスープを泡立てたソースを添え、ディルやイタリアンパセリなどのハーブを上に盛っています。香りの競演は味にも反映され素晴らしい。
1匹丸まるのカワハギのソテーです。まずは焼いた状態で見せてくれ、お皿に盛り付けて出してくださいます。
下にはアルデンテに茹でた細切りのホワイトアスパラ。しっとり良い火の通りのカワハギの身はたっぷり。これでもかと食べられました。その上には柑橘系のグレープフルーツとインゲン、クルトンにこれまた胡麻の香りたっぷりの葉物野菜。セルバチコだけでなく赤いのはなんだろ? カワハギの肝ももちろん入っていました。これも火が通っていました。生だともっと美味しかったんだろうなぁ…。
義弟の肉は赤牛のソテー。ごぼうのムースや空豆にフォアグラのソテーも添えられています。
ぼくは幻の蝦夷豚を。
ピンク色の身もしっとり美しく、脂身は甘く、実に美味しい。中央は豚腿肉のカネロニ仕立て。中の豚肉はミンチ状でマートソースのようですがカレーにも似たスパイスの香りが感じられました。苦味がアクセントに感じるアーティチョークを添えています。
奥の立体的なブロックは豆らしい香りの良いビーツ。
ソースは2種類で、肉汁を煮詰めたソースとシブレットのソースです。シブレットのソースは面白いなぁ。
デザートはヨモギ!! ヨモギのジェラート、ヨモギのムース、ヨモギのゼリーです。ゼリーはあまりヨモギらしさを感じませんが、ほんのり甘いムースもジェラートも程よくヨモギが良い味わいになっています。そして奥には高知産のフルーツトマト。中にフルーツトマトのムースが入っており、甘さは確かにトマトのそれ。前菜的なものがここにくるとは。下を彩るのはヨモギ風味の練乳のようなソース。ピスタチオで線を描いて彩っています。
飲み物は広島産のフレッシュのハーブティー。レモングラスを特に感じました。これはさっぱりしているし美味しい。毎回これでもいいなぁ。
小菓子は胡桃入りのクッキー、フィナンシェ、オレンジピール、ミニシューです。
メニューがはっきりしないのは好みではないのでと考えていましたが、帰る際にご挨拶いただいたときに名刺をお渡ししましたところ、当日のうちに来店御礼のメールをいただきました。地道なサービスを実行する店は好きなので評価が上がりました。
9位
1回
2008/08訪問 2008/08/23
カノビアーノの植竹シェフと「ハニーズヨコハマ」のコラボレーションから生まれたリストランテ。
ここがとても素晴らしい。ベイクォーターで一番の素晴らしい店に変貌を遂げ、子連れママ友が連れ立って行くには絶対お勧め!と言って良い。
内装も味も素晴らしい。それに見合う子連れにならなければと気を引き締める思いです。
みなとみらい側の4階角地にある丸みを帯びた三角形のスペース。壁はすべてガラス張り。入り口の上にはダークウッドの看板。
入り口の右にはガスを使った石窯がみえます。逆に左には3種類の色違いのパスタをつめたガラス瓶に赤い花のディスプレイ。シンプルでいながらダークウッドの床にベージュ色のテーブルクロス、同系色のレンガ壁、オフホワイトの天井と、その色合いがとても美しい空間。
ぼくらの案内された椅子も背もたれがやや湾曲して包み込むよう。ぼく好みの良い椅子です。
壁際には通常のテーブルと同じ高さでカウンターのように座ることの出来るテーブル。一番の角地にはソファが置かれるなど「ハニーズヨコハマ」らしいお店の作りですね。
スタッフは良く教育されていてつねにダイニングを見ています。娘がぬいぐるみを落としただけですぐに拾いに来てくださいました。このあたり素晴らしい。
08年8月20日昼の来訪。
映画「崖の上のポニョ」を見終わって移動したのは昼食の予約をしていたのこレストラン。
11時半の予約。最初のお客になりました。
ランチだからでしょうか、テーブルクロスは紙、お絞りは使い捨ての紙のもの。
グレープフルーツジュース Grapefruit Juice 630円
ブラッドオレンジジュース Blood Orange Juice 525円
ジンジャーエール Ginger Ale 525円
飲み物はこれらで。
Pranzo A 1890円
前菜、Pasta又はPizza、本日のデザート、コーヒー又は紅茶のコース。
濃い色合いのオリーブオイルと自然素材を感じさせるパン。
ボタンエビとカラスミのカッペリーニ +950円
植竹シェフのスペシャリテを追加注文可能。粒マスタードを混ぜたフレッシュなトマトのソースで和えた冷製のカッペリーニ。上にはとろけるような生のボタンエビに穏やかな感じのカラスミスライスと柔らかなイタリアンパセリです。娘もおかわりを要求するほどの美味。ちょっとしかないのが残念! 二皿でも食べたい(笑)。
季節の前菜サラダ仕立て カノヴィアーノスタイル
水菜やほうれん草などがこんもり盛られたサラダ。粒貝が切って皿に乗っています。驚くほど甘い湯剥きしたトマト、オレンジ、ヤングコーンとシャクシャクした食感が美味しいオレンジ色の野菜(なんでしょ?)がとても美味しい。ドレッシングもオリーブオイルメインですが、油はきつくなく、さっぱり食べられます。カノヴィアーノらしいですね。
Paste)京野菜のスパゲッティーニ
スパゲッティーニはオリーブオイルを感じさせない塩味。それでいて味がある美味しさ。水菜に大根でしょうか。万願寺唐辛子はざくざく切って入っています。子供にも優しい味。
Pizza)ピカンテサラミと万願寺とうがらし
やや辛みのあるピカンテサラミと穏やかな辛みの万願寺唐辛子のピッツァ。ブロッコリーものっていてベースはトマトソース。生地は周辺に焦げができるほどで、ガス窯ですが非常に美味しい。
本日のデザート
デザートは何も言わずとも男女で違うものを持ってきて下さいました。
ぼくにはカスタードのプリンとほうじ茶のゼリー。バニラビーンズの入るカスタードプリンの上に生クリームとほうじ茶のゼリーです。ほうじ茶はさすがにその香り。絡めると比べると水っぽい味が気になってしまいます。組み合わせとしては微妙かと思いましたが、カスタードプリンの割りにさっぱりいただけます。
家内には桃のスープ仕立て。実際はほとんど娘が食べてしまう。冷たい桃のスープの中央には桃のジェラート。松の実とクコの実をちらし、赤いのはスモモでしょうか? これは食べられませんでした。姫ネギ1本で飾っています。
飲み物はアイスでコーヒーと紅茶を。
早めに持ってきていただきました。
総評は迷いました。もっとも、今後もこの料理が食べられるのかと思うととても楽しみです。夜に再訪して料理が良いとよいのだけれど。
ちなみに平日ランチは満席になっておりません。ほとんどが奥様方の利用ですが、テラスに子連れママ友が食べる風景も。利用しやすいですね♪ このため評価が上がりました。
10位
1回
2008/07訪問 2008/07/25
るるぶにも載っているソーセージカレーの店。
住宅街の中に忽然と姿を現す緑深い不思議な建物で、スパイスの効いた極旨のカレーを頂き、ゆったりと珈琲を楽しむことができます。
大阪岸和田にも2号店を出し、今勢いがあるお店と思われます。
お店は緑豊かな場所のイメージでしたが、まったくの平地の住宅地の中に。
入り口の看板は植え込みの下に。手書きの店名の木の看板に手作りのオブジェ。
その奥にはうっそうと茂る緑。駐車場は広いのですが、平日昼だというのに満車に近い。何とか停めることができました。
お店自体は木の下に建てられている木造2階建ての家屋。手前にテラス席もありますが、2階にもテラス席があり、ちょっと良い感じです。
入り口は小さく、だいぶ年季が入っています。中も薄暗い感じで結構ごちゃごちゃしていますね。壁にはお客の名刺もいっぱい貼られていました。
厨房を横目に奥の急な階段を上がる。意外に外観よりも中は新しい感じで居心地の良いログハウス風。2階の窓際に座らせていただきました。
08年7月の旭川・富良野旅行初日の来訪。
新千歳からスムースに富良野のこの店まで移動し、到着は12時15分でした。
入り口で並んでいるように見えましたが、2階席にはまだまだ余裕があります。しかし、13時前の帰るときには外の席までいっぱいで行列になっていました。
ふらのぶどう汁 Grape Juice 450円
娘のために。富良野のぶどうジュース。
食後のオリジナルブレンド After coffee 250円
食後とついていますが、飲み物とセットなら400円が250円になるだけです。ですから最初に持ってきていただきました。
ごつごつした陶器のカップと皿で出てくる珈琲。ローストがきいていて本格派です。
食後の冷珈琲 After ice coffee 250円
こちらは銅製の冷えたカップで。すっきりした仕上がり。無糖です。地元の「アルバートコーヒー」を思い出しました。
自家製ソーセージカレー Homemade Sausage Curry 1100円
この店のメインのカレー。スパイスで炊き込んだという黄色いライスに濃厚でありながらさらりとしているカレーおかけ、生クリームをたらしています。カレーはスパイスが複雑で強く前面に出るもの。もちろん、ベースになる旨みも濃い本格派。スパイスはターメリックなのかな?黄色いけど辛くはありません。
ここに甘みの強いコーン、フライドポテト、どぶっとい自家製のソーセージをのせています。自家製ソーセージはそれとわかる仕上がりで練りこまれた内容。
香の物は刻んだものをいろいろ混ぜ合わせたものがついてきます。
美味しいため一気に完食。
シーフードカレー Seafood Curry 1050円
こちらは家内が主に食べました。かかっているカレーには海老とホタテがごろごろ入り、磯の香りが強く出ています。
めんこいままカレー Mild Curry with Weenie 850円
娘のための一品。基本的には自家製ソーセージカレーを踏襲していますが、スパイスが効いているものの、たしかに辛味が非常に抑えられています。最初戸惑っていた娘も最後のほうには美味しくいただいておりました。
上にのっているのはソーセージではなく細いウインナー。これだけ味はいまひとつか…。
カレー屋さんとして大変気に入りました。沖縄の「てんtoてん」のようですね(笑)。家内ももちろん大満足。
ところで、落書帳があったので、「花季」と同じように足跡を残してきました。
また、上大岡京急の北海道物産展に出すことが決まっているそうです。9月24日から10月1日まで。せっかく近くに来るので行けたら行こうと思います。
「SALONE2007(サローネドゥエミッレセッテ)」@山下町(☆☆☆彡)
https://www.salone2007.com/
ぼくの大好きな横浜随一のリストランテ。
常に変わり続けていますが、久しぶりに訪れてみるとまた深化を迎えていました。コースが一本でなくなったことにも驚きましたが、シェフがダブルシェフではなく、パスタ世界一に輝いた弓削啓太シェフ一人になっているのも時代の変化か。
佐々木一氏を始め、ホールスタッフも充実。
新時代を感じる一夜でした。
住所:横浜市中区山下町36-1バーニーズニューヨクークB1F
電話:045-651-0113
定休:無休
営業:12時~13時LO/18時~20時LO
MenudelSALONE 22000円
11品のコースですが、9品のコースも冬季限定でできていました。
24年3月25日夜に昨年大学に合格した姪二人と今年大学に合格した娘を連れて伺っています。
穴の空いた白い皿に紺色のレース。見せ皿でありながら料理もこの上に乗るので実際使っています。
A5サーロインのスピエディーノ Spiedinodimanzoconpatate
福島和牛A5ランクの肉をスライスして焦がさず火を入れたものでメークインのじゃがいものペーストを巻いた定番の一串。
いつもですが、白トリュフオイルの香りが良い。そして、味の方もコクが増している感じがしました。
甘海老とアスパラガスのボルツァーノ風 Gamberieasparagiconesalsabolzanina
透明で中空の皿に。
火を入れたアスパラガスに生の甘エビとほぐした甘夏です。それに香り良いハーブのエストラゴン。海老出汁と卵黄の黄色いソース、サフランを使ったリコッタチーズのペーストを添えています。
生の甘エビのねっとりした甘さが良い。
カルチョーフィのローストと甲烏賊 ArostodiCarciofiecalamari
焼き付けて中の方をいただくアーティチョークです。
刻んで上に乗っているのは甘味の強いコウイカ。ミントにサルサロマーナのソースです。
ソースはサルサロマーナにライム。
鮮魚のヴァポーレ Fruttidimarealvapore
今日一番驚いて感心したのは定番のこのヴァポーレ。
白身魚は天然ヒラメ。それにグラマラスな食感の北海道の真蛸。九十九里の地蛤。そして刻んだイタリアンパセリとオレンジ風味のオリーブオイル。
白濁したスープは極上。美味すぎる。
下のポロネギがないように思ったが、弓削シェフに聞いてみると使ってはいるが減らしているのだと。同様に3年前はタコは明石の蛸だったが、北海道になったのかと聞くと、明石が手に入りにくいのと北海道のものがまたすごく良いからと返事が帰ってきた。確かに蛸も満足。
むっちりした白いパン。美味しいので3個も食べました。
タリオリーニミル貝と唐墨 Taglliolinidimoruschi
手打ちな感じの口当たりの細いキタッラのようなエッジの立ったタリオリーニ。
ソースにはバターを合わせたカラスミのソース。これがかなり美味しい。
上にはざく切りにしたミル貝と刻んだイタリアンパセリにエディブルフラワーのアリッサムとペコリーノ。
仔羊とムール貝のクッキアイオ Cuchiaiodiagnelloecozze
ワンスプーン。娘等は結構これが印象に残ったようです。
刻んだムール貝、ウイキョウのジェラートとフレッシュなウイキョウ。口にいれると冷たいジェラートが最初に感じられ、カムとシャクシャクとしたウイキョウが小気味よい。
続いて香り良いミントとフェンネルシードにコリコリしている砕いたアーモンド、刺激的なピンクペッパーが楽しませてくれ、それらがソースのようになっていきます。
そして、メインである塊で乗っている仔羊肉が食感、味わいともに最後に残ってきます。カチャトラソースで。
パッパルデッレ大分県産猪のラグー Pappardellealragùdicinghiale
カカオを練り込んだ幅広パスタのパッパルデッレ。上に乗っているイノシシのラグーは脂身と肉とがしっかりとした食感で感じられる素晴らしいもので、ラグーとは違う気もしますがが、ぼくの好みにジャストフィット。さすがはパスタ世界一に輝いた弓削シェフ。
下には黒ニンニクのペースト、食べていると山椒のように香るインドネシアの胡椒。
なかやま牧場神石牛のロースト天然クレソンとナスタチウム Arrostodimanzoconcrescioneetropeoli
まず出てくるのは包丁のようなナイフ。
広島のなかやま牧場の神石牛。ローストが固まりできますが、レア目だが硬いようなことも冷たいこともなく、極上の仕上がり。ぼくよりもしたが確かではないかと思っている娘が後から印象に残った皿としてこれを上げるほどの肉質。
ここに美しい緑。刻んでいる丹沢の天然クレソンといつも見るより大きな葉のナスタチウム。下には発酵させた白菜のソースと鮮やかなナスタチウムのオイルです。
記録をつけているときも口の中に唾液が溢れてきます。
ズッパディジャポネーゼ Zuppadigiapponese
1皿目のデザートは冷たいスープ。メニューで見て、なんだろうと思っていましたが、美味しいデザートでした。
抹茶ならではのほろ苦さを感じる抹茶のアングレーズに、香りだかたハイビスカスのジュレ。サクサクした白く小さなメレンゲ、食感の松の実、香りのミントが添えられています。山椒もアクセントに入っているようですね。
デリツィアルリモーネ2024 Deliziaallimone2024
南イタリアのドルチェの再構築。
大きなメレンゲはサクサクしていて甘く美味しい。コリコリしたクッキーとレモンのジェラート。滑らかなココナッツのパンナコッタ。リコッタサラータにコリアンダーの新芽です。
最後まで隙なく素晴らしい皿が続きました。
小菓子 コーヒー、エスプレッソまたは紅茶 PiccolaPasticceriaeCaffèoTè
小菓子は一人一皿になっていました。
中央にサラミディチョコラータ。リキュールの濃厚な香りがするチョコレート。
中にアーモンドが入っている外は緑色のマジパン。オリーブをもしているようです。
ザクザクしたカントゥッチ。
スポーンに乗っている小さなクレーマカタラーナ。
アールグレイの香りのフィナンシェには中央にムレーズンを合わせています。
飲み物はエスプレッソにしました。
苺のモヒート 1650円
乾杯は全員でこれ。ミントが入り、イチゴのコンフィチュールとソーダな感じ。
日華玉露 990円
福岡の茶葉を台湾で焙煎して日本に戻してサローネで水出ししたものだと。これは美味しい。
蜜果 880円
これも水出しの烏龍茶。良い香りで美味しい。
極上中の極上。
ここは間違いなく横浜随一のリストランテ。密度が濃いとぼくがうらやましがる東京まで含めてもトップクラスに値します。
二人のシェフが織り成す極上の料理、ソムリエによる手頃でありながら味わったこともないようなワインの選択、居心地の良い接客と空間…良きパートナーと一緒であれば、きっと時間を忘れられる場所です。
「青葉新館」近くの駐車場に面したビルの1階にあります。このあたりは元町中華街駅からは近いものの、中華料理屋さんがない寂れた道ですので、この店が出来てもあまり木が疲れていないようです。
白い煉瓦壁に青い木製の扉のような壁。モダンイタリアンの方面よりもやや英国調のような感じがします。店の前にはテラス席のように青いテーブルクロスをかけた丸テーブル2卓に金属製の椅子が2脚ずつ。外から見てガラス越しに見える中は暗く、黄色い穏やかな間接照明が見えるので、一見するとバーのように見えると思います。扉にはこのサロンのマーク、Sの文字に王冠です。
中も穏やかな空気でしっとり上質。
モダンな明かりに間接照明やダウンライト、統一感のある色合いです。各テーブルの上にはガラス等の中にランプの光と同じ色ですね。壁側にはソファ席もあります。奥には一段上がったステージのような場所にカウンター。現在は使われていないのでしょうか? まだいろいろ変化するかもしれませんね。
テーブルクロスは模様が入った青い光沢のある贅沢なもの。本日のコース内容をしまったメニューがテーブルの上に置かれています。
向かって左側、ソファー席と反対側の壁には窓があり、ワインカーヴになっています。この日はぼくらだけでしたので、特別に中に入らせていただきました。ひんやりした空調の部屋で、小石が敷き詰められています。木の棚に並ぶワインはイタリアのものらしいですね。お酒の飲めないぼくにはよくわかりませんので、そちらの方はnoodlesさんかpalmeritaさんのブログを参照してください。
初回は07年11月27日の来訪。
20時半の予約でこの店へ。仕事が桜木町であったため、少し後れて一番最後になりました。
今回集まったメンバーの良さも手伝って、時間を忘れるほどとなりました。気がつけば終了は23時半です。
Blood Orange 800円
お酒はともかく、ぼくが別に注文したのはもちろんブラッドオレンジジュース。氷なしで量が多くうれしい♪ やはりブラッドオレンジはこうでなくっちゃ。もちろん、味も濃く美味しいもの。
料理はコース10000円のみです。
Zuppetta)ホワイトアスパラのズッペッタ 水牛のモッツァレラチーズを浮かべて
つきだしに出されたのはまずスープ。白い円錐形の器にドイツ産のホワイトアスパラを水を使わずにピュレにしてスープにしたものに、魚介の出汁を加えてトリュフのオイルを加えたのだそうです。まず立ち上るトリュフの香りにクラクラッと来ますが、さらに十分な旨味のホワイトアスパラのとろとろスープは極上。まずこれだけでこの店がとてもよいお店だと認識させてくれます。スプーンに乗っているのはカンパーニャの水牛のモッツァレラチーズ。柔らかくふんわりとしていてそれでいてモッツァレラらしく味が深い。そして、紐のように見えるのは全粒粉の極細グリッシーニです。粉の風味がよく味わえるもので、グリッシーニと言うと硬い棒みたいだという思い込みを壊されました。
Sorpresa)クッキアイオのスカレッタ 宮城牛イチボと佐島の伊勢えび
冷たく冷されたガラスの上に冷たく冷されたスプーン2匙の前菜。
手前は佐島の伊勢海老のマリネにエストラゴンのソテー、ミニトマトと巨峰をのせて。エストラゴンの香りが伊勢海老の身の旨味ととてもあっていて素晴らしい。
奥はA5ランクの宮城牛のイチボの煮込み。口に含むと20年熟成されたという甘いバルサミコの香りと酸味がし、後半は土の中で2年間寝かせたというペコリーナ・ウンブレーゼのチーズの香りの余韻が口の中にいつまでの残る。凄いとしか言いようがない。
Primo Pasta )ブレシャネッラのラビオリーニとスーゴ ディ フンギ
白い大きな葉型の皿に。
中に水塩仕立てのウォッシュで香りの強いチーズ、ブレシャネッラを閉じ込めたラビオリ。とてもくせのあるチーズだそうですが、思ったほど噛んだ当初は強く感じません。それが口の中から消えてもいつまでもふくよかな香りが残っている。これも美味い…。長くその余韻に浸れます。先ほどもそうだったけど、チーズって口に残るんですね。ソースにはジロール茸をブロードで煮込んだソース。柔らかく香り高いジロール茸は癖のあるチーズとあわせても負けることない味があります。
Vapore)地魚の蒸し物 オレンジの香り
驚くほど熱々のスープで出されました。下から積み上げられるように小蛤、玉ねぎ、赤海老、蛸、真鯛です。魚介はすべて佐島のもの。魚介からでた汁だけでスープを作るのだそうで、旨味を凝縮しているかのよう。蛸は柔らかくふっくら煮られ、真鯛は皮際まで火が通り過ぎず実によいしっとりさ。ここにオリーブと一緒に漬け込んだオレンジの香りがたっぷり感じられる。素晴らしすぎます。毎回でもこのメニューは出して欲しいくらいの魅力があります。
Piatto Tiepido)秋田うさぎのレバーパテ
バゲットの上にカルバドスでフランべした秋田うさぎのレバーのパテ。その上には赤ワインビネガーでマリネした玉ねぎ、イチジク、アーモンドなどを上にのせています。パテ自体臭みなどなく実に良いレバーの味わい。上にのせた具の甘さやコリッとした食感なども素敵でした。
Secondo Pasta)秋田うさぎのサルシッチャとちりめんキャベツのグラミーニャ
これは面白いパスタです。グラミーニャというそうですが異次元的な出来栄え。ひねりの入った短いうどんのようなショートパスタで、噛み応えあり口の中で楽しめます。これに混ぜてあるのは頭の肉まで全部使った秋田うさぎのサルシッチャとちりめんキャベツ。うさぎは臭いという先入観がありますが、こういう使い方をすると美味く味わえるものですね。
上に細かくかけられているのラグサーノチーズ。D・O・P(原産地呼称統制)チーズの一つでシチリアのラグーサで緑の草を食べたときのミルクで作られたチーズの認証だそうです。干し草を食べたときはカチョカヴァッロと呼ばれるのだそうで。味はややあっさり目かも。
Carne)茨城エトフェ鳩胸肉のロースト、ジビッポ風味のイチジク添え
中の赤身は赤く、外側の皮はカリッと、実に丁寧に時間をかけて火を入れてありそうな茨城の鳩胸肉のロースト。ソースはその肉汁を使っていたと思います。さらに宮古島の雪塩をさらに散りばめてありますので、それをつけて食べるのもぼく好み。にがり成分が多く、塩分少なめで身体に良い軽い塩なのです。ドライのイチジクはドライでありながらやや半生のようでした。ジビッポというのはデザートワインだそうですね。
飾りのように添えてあるのは黒いワイルドライスにニンジンやセロリなどの香味野菜の煮込み。米が美味いですね。
最後にここでサプライズとしてリゾットを。量は皆お腹がいっぱいでしたので、いくらでもといわれましたが30gでやめています(笑)。
先ほどのイチボを焼いたときにでた脂を混ぜてサフランとパルミジャーノベースのリゾットにし、上にカリカリになるまで火を通した脂身を振りかけています。スープを使わず水から炊いているので引き算の論理で牛脂の旨みが素直に美味しい。
Dolce o Formaggio )ドルチェまたはチーズ
通常はどちらかの選択なのですが、この日は特別に両方を半量ずついただけました。混んでいると無理でしょうから、空いている今だけのサービスですね。
まずはチーズ。トレンティーノ・アルド・アディジェ産の葡萄の葉(皮?)をつけて発酵されたブルーチーズ。付け合せはセミドライのイチジク、手作りの干し葡萄。そしてスプーンには栗の花からとられたシチリアの蜂蜜です。この蜂蜜がチーズととても合います。
ドルチェは洋梨を使ったアップルパイのようなステューデル。包んでいるのはパイ生地ではなくパスタ生地。サクサクというよりもしっとり柔らかめで中の具材とのコントラストも良い。添えてあるのはアーモンドとシナモンのアイス。それにリンゴのジュレです。
ところで、トイレウォッチャーなのでトイレも当然見ております。
細い木の装飾による穏やかな壁で落ち着く空間。トイレと手洗いは同じような印象です。
とくにお手拭きタオルが詰め込まれた箱に注目。色とりどりで美しいタオル。惚れますね、こんなところにも。
シェフはお二人。お茶の時間に挨拶に来てくださいました。
才気煥発。左は代表取締役の平高行氏、右は樋口敬洋氏。喧嘩しながらもやっていけるのですから素晴らしい。
もちろん、ソムリエの藤巻一臣氏の接客もピカ一でした。ご覧の方はぜひ実際にお確かめください。
どの皿も二人のシェフがけんかをしながらでも妥協を許さず作り上げた練り上げられた本物のイタリアン。正直、「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」よりも美味しい独創的なコースが10000円とはコストパフォーマンスが良いとしか言いようがない。
ところで、この店のショップカードをいただいたのですが、銀色にコーティングされた薄いプラスチックのカードはなんとも贅沢に見えます。地図が描かれていて、東京を基点に横浜までの大雑把なマップは笑えます。実際イタリアにもあるのだそうで(笑)。
以後毎月来訪しております。記録はブログの方でご覧ください。