6回
2020/08 訪問
この品格と活気が信用の証 @虎ノ門
ホテルのオールデイダイニングとはその名の如く1日の中で最も長く営業しているレストランだ。宿泊者への朝食サービスからランチ、ディナー、そして早朝から夜中にかけてのルームサービスと、サービスする相手の幅も広い。そんなことからオールデイダイニングはそのホテルの性格やサービスの質を表す象徴として捉えられることが多い。
ここは新しく生まれ変わった和製国際ホテルNo1のオールデイダイニング。「オーキッド」の名は従前のホテルから引き継いでいる。
おそらく4回目の訪問。ランチで伺ったが満席の賑わい。5分ほど待って入店した。
客席の間隔はかなりゆったりで安心感あり。一人でも4人席。安心、贅沢だ。
カウンター越しにオープンキッチンの中が見える。フェイスシールドをしたコックさんが大勢。中には背の高い帽子のシェフの姿も。その動きはテキパキとしながらも堂々とした風格がある。なるほど一流だ。
ホールのスタッフのホスピタリティは秀逸。お高くとまった感はなく、品よくフレンドリーなのだ。料理の説明をするだけでなく、口にあったか、更なる要望はないかなどタイミング良く聞いてきてくれる。なるほど、なるほどだ。
さてさて、
◆オーキッドランチ
・前菜
一皿の芸術作品か。
周りのハーブはまるで編んであるような繊細な造り。
パテドカンパーニュの美味さは絶品だ。もちろん、臭みは一切ない。芳醇さとコク、そして広がりのある旨味。長年にわたり国内外のグルメを唸らせてきた秘伝のレシピを想う。
・ポークソテー
熱々の皿。
試しにポークだけを食す。これが本物のポークソテーの美味さなんだろうな。熱の通りも絶妙で、素材の良さが表現された説得力のある味。
ラタトゥイユソースは単品で食べても美味い。これをポークに乗せて食べると味に立体感が出る。
付け合わせのハッシュドポテトと夏野菜も熱々の焼き立て。
・パン3種
このホテルで焼かれたパン。バゲットの味わいは奥深し。
・コーヒー
このお店のコーヒーは、とにかく深く濃厚な味わいでダンディさがある。初めて訪問した時は驚いたが、慣れてくると好きになる。
2020/09/19 更新
2020/04 訪問
しっかり息づく伝統とプライド 「ジ オークラ東京」@虎ノ門
[シリーズ : ホテルのクラブハウスサンド]★★★★★
会議の帰り、ランチタイムに伺った。
昨年建て替えオーブマンした和製国際ホテルの最高峰。ところがCOVID-19拡散の影響で華やかだった開業ムードは完全に消え去っていた。
再現された伝統のロビーに佇むも、居るのは小生一人だけ。贅沢とは言えない物悲しい気持ちに。身なりを正したスタッフが階段の手すりを消毒している。梅小鉢の漆のテーブルを点検しては拭く。その所作には寂しさと共に一流の空気が感じられた。
このような誰にも見られることのない心配りの積み重ねが一日でも早く花開きますように。
さて、腰を上げてロビーの奥にあるダイニングへ。時間短縮で唯一営業しているレストランだ。
◆クラブハウスサンド
どこのホテルにも用意されるメニュー。だからこそ楽しい。それぞれのホテルが個性を表そうと工夫を凝らしているからだ。
さてさて、
その出で立ちはいたってオーソドックス。綺麗にトーストされたパンはきちっと90°、45°の二等辺三角形。具は多層にもかかわらず緻密に整えられて、手に取っても噛みついても外形の平行がしっかりと保たれていた。具材の色彩にも品のある変化があり美しい。なるほどシンプリシティ&エレガンス。瀟洒な美意識にオークラらしさを感じる。
・薄切りの食パンはこんがりトースト、塩分控えめだコクのあるバターが塗られる
オークラのマークをあしらった透明なヨウジは立てられたサンドイッチだけに刺ささっている。
・トマトの薄切りと刻んだレタスに上品なドレッシングが絡む
・焼いたベーコンは極薄で出しゃばりすぎず、味と食感のアクセントに
・鳥のササミは旨味と弾力性。程よく胡椒が効く
・卵焼は均等な厚さと焼き加減。そして実にクリーミー
大口開けてガブリとやるのがサンドイッチの醍醐味。噛み締めるごとに次々と旨味が入れ替わって感じたり、時折現れるバターやドレッシングの効果。それらがミックスして滲み出る美味さ。
それぞれの具材が厳選された上等品、調理も一流と来たら間違いない。至福のひと時だった。
このホテルの味の基準は全体的に薄塩と感じる。途中で、軽く塩を振ろうとしたが、卓上の立派なミルで岩塩を引くもかなり粗めの粒子となる。そのジャリッとした歯触りが繊細な中で楽しんできた味わいの印象を変えてしまう。勿体無いな。
付け合わせの小さな酢漬け達も一つ一つが上質。
フレンチフライも素直な美味さ。
自粛モードで気落ちしがちだが、伝統の味やサービスをしっかりと維持しようとする強いポリシーに敬服。
2020/04/18 更新
2019/12 訪問
生まれ変わったオークラで伝統料理を頂く2 @虎ノ門
平日の夜に伺った。平日はコースメニューを用意していないとの説明に、少しがっかり。オープンして間がないので様子を見ているのかな。
それでもここのスタッフのサービスはとても上質。それは品位のある気取ったサービスでないく、洗練さと共ににじむ人懐っこさと個性だ。だから感じるこの不思議な居心地の良さ。当日サービスしてくれたの女性スタッフがまた親切で色々と相談に乗ってくれた。その胸にはさりげなく金のブドウのバッチが。それはソムリエールの証。流石。オークラは日本の高級ホテル御三家の最高峰と言われる。そのブランドを支えているのは立派な建物や料理だけではないんだな。
そんな変則的な注文をさせて頂いた。
◆コンソメスープ【伝統】
淀みなく透き通る琥珀色のスープ。それが真白の器に注がれて。ただそれだけのシンプルな出で立ちに伝統とポリシーを感じる。
そして1さじ。んーこれは染みる。食道から胃に落ちる前に身体が吸い取ってしまうような。シンプルな見た目とは全く違い、その味はとても複雑な要素のバランスによる美味さ。しっかりした肉の深いコクと野菜の柔らかな旨味と甘み。無意識に目を瞑って味わっていた。気付いたら器は空に。
満足。
◆ディナーブッフェ
ブッフェと言いながらも、その質の高さは流石だ。
なんと、あの名物、ローストビーフやカレーライスも楽しめるのだ。
当日、印象に残ったメニューの一つが栗のポタージュだ。栗の濃厚さと深みのあるブイヨンが贅沢。
そして、デザートの最中は演出を含めて特筆すべきだろう。お店の中央にあるオープンカウンターで可愛らしい女性のコックさんが作ってくれる。オーキッドのロゴが焼印された最中の上に求肥を広げてバニラアイスを乗せてカラメルソースを。求肥で包んで最中の蓋を被せて完成。その所作がとても優雅。そして、美味し。アイスを求肥で包んだおかげで最後まで最中のパリパリ感が続く。バニラアイスの豊かな乳感とコクのあるカラメルの甘み、パリッとした最中とモチっとした求肥の食感。なんとも充実した一品だ。
これだけ上質な料理を沢山の種類頂けるとは。そんな贅沢な楽しみ方をディナータイムにカジュアルに体験できるとは、セレンディピティ。
2020/01/02 更新
2019/11 訪問
生まれ変わったオークラで伝統料理を頂く1 @虎ノ門
l3年以上の時間をかけて建て替わった日本の国際ホテルの最高峰、オークラに。ホテルオークラ東京本館、改めて、ジ・オークラ東京。カタカナで書くとなんか変だけど、これが正式らしい。
さて、当日はこのホテルのオールデイダイニングにてランチを頂くことに。まずは、迷わず、これでしょう。
◆カレーライス
伝説のルーに具材はビーフのみ。なんとも硬派。それをライスの上にタップリと。
ビーフはブロックではなく、厚めの薄切り。この食感には明らかに家庭では体験できない贅沢さが。イイね。
スプーンで一口。ズーンと広がる旨味と深めるコク。スパイシーさよりもその旨みが勝る第一印象。そして、三口目くらいから辛さが浮上。
爽快に汗をかきながら一気に食べあげる。そこで確かに感じた。洋食を楽しむ贅沢さ、その伝統を繋ぐ気迫を。
2020/01/02 更新
[シリーズ : ホテルのクラブハウスサンド]★★★★★
昼時に会食で伺った。
コロナも落ち着き館内のレストランは大活況な様子。それでもこのお店のゆったりしたテーブルレイアウトは視線も話し声も気にならずありがたい。
テラス越しの緑を楽しみつつ会話もスムーズに進む。スタッフに声をかけたい時に辺りに目をやると必ずスタッフがこちらの様子に気づいてくれる。手を上げたり声を出して呼ぶようなことはさせないと、さりげなく、そして注意深く目を配ってくれているようだ。
そんな永年の歴史で培われたサービスの安心感のおかげで料理の美味しさを更に楽しむ事が出来そうだ。
◆クラブハウスサンド
どこのホテルにも用意されるメニュー。だからこそ楽しい。それぞれのホテルが個性を表そうと工夫を凝らしていそうだからだ。
さてさて、
なるほどの造形美。一つ一つのサンドイッチが以前よりも尖った三角形になり、それぞれの具材も均一に。洗練された外観の印象だ。
厚めのサンドをガブッとかぶりつく醍醐味も魅力の一つだが、ここは和製ナンバーワンホテルのレストラン。脂やドレッシングが食べた側から滴り落ちるようなことは避けたい。その為の厚み調整が絶妙だと気づく。口一杯に頬張れる丁度良い厚みと幅の調整はこのためか。
かじりついた瞬間に感じるベーコンの香り高さ。その次に訪れるのはパンのサクッとした歯応え。そしてハムや玉子の深く柔らかな食感。噛み締めた時の野菜のシャキッとした感覚と広がるジューシーさ。そして口内調味による複雑で広がりのある味わい。
飲み込んだ時にそのバランスに満足。
さすが。こんな幸せなサンドイッチが食べられるのならこの値段はかなりのハイコスパと言って良いのでは。
付け合わせのポテトは、自身の美味さがはっきりわかる上質な素材。
ピクルスとオリーブが気分転換に。
◆レモンパイ
このレストランだけでないと食べられない伝統の一品。
メレンゲのサクッとした食感と上品な甘さ、搾りたてのフレッシュなレモンが香るクリーム、そしてパイに感じる微かな塩味。これらが実に優しく融和する。
なんとも言い尽くせない美味。
百聞は一食に如かず。