よい子さんのマイ★ベストレストラン 2018

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

マイ★ベストレストラン

1位

十勝岳温泉 湯元 凌雲閣 (上富良野町その他 / 旅館・民宿)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2018/06訪問 2018/09/22

北の大地、雲を凌ぐ宿。一刻一刻が、あまりにも壮大で神々しい… この景色が最大のご馳走!

[北海道上富良野町]
2018/6/9(土)
十勝岳の中腹にある温泉旅館「りょううんかく」。

場所は… 旭川方面から南下、JR美瑛駅の手前で左折して道道966号に入り、青い池・白金温泉を経由してたどり着く。
美瑛から30km(車で40分)、旭川から60km程度(1時間20分)。

もう一つのルートとして、上富良野駅の近くから道道291号経由で来ることも可能。
上富良野から 20km、30分強の道のり。
いずれも道路状況は良く、快適なドライブルートである。

公共交通の場合、1日3本の町営マイクロバスを利用できる。
これは冬季でも運航しているため、雪道に慣れない方でも安心して訪問できる。
旭川バスターミナル発、十勝岳温泉まで約40分。

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■立地
標高1280m。エゾマツの森に囲まれ、富良野盆地を見下ろす完璧なロケーション。
「北海道に来たらこんな景色が見たい!」という欲求を、見事に満足させてくれる(詳しくは後述)。

周囲には他にカミホロ荘など、数軒の宿泊施設があり、
ヒルクライムを楽しむサイクリストの拠点にもなっているようだ。

10月~4月頃までは雪が厚く降り積もり、この日(6月)も道端に残雪が見られるほど。
とはいえ道路は除雪されるため、旅館は年中無休である。

自身が十勝岳の中腹に位置するため、その山容を、宿付近から見渡すことは出来ない。
チェックアウト後、美瑛・富良野まで下ってきて初めて、先ほどまで自分がいた場所が
白い噴煙を噴き出す、標高2077mの活火山であったことが分かる。
火山の恵みが、この温泉というわけだ。

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■館内設備
チェックイン15時、チェックアウト10時。
地上2階・地下1階の建物で、和室×10、洋室×2。食堂、温泉(後述)、小規模な売店コーナーあり。

館内はスリッパを履かず、裸足 or 靴下で歩き回るスタイル。
おそらく温泉を使った床暖房の仕組みが入っているのだろう。
裸足の方がリラックスできると思うので、この趣向は気に入った。

以下、3名1室一泊¥47850(朝夕込み1名あたり¥15950)のプランについてご紹介。
Webから予約可能。支払は現金のみ、クレジットカード利用不可。

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■客室
簡素ではあるが、3人泊としては十分な広さ(12畳)である。
清潔感の面でも、全く問題なし。

バス・トイレ付き(ウォシュレット装備)
テレビ・ファンヒーター・ドライヤー・冷蔵庫・金庫・電気ケトルを装備。上富良野町の無料Wi-Fiを利用可能。
歓迎菓子は、温泉まんじゅう。
ちなみに、上記スペックの客室は2つだけで、ほかはバス無し・トイレ無し・10畳の仕様だと聞いている。

ラッキーなことに角部屋だったので、山の宿らしい眺望も堪能できた。
しばらく眺めていたら、なんと雪が降り始めた。
見間違いではなく、ザックリと大粒なぼたん雪!
ちなみに、いま6月である…(^-^;)

これは明日積もるかも、ノーマルタイヤで無事に下れるかと焦ったが、
夕方から強烈な日差しとなり、雪は跡形もなく溶けきってしまった。

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■温泉
露天風呂(男女各1)、内風呂(男女各1)を備える。
ちなみに日帰り入浴も可(1名¥800)。

全く性質の異なる源泉が2つあり、ブレンドして活用。
1号泉は56度、無色透明。酸性(pH=2.4)・含鉄-アルミニウム・カルシウム-硫酸塩泉。
2号泉は36度、空気に触れて茶褐色。弱酸性(pH=6.2)・カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉。
加温・加水・循環なし。消毒については言及なし。

色合いは濃褐色というか、濃厚なオレンジ色。
お湯に浸かると、足の方は見えなくなるほど色が濃く、鉄分を多く含んでいることが一目瞭然である。
硫黄と鉄分が混じったような匂いも感じられる。

露天風呂は二段構造。上段は温度が高く、下段はぬるい。
温泉というより温水プールのような感覚。
季節はずれの雪が降っていたので、最初は冷えて厳しいかと思ったが、
首だけ出して、全身を温水プールに沈めていれば、寒風にさらされることもないので
徐々に慣れてくる。温泉成分の力なのか、ゆっくり入れば身体の芯から不思議と温まる。

ちなみに、夜に男風呂となる方(昼の女風呂)は
内風呂からドアを開けて露天風呂に出たところが狭く、岩がせり出しているので、
転ばないよう注意したい。

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■夕食
17:30から1階の食堂にて。8人掛けくらいの長机が多数、全席禁煙。
窓沿いにはカウンター席もある。

◎生ビール「サッポロクラシック」(中ジョッキ¥600)
 北海道では圧倒的なシェアを誇る生ビール。
 しっかり、ビールらしい味がします!

◎ふらのワイン・白(ハーフボトル¥1500)
 自治体(富良野市)みずから研究・開発し、販売しているワイン。
 国産ワインらしく、クセがなくて飲みやすい一本。

◎甘海老・サーモン・イカのサラダ
 海から遠く離れた地区だが、カルパッチョ風の仕上がり。
 瑞々しいアスパラ、粒マスタードの風味。

◎かみふらのポークトマト煮
 上富良野特産の豚肉を、海老・アスパラと共に、トマトソースで煮込んだ一品。
 見た目は角煮に似ているが、あっさりと食べられる。

◎かみふらのポーク焼肉
 ブランド豚が再び登場。
 赤身が美味しい肩ロースを、卓上コンロ(陶板焼)でポークステーキ風に焼き上げる。
 甘辛いタレでビールが進む♪

◎ザンギ(追加料理¥500)
 北海道名物、鶏の唐揚げ。
 一般的な唐揚げと同じものだが、味付けなどに店ごとの個性が出る。
 何はともあれ、アツアツで供されるのが嬉しい。

◎ごはん・スープ
 料理は宿の方が運んできてくれるが、ごはん・スープはセルフサービス。
 味噌汁でなく、洋風のコンソメスープというのがユニーク。
 コーンとマカロニ入り。
 ごはんは地元の "ゆめぴりか" かな?

◎りんごのケーキ
 りんごのコンフィチュールを乗せたチーズケーキ。
 甘酸っぱくて爽やか。

料理旅館ではなく山の宿なので、料理はそれほど期待していなかったが、
しっかりと丁寧に作られており、なかなか好印象であった。

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■夕暮れタイム
宿は十勝岳の西麓にあるため、西側に視界を遮るものが一切なく、
富良野盆地のすべてを見渡すことができる。
ちょうど夏至に近かったこともあり、19時を過ぎても驚くほど空が明るく感じられた。

夕陽は、あらゆるものに突き刺さるほど力強い。
富良野盆地に浮かぶ雲は茜色に染まり、まるで山火事でも起きたかのようだった。
刻一刻と表情を変える、ダイナミックな夕暮れ。
身体が震えるような絶景に、カメラを手放すことが出来ない。

部屋に戻ってみると、父が窓の外に何かを見つけたようだ。
カメラを向けてみると、間違いなくキタキツネである。
初めての対面に、家族みな興奮!
しばらくキツネと見つめ合って、静かな時間を過ごした。

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2018/6/10(日)
朝4時、自然と目が覚めた。
あたりは既に明るくなっている。東京より30分日の出が早いのだ。

窓の外を眺めると、富良野盆地があったはずの場所が、真っ白な雲に覆われていた。
夜の間、すり鉢状の盆地に湿気が溜まって形成された、見事な雲海!
さっそくカメラを取り出し、一枚、二枚。

■朝食
7:30から。昨晩と同じ、1階の食堂にて。
朝はビュッフェ形式。カウンターからも、雲海の様子がはっきりと見て取れる。

まずは和食系から。焼鮭や明太子などで、朝からご飯が進む。
出汁巻き玉子・ひじき・高野豆腐など、基本的な和食も美味しい!
出汁をきっちり取っている味がする。

ひときわ強い存在感を放つのは、銀色の保温容器にたっぷり用意されたカレースープ。
底からすくうと、挽肉・豆(キドニービーンズ)がゴロゴロ出てきて、なかなか食べ応えがある。
さらりとしたスープ辛味・香りとも本格的にスパイシー!
岩海苔がたっぷり入っているのも特徴的。
スタッフの中に、南アジア生まれの方がいらっしゃるようで、きっとその方の手作りに違いない。

洋食系はベーコンエッグ・ソーセージに加え、玉ねぎ入りのポテトサラダを挟んだハムなど、凝った一品も。
海老フライやナポリタンなど、お子様セット的な楽しさもある。
クロワッサン・フルーツヨーグルトなども食べて、朝から満腹確定である(^-^)
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凌雲閣、まさに「雲を凌ぐ」温泉宿。
濃褐色の湯で身体の芯まで温まり、富良野盆地を覆い尽くす雲海の壮大さに感嘆する。
運が良ければ、キタキツネとの出会いまで付いてくる。

ここでは山、空、森、雲… すべての被写体がキラキラと輝いている。
北の大地の美しさを満喫したい方に、是非ともお勧めしたい、とっておきの宿である。

  • 空・樹木・温泉のトリコロール。ぬる湯だから、いつまでも浸かっていられるんです
  • 温泉を堪能したら、夕食タイム。かみふらのポークの陶板焼、カルパッチョ風サラダ
  • 朝食バイキング。和食系・洋食系から選んでみました。右上「豆のスープカレー」は、本場・南アジアの味なんです!

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2位

THE KAWABUN NAGOYA (丸の内、久屋大通、市役所 / イタリアン、バー、カフェ)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2018/04訪問 2018/05/26

名古屋最古の料亭が手掛けるイタリアン。雰囲気・接客・味を兼ね備えたハイコスパ店。最高の誕生日祝いに♪

[愛知県名古屋市]
2018/4/29(日)
丸の内にあるイタリアン。
名古屋最古の料亭「河文」をルーツに持つ。

場所は… 大まかにいうと、名古屋城の南、栄の北西に位置する。
桜通と伏見通の交点(日銀前)から、桜通を栄の方へ3ブロック東進する。
左折して長者町繊維街に入り、そのまま北上して右手。
桜通線・鶴舞線/丸の内駅から徒歩6分。火曜定休。

専用駐車場は無いが、近くにコインパーキング多数。
名古屋駅からタクシーで10分弱。

まっすぐ歩くこともままならない名駅の喧噪とは対照的に、この界隈はひっそりと静か。
予約時間の前に、辺りをぐるりと散策して回った。
レストランの斜め裏手、料亭「河文」の正面には香が焚き込められており、通り過ぎるだけで豊かな気分に浸ることができる。

河文は、家康の命による清洲越し(1612~16年 清洲城→名古屋城への町民を伴う移転)時代に魚屋として創業。
以来400年、仕出し・料理屋として歴史を受け継いできた。
ちなみに現在も近くの道路が "魚ノ棚通" と呼ばれ、魚屋が立ち並んでいた時代を偲ばせる。

明治以降は中京の迎賓館として、歴代首相やミッテラン仏大統領をもてなしている。
その河文の大広間があった場所を取り壊し、イタリアンに転向した店舗が「カワブン」である。

カワブンの入口では、一対の和提灯がゲスト達を出迎える。
垂れ下がる柳の奥に、どっしりと構えた3階建の和洋折衷建築が待ち受けている。
そこへ、次から次へとお客さんが吸い込まれてゆく。

エントランスのスタッフに予約名を告げ、ラウンジでしばし待つ。
窓の奥、闇の中に照らされる木々。
敷地内の大樹(椎の木)は、名古屋城築城の際、真南を示す目印として植えられたものという。

建物こそ新しいが、随所に旧い部材を流用し、大正モダニズムを感じさせる設計。
店員さんに店内写真について伺うと「もちろんOK」、こと食べロガーには嬉しい一言である(^-^)

店内はホテルを思わせる造りになっており、メインダイニングのほか、バーラウンジ(昼:カフェ)を併設。
館内は全て禁煙。

客席は 29卓のテーブル席からなる。
鯉の泳ぐ池を囲うように回廊が設けられ、その部分にはテラス席が設えてある。

大きく取られた窓からは、ライトアップされた中庭が眺められる。
闇夜の中、楓と青竹をかがり火が照らす様子は、まさにモダン&スタイリッシュ!
もし可能なら予約の際に、窓側かテラス席をお願いするのが良いだろう。

店内は大きな空間で、パーティションを設けずゆったりとテーブル席を配している。
厨房はオープンキッチンになっており、スタッフはオーダーが入るたびに「イェス!」と鋭く発声するのが特徴的。
キビキビとした小気味良い対応。

価格帯がそれほど高くないこともあり、中心客層はやや若め(30代が中心)。
BGMもそれに合わせてか、思いのほかアップテンポの洋楽を流している。

平日限定のランチは 5種のコース(¥1662~5540)、
ディナーは 6種のコース(¥5540~¥11966)が用意されている。
個室利用の場合は、専用メニューが供される。

料理の提供開始には時間が掛かるが、この空間に身体を泳がせ、ゆったりとした気分で待ちたい。
ちなみに箸がセットされているので、洋食に慣れない方やお年寄りでも気兼ねなく会食を楽しめる。

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■冷酒「河文」純米吟醸(グラス¥990)
料亭にルーツを持つイタリアンだから、和の酒で始めるのも面白い趣向ではないか。
もちろんワイングラスでの提供。
口当たりまろやかな大吟醸。フルーティーな香りは洋食にも対応可能。

■白ワイン「マクウィリアムズ・リースリング」(グラス¥990)
やや辛口で爽やかな飲み口、食中酒として最適な印象。

■赤ワイン「アンテッラ・ピノノワール」(グラス¥990)
肉料理に合わせ、酸味強めで選んでもらった。
果実味があって甘過ぎず、これは好きな味!

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■ザ・カワブン(¥6820)
「旬の食材」にこだわった一番人気のコース。
前菜・パスタ2品・魚料理・肉料理・デザート、全6品の構成。

◎前菜:燻製の香りをつけた桜肉とホワイトアスパラガス
 燻製オイルの香りでいただくスターター。
 土色のセラミック皿もモダンな雰囲気。
 馬肉は何らクセがなく、生の赤身のフレッシュな旨味を楽しめる。
 ざっくり刻まれたホワイトアスパラが食感をプラス。
 スモーキーな香りをはっきり効かせてあり、なんだかウイスキーが欲しくなる(^-^)

◎パン
 イタリアンらしく、フォカッチャ風の柔らかい食事パンに、オリーブオイルを添えて。

◎蛍烏賊と三重なばなのフェデリーニ・サルサヴェルデ
 春を感じさせる、ハーフサイズの温製パスタ(塩味)。
 食欲をそそる香りが立ち上る! からすみの塩気も丁度良い。
 面白いのは、上に数枚散らされた葉っぱ。
 炙ったバジルの葉かと思ったが、三重県産の「なばな」という葉らしい。
 少し焦げたような香りもあり、好みが分かれるかとは思ったが、
 地元の食材を工夫して取り入れている点が好印象。

◎伊勢・三河のはまぐり、緑豆とフレッシュトマトのタリオリーニ
 ハーフサイズの温製パスタ2品目。こちらはトマト味で変化をつけている。
 春の代表的食材・はまぐりを使用。
 先の一品にはスタンダードな細麺が使われていたが、こちらはもっちもちの食感が印象的。
 トマトの酸味も穏やかで、驚きこそないが、素直に美味しい一皿だ。

◎鯛と春キャベツ、桜海老のスフォルマート
 運ばれてきた途端、桜海老の鮮烈な香りに心奪われる。
 見た目には、中華料理のあんかけを連想させる一品。

 淡泊な鯛は、皮目もパリッと軽やかに塩味で仕上げられている。
 春キャベツはザクザクと元気な食感。
 桜海老はどこにいるのか…と思ったら、つみれのように団子状に調理されていた。
 殻ごと使われているので、香りが非常に際立つ。同行者もこの風味を絶賛(^-^)

◎南知多ハッピーポークと新玉ねぎのロースト
 いかにもハッピーになれそうな豚肉さん♪
 塩は強めに効かせてあり、これが豚肉の甘さを引き出している。
 表面カリッと、強火で仕上げてあるのも私好み。

 添えられた "豪州タスマニア産のマスタード" は、ぷちぷち感が強い!
 付け合わせの新玉ねぎは、もう一つの主役。
 まるまる一個使われており、甘くて、中はとろりと柔らかい。
 皮まで全部食べられる(^-^)

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デザートは、バーラウンジに移動して楽しむよう勧められる(移動したくない場合、ダイニングに残ることも可能)。
間接照明に淡く照らされたバーラウンジも、素晴らしくお洒落な雰囲気。
BGMも先ほどから一転、ゆったりラウンジ系の音楽にトランスファー。

◎デコポン、カモミールのアイスクリーム
 厳選されたデコポンは粒揃いで、さすがに甘い。
 それに、砕いたピスタチオの食感が秀逸!
 カモミールに加えオレンジピールも入っており、重層的な香りのハーモニーが楽しめる。
 これはすごく美味しい! 同行者とも意見一致、今回チャンピオンの一皿!

◎バースデーケーキ(追加注文)
 久し振りにキャンドルを吹き消す体験をさせてもらった(笑)
 乳脂肪分が高く、リッチな風味の生クリーム。
 いちご・スポンジ・生クリームというシンプルな三点セット、完成された美味しさ。
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過去レビューを拝見すると「雰囲気は良いけど味が…」という声も見られるが、
今回の私の印象では、雰囲気も味も十分満足のゆくレベルで、かつリーズナブルだと感じられた。

店員さんのハキハキした立居振舞いと、フレッシュ&フレンドリーな接客はかなり好印象。
特にショートカットの女性店員さん、スキル高いです(^-^)

結婚式場を併設したイタリアンとあって、ターゲット年齢はやや若めとも見られるが、
また機会をつくって訪れたいと感じる、艶のある一軒である。

  • デコポン、カモミールのアイスクリーム。とにかくこれが絶品でした!
  • バースデーケーキ(追加注文)。いつも優しい同行者さん、ありがとう♪
  • 付合せの新玉ねぎは、中がとろりと柔らかい。皮まで丸ごと食べられる♪

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3位

ナクレ (あおば通、広瀬通、仙台 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2018/07訪問 2018/09/17

玉ねぎをフルーツに進化させる "錬金術"。実験的手法のフレンチは、おのずから和食の風合いに。

[宮城県仙台市]
2018/7/28(土)
JR仙台駅西口(中央2)にある、モダンフレンチ。
"ミシュランガイド宮城2017" 1つ星★獲得店。

場所は… 仙台駅西口を出て、青葉通を真っすぐ西へ。
旧さくら野デパートを通り越し、三井住友信託の角(立ち呑み・大沼酒造の向かい)を右折。
クリスロードへ出る手前、左手にある雑居ビルの4階。
仙台駅から徒歩7分。月曜定休(月祝の場合は火曜休み)。

nacrée とは、フランス語で「真珠の光沢」を指す言葉。
(ちなみに真珠そのものは perle。別の単語が与えられている点に、フランスならではの美意識を感じる)

建築家・隈研吾氏による内装デザイン。
旅館や公共施設、最近では代々木の新国立競技場など、木材を巧みに用いた設計で知られる建築家だ。

12時オープンだが、その前から店内に入ることは可能な様子。
天井から吊るされた半透明なパイプ群が、ゆるやかなカーブを描く。
白と木材のナチュラルカラーで統一された内装は、確かに他にはないセンスを感じる。

客席は 4人掛けテーブルを中心に、非常にゆったりと空間をあけて配されている(全28席)
全席禁煙。BGMはピアノ、次いで陽気な感じのポップス。比較的大きな音量なのが特徴的。
ホールの店員は男性のみ。

ランチメニューは、以下の4通り。
 デジュネ(¥4320)、デジュネ+ワインペアリング(¥6340)
 セゾン(¥7560) 、セゾン+ワインペアリング(¥9860)

デジュネは肉料理が入らないコースとなる。
非常に迷ったが、公式サイトを見ると「魚料理」に只ならぬ情熱を注いでおられるようなので、今回あえて肉なしを選択。

料理は基本的に、食べて美味しければ良いと思うが、
この店を選ぶのであれば、ぜひ公式サイトを一読してから訪れることを勧めたい。

店舗コンセプトとして、食材の火入れに徹底的にこだわっている。
直火を使わず、全ての調理をIH(電磁調理器)でデジタルに行うというのは
非常に前衛的な考え方といえる。

加えて、魚に対しては圧縮空気を用いた瞬間神経締め、また切り身を水洗いせずに済む手法を開発。
「食材にできるだけ包丁を入れず、旨味を閉じ込める」信条から、皮目などに隠し包丁を入れない工夫もなされている。

結果として、食材そのものの旨味に鋭くフォーカスした、和食にも似た料理になりそうだが…
実食ではそのあたりに注目し、味わってゆくことにしたい。

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■デジュネ(¥4320)
料理4品+デザートの構成。

テーブルには、シャガールのショープレート(飾り皿)。
黄色い肌の女と、蒼い肌の男。
思わず、私自身が青い顔をしているのではないかと、心配になる(笑)

通常、コースが始まる前にドリンクを聞かれるものであるが、
この店では問いかけなし(ペアリングコースが別に設定されていることが理由かも)

◎前菜 ~三陸産さくらかきと、海老の揚げ春巻

 牡蠣は石ころに乗って、春巻はローストしたナッツの殻に乗って登場。
 なかなか楽しい盛り付けである(^-^)

 三陸産さくらかき(牡蠣)は、58度の低温で火を通してあるという。
 見た目には生に見えるが、レア感を残しつつ、芯まで火が通っている。
「58度」という温度に、その秘訣があるのだろう。

 味付けはみりんと白醤油、そこにイタリアンパセリの香りを加えて。
 素材の味わいが主役、和食的な印象を残す。

 海老の揚げ春巻は、バジルとライムが爽やかに香る一品。
 パリパリッとクリスピーな衣、プリプリっと肉感豊かな海老。
 噛み締めると、本物の車海老の香りとともに、甘い八角の香りが立ち上る。
 中華点心のお手本のような一品。1個だけ供されるが、これは6個くらい一気にいきたい♪

 なんだか、お酒を飲んでいないからか、味覚が鋭敏になっているかもしれない(笑)
 これが、食前にドリンクを聞かないシェフの狙いか?


◎さっと炙った帆立 茄子のソース

 驚くほど立派な帆立貝柱!
"さっと炙った" という表現がぴったり。もっちりとして、刺身のようなレア具合。
 三陸らしい海の恵みに、シャッターを切る手が止まらない(^-^)

 茄子のソースというのは珍しいが、季節感ある素材の選択である。
 とろっとして、とても薄味で、後味にほのかに茄子の香りが捉えられる程度。
 ところどころに添えられたウニは、贅沢に貝柱を彩るソースの役目を担う。
 さらに三角形の蕎麦の実が配され、見た目と食感に変化を加える。

 帆立という繊細な食味の素材を活かすため、ソースも添え物も薄味で統一されている。
 素材の選択(ウニ・茄子・蕎麦の実)、漆黒に金箔・銀箔をあしらった食器のセレクトを含め、
 和食的感覚が強い一皿。
 前菜からの流れで、シェフの目指す方向性が強烈に伝わってくる。


◎白ワイン

 あまりの内容に、お酒なしでは耐えられなくなり、ホールの男性を呼び寄せる(笑)
 ワインのメニューはなく、ソムリエのお勧めに一任するスタイル。
 ちなみにノンアルコール系ドリンクの提供もなし。

 細いステム、うすはり(極薄ガラス)、大口径のグラスで提供。
 白ワインとしては珍しいが、はっきりとした意図を感じる。
 甘みは抑制的、はっきりと、果実の酸が快い。

 提供時、ワインのエチケット(ラベル)は見せられず、銘柄に関する説明は一切ない。
 一杯を飲み終える頃、答え合わせのようにボトルが提示される。
 ジャン・マルク・ブロカールの「シャブリ・サント・クレール」。
 事前情報を与えず、ブラインドテイスティングのように楽しませる。これまた実験的手法。


◎パン

 天然酵母のパン。レーズンのような香りで、酸味が強い。
 これに、塩味強め・香り豊かなバターを合わせる。
 酸味×塩味×香りの相乗効果。酸味強めの白ワインとよく合う。


◎4時間半加熱した玉ねぎ

 この店のスペシャリテ。素朴な木皿で運ばれてくる。
 櫛切りにされた玉ねぎの、重なった部分を一枚一枚はがした上で、
 各葉の裏表に岩塩とポルチーニのソースを塗り、また玉ねぎの形に組み立てる。
 温度をきっちりと管理しながら、4時間半じっくりと加熱する。
 非常に手の込んだ一品だ。

 テーブルに運ばれてきた瞬間から、ポルチーニの香りに圧倒される。
 加えて、タイムであろうか、ハーブの爽やかな香り。
 口に入れてみると、フルーツ、あえて言えばメロンのような香りがするではないか!

 玉ねぎをフルーツに進化させる錬金術。
 4時間半の加熱を経てなお、ザクッザクッと元気な歯触り。
 中まで、しっかりと旨味が染みており、玉ねぎの甘さが見事に引き出されている。
 玉ねぎでここまで唸らされる、スペシャリテの風格に満ちた一品。


◎鯛のロースト チョリソー添え

 皮目を上に向けて登場。
「シェフが目指すところは、刺身と焼魚の中間なんです」と説明が入る。
 こんがり焼けた皮を見れば焼魚、桜色の断面を見れば刺身、あるいは "タタキ" が連想される。

 身の表面には薄い脂の層ができ、プリズムのように光を跳ね返す。
 実は、店名のナクレ(真珠の光沢)は、この様子を表現したものであるという。
 火入れに並々ならぬ情熱を傾ける、シェフならではの命名といえよう。

 一口目の印象は、塩加減がナチュラルで、非常に塩梅が良いこと。
 大洋を泳ぐ魚を、海水と共に、そのまま食べているような印象。
 前述した "瞬間神経締め" のメリットが確かに感じられる。
 皮目はカリッとさくっと、軽やかに焼き上げられている。

 その下には、ひらりと薄くスライスされたチョリソーが添えられる。
 魚と肉を一皿の中で組み合わせるというのも、非常にユニークな手法。
「魚料理の塩加減を補うのと、動物性の旨味をプラスするため」と説明が入る。
 計算され尽くした一皿。


◎プチマドレーヌ、エスプレッソのムース

 小さな貝殻型が可愛らしいマドレーヌと、真っ白な白い泡。
 泡の方は、スプーンを入れると、中から褐色のエスプレッソが現れる仕掛け。


◎フルーツ盛合せ

 西瓜・プラム・メロン・ブルーベリーの盛合せ。少量ずつ、季節の味を楽しめる。
 先ほどのマドレーヌもそうだが、和の陶器に乗って登場。
 料理全体に和のテイストが流れるが、和洋折衷の器のセレクトにもそれが現れる。


◎出来立ての抹茶アイス、エスプレッソ(or 紅茶・ハーブティー)

 最後は華やかに、シャガールのカラフルな絵皿で大団円を迎える。
 抹茶のほろ苦さを効かせたアイスクリームは、溶けないうちに舌溶けを楽しみたい。

 センスの良いカップで、ぐっとエスプレッソを飲み干して、食後の余韻に浸る。
 同行者のハーブティーは、南部鉄器の鉄瓶で供されていた。
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お会計¥13500(2名、ワイン込)。
驚きのある内容でこの価格、抜群のコストパフォーマンスと言える。

店主は間違いなく職人気質なのだろう。
男性スタッフのみで淡々とした(やや独特な)接客、すいぶんと和食に振れた料理構成など、
一般的なフレンチを好む層にとっては、好みの分かれそうな一軒。

それだけに、好奇心旺盛な食べ手にとっては、
予想外の展開を見せてくれる、驚きに満ちた一軒として記憶されるに違いない。

  • ポルチーニとタイムの香り、まるで味の染みた「フルーツ」のよう!
  • ウニが調味料のように使われる。とろりとした茄子ソースに蕎麦米、まさに和食の風合い2
  • 「刺身と焼魚の中間を目指した」という。皮目はサクッと軽やか、身は桜色のレア具合

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4位

伊勢鮨 (小樽 / 寿司、海鮮)

2回

  • 夜の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥10,000~¥14,999

2020/10訪問 2020/12/12

地物中心の握りを自分のペースで堪能、初めて食べた「八角」も美味。大将の会話力にも唸らされる…

[北海道小樽市][来訪回数:2回]
2020/10/24(土)
JR小樽駅の北東(稲穂3)にある寿司店。
店舗情報は、1回目の "行った" をご参照あれ。

2018年6月の訪問ですっかり気に入ってしまい、2年ぶりに機会を得て再訪。
決して "高級" とは言えない価格で、高級店を上回る満足感を与えてくれる店。
おまかせだけでなく、アラカルトで注文できるのも、この店の良いところ。
今回の同行者は、苦手なネタが多いので、なおさらである。

今回も2ヶ月前に予約を入れ、首尾よくカウンターに陣取ることが出来た。
カウンター6席×2、ほか4人掛けテーブル×4卓。車椅子利用可。

BGMはオルゴール。
寿司屋でクラシックを流す店は見かけるが、オルゴールとは珍しいですねと尋ねたら、
「小樽なので、それらしいイメージで」とご回答。なるほどと納得しまくり!

カウンターの雰囲気は静かで落ち着いているが、決してピリピリした雰囲気ではなく、
大将がいろいろ話し掛けて楽しませてくれる。
それにしても、すごい会話力!
どんなお客さんが来ても、話を合わせられるんだろうな、引き出しの多いこと!
同行者には音楽の話題が振られ、意外な方向に盛り上がりを見せていた(^-^)

握りは、いずれのネタも煮切り醤油で調味してあるので、
醤油をつける必要はなく、そのまま口へ運べば良い。

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■お酒
◎小樽・OSAワイナリー「tabi」(グラス¥1320)、お通し(¥605)※税込10%
 前回いただいて、非常に印象の良かった白ワイン。
 小樽運河の近くにある醸造所、地元の酒であればこそ "魚介・寿司との相性" が最初から考慮されている。
 すっきりと辛口、かといって酸味が尖らず、まろみがあって美味。
 お通しは岩海苔佃煮と、ヤリイカの酢味噌和え

◎冷酒・二世古酒造「二世古」純米吟醸(¥770)
 翌日ニセコへ行く予定があり、それにちなんで注文。
 この店が扱う日本酒の中で、最も辛口な銘柄だという。

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■つまみ
◎おたる盛り(¥1320)
 アワビやわらか煮、タコの桜煮、シャコの三種盛り。
 素材の香りを大事にした仕上がり。特にシャコの甘さが印象的。

◎サクラマスの三升漬
 サーモンを米麹・醤油・唐辛子で漬け込んだ一品。
 日本酒と相性バッチリ、気の利いた酒肴。

◎真つぶの肝(サービス品)
 ネタケースに入っており、軍艦にでもするのかと思ったら、そのまま供するとのこと。
 少量のツメ(甘ダレ)とあわせ、磯を感じる酒肴に。

◎焼きししゃも(¥946)
 北海道に来たら、真ししゃもを食べたなきゃ!
 しっとりと水分を含み、中までほわっと柔らかく焼き上げてある。
 カリカリに干したような安物のししゃもとは、全くの別物。

◎八角西京焼き(¥1100)
 今まで一度も食べたことのなかった魚「八角」。あえていえば冬が旬。
 鎧のように硬い鱗に覆われ、グロテスクな姿だが、味は絶品と聞いて以前から気になっていた。
 西京焼きにされた八角、皮は硬いので外すことになるが、ペロンと簡単に剥ける。
 食べてみると、白身とは思えない脂のノリで、これは美味しい!
 ちなみにオスだけが八角と呼ばれるそうだ。一般名は「トクビレ」。

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■握り
◎小樽・いか(¥495)
 一貫目は地物のいかを選択。
 柑橘と塩を振り掛け、さっぱりとしたスターター。

◎日高・松皮がれい(¥495)
 淡泊な白身に見えるが、食べてみると意外に旨味がある。

◎襟裳・真つぶ(¥605)
 分厚さがすごい! パリッと甘く、いかにも北の海の恵みという感じがする。
 小樽を訪れた喜びが高まる一貫。

◎根室・ほたて(¥495)
 久米塩をパラリと振り掛けて、素材の甘みを増幅♪

◎苫小牧・北寄貝(¥495)
 なまめかしい外見、グレーがかった桜色も美しい。
 貝類特有の甘みと旨味。外さない一貫。

◎苫小牧・北寄ひも(¥242)
 安いのに食感が良く、甘くて旨味もある偉い子!

◎小樽・しゃこ(¥715)
 昔から好きなネタで、見掛けるとつい注文してしまう。結構高級な価格帯。
 ツメが、シャコそのものの甘み・旨味と呼応する。

◎小樽・水だこ(¥374)
 ネタに重量感というか、迫力がある!
 弾力を楽しむ一貫だが、噛み締めると奥から旨味がぎゅっ。

◎にしん
 北海道に来たら外せないネタ。
 かつては山のように獲れて食べきれず、綿花を育てる肥料にされたというが、それも今は昔。
 みょうがなどの薬味を少量トッピング。ほどよく脂の乗った感じが、酢飯にぴったり合う。

◎九州・さば漬け(¥495)
 マグロの漬けは定番だが、サバというのは珍しいと思い、九州のネタだけど注文(^-^)
 もともと脂の乗ったサバ、漬けにすると過剰な脂が抜け、その分が旨味に置き換わるイメージかな?

◎厚岸・煮牡蠣(¥605)
 ねっとり~まろやか!
 決して濃い味ではなく、むしろ淡泊な味わいに感じさせるのが意外。

◎積丹・たらこ(¥495)
 回転寿司ではたまに見掛けるが、本格的なカウンター寿司では初めて注文。
 まさに「粒揃い」、ほど良い塩気、パリッと焼き海苔の香り。

◎積丹・たち(¥495)
 タラの白子、宮城では「たらきく」と呼んだが、北海道では「たち」である。
 見るからにミルキーな存在感、口に入れるとぷちんと弾ける!
 期待以上の美味しさ。

◎味噌汁
 海老の頭で出汁を取った、旨味の詰まった一杯。
 あったまる~(^o^)

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■〔お土産〕いか塩辛(¥1458)※テイクアウト税込8%
実家でお留守番の、両親向けに購入。
寿司屋の塩辛と聞けば、いかにも美味しそうではないか。
結局 私も、実家に帰って一緒に食べる流れになったが(笑)
塩辛さは控えめで、上品な甘さとコクが際立つ逸品であった。
日本酒が進んで危険な代物でもある♪
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2名でお会計¥23,139、クレジットカード利用OK。
大将との会話もまったりと楽しめ、充実した時間を過ごせた。

後から写真を見ると、食べた量がちょっと少なかったように思うが、
カウンター4名のうち3名が女性という環境に、知らず知らず影響されたか。

寿司は生もの、寿司カウンターも生もの。
そのときの環境いかんで、食べたいネタやその量も異なってくるものだ。
写真映え的に、マグロも一貫くらい食べておけば良かったな…と、今になって思う(笑)
[北海道小樽市]
2018/6/8(金)
JR小樽駅の北東(稲穂3)にある寿司店。
創業1967年、ミシュランガイド北海道2017にて星獲得。
食べログスコア★3.90/ 266件。

場所は… JR小樽駅を出て正面に進み、国道5号に出たら左折。
しばらく進み、左手にセブンイレブンが見えたら小道を右折。
細い道を2ブロックとちょっと進み、左側。
JR小樽駅から徒歩6分。すぐ近くに専用駐車場(8台)あり。

水曜定休、ほかに休日があるので公式サイトでご確認あれ。
昼は11:30/ 13:30スタート、夜は17:00/ 19:00スタートの二部制。

2ヶ月前から、電話予約を受け付けている。
今回は両親と3人であったが、運良くカウンターが取れてラッキーだった。
父は「おまかせ」が性に合わず、一貫ずつ注文したい人なので…

三角市場で買い物をし、予約時間の10分前に現地到着。
すっきりと上品で、清潔感あふれる門構え… これは期待して良さそうだ!
酒呑みを誘うように、杉玉が吊られる。

客席はカウンター6+6席、4人掛けテーブル×4卓。全席禁煙。
クレジットカード利用OK。

客席はカウンター6席×2、4人掛けテーブル×3卓。全席禁煙。
料理の撮影は問題ないが、撮影時以外はカメラをテーブルの下に置いて下さいとのこと。

お品書きを紹介すると…
 旬(握り16貫セット)¥6300
 舞(握り9貫、巻1本)¥5200
 醍(握り12貫)¥3900

ちなみにこの店では、テーブル席でセットを注文しても、
3回に分けて(4~5貫ずつ)運ばれてくるので、新鮮な状態で口に運ぶことができる。

握りは、いずれのネタも煮切りで調味されているので、
醤油を付ける必要はなく、そのまま口へ運べば良い。

さて、旨い寿司には銘酒を合わせたいもの。
北海道の地酒は、利酒師のセレクトで淡麗から芳醇まで、分かりやすく整理されている。
ワインの品揃えも充実しており、しかも全品が「道産ワイン」というから、
旅人的には、飲まずに帰るわけにはいかなくなってしまう(^-^)

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■上川大雪酒造「緑丘蔵」純米(90ml¥650)、お通し
旭川の近く、上川町に最近出来たばかりという、新進気鋭の蔵。
フレッシュな味わいが、グラスから立ち上る。
これは美味しい、明日 蔵まで訪問してみようかと思ったほど(^-^)

お通しは 2種盛り。
一つはクラゲの岩海苔和えで、コリコリとした食感が楽しい一品。
もう一つは、ホタテ "卵" の塩茹で。
見慣れた部位だが、白いのが精巣、オレンジ色のが卵巣だそうだ。
帆立にもオスメスがあるんだね~。

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■小樽・OSAワイナリー「tabi」白(グラス¥1200)
地元産の白ワインと聞き、食指が動いた。
北海道産の旅路という葡萄品種が使われており、香り華やか。
シャープな酸味が、寿司飯の酸味に呼応する。
甘くない白ワインと寿司の相性、もっと試してみたくなる。

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■おたる盛り(¥1200)、ホヤ塩辛(¥550)
盛り付けの美しさに、初っ端から顔がほころんでしまう(^-^)
アワビやわらか煮、タコの桜煮、シャコの三種盛り。
3種とも、地元・小樽産というから付加価値を感じる。

ホヤの塩辛は全く臭みがなく、複雑な旨味で日本酒が進む。

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■クリームチーズ西京味噌漬(¥430)
まったりと濃厚な味わい。仕上げのブラックペッパーも効果的。
塩気とクリーミー感がワインのアテにぴったり!
そして味噌が使われているから、日本酒でもいけちゃう両刀使い。

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■握り(おこのみ)
◎小樽のソイ
 やや柔らかく、クセのない綺麗な白身。
 関東や中部ではあまり見ないが、仙台在住時にはよく見掛けた。
 そんな記憶から、北国に来ると食べたくなるネタ。
 かなり大きくなる魚で、"北海道の鯛" と称されることもあるそうだ。

◎大トロ
 舌が飽和していないうちに味わいたい一貫。
 まるで、A5ランクの和牛が出てきたみたい!
 ボーダー柄を描くかの如く、何本も真っ直ぐに包丁が入れられている。
 トロに脂が乗っているのは当たり前で、口に入れたとき、舌の上でスムーズに
 脂がとろけるかどうかが重要。そのために、この包丁が威力を発揮するのだと思う。

 ちょっと多めに乗せられたワサビは、トロの脂と交じりあうことで
 不思議なほどツン辛が抜け、甘さを感じさせる薬味になる。これまさにツンデレ感。

◎赤身漬け
 見事な肉厚、濃い牡丹色が食欲をそそる。
 その場で軽く漬けるだけの店もあるが、やはり長時間漬けられたものの方が、
 ヅケならではの醍醐味を味わえる。
 山ワサビの風味が添えられるのも、北海道な気分。
 個人的には、大トロ以上の満足感を覚えた一貫(^-^)

◎襟裳の真ツブ
 いかにも北海生まれという、貫禄あふれる一貫。
 パリパリコリコリと、磯の風味が口の中に消えてゆく。

◎小樽のイカ
 軽く振った塩で、シンプルにいただく。
 ストレートに美味しい! この味は、説明不要だろう。

◎日高のいくら
 ぷちぷちと同時に、口の中でとろける。穏やかな塩気に酒が進む。

◎根室の氷下魚子
 北海道東部で獲れる、タラの仲間 "コマイ" の魚卵。
 通常のタラコより粒が細かく、口の中で細かく弾ける食感が快感。

◎ニシン
 シャープな身姿、ミョウガと胡麻の香りをほんのり効かせて。

◎〆サバの巻物
 特製の薬味でいただく一貫。
 青魚の旨味に、大葉や生姜の香りが重なる。

◎オオスケ
 別名キングサーモン・マスノスケ。
 もっちりと柔らかい身に、味覚まで包み込まれてしまいそう!

◎サクラマス軍艦
 マスが軍艦で出てくる、この意外性。
 柚子胡椒と白胡麻の風味でいただく一貫。
 こういう鮭の楽しみ方もあるのか…

◎羅臼のウニ食べ比べ
 鮮やかなオレンジ色のバフンウニと、淡いクリーム色のムラサキウニ。
 一般に前者の方が珍重されるが、正直なところ、今日はムラサキウニに軍配を上げたい。
 口の中で広がる旨味、独特な風味…
 強く印象に残ったのはムラサキウニの方だった。
 ちなみにウニって、200年生きることもあるらしい。すごい生物だね(^-^)

◎岩海苔の吸物
 蟹の甲羅で出汁を取っているから、旨味に加えて甘みまで感じられる。

◎トロたく
 トロと沢庵の巻物。
 私はこれが好きで、シメとしてかなりの頻度で注文してしまう(^-^)
 目の前で沢庵を刻んで、巻いていただく。
 トロの質が良いのはもちろん、沢庵のカリカリ食感も素晴らしい♪

「トロたくは札幌・寿司善というお店の発祥なんですよ」と大将。
 恥ずかしながら、私は東京発祥だと思っていた(諸説あり)
 図らずも、北海道発祥のトロたくで締めることができ大満足!
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このほか煮ガキも食べてみたかったが、あいにく品切れで残念。

3人でたらふく食べて飲んで、お代は¥34,610。クレジットカード利用OK。
都内や札幌市内に比べれば、驚くべきコストパフォーマンスだと感じる。

母が「美味しい寿司、何月頃に来たらベストですか」と酔っ払って尋ねたところ
大将「何を食べたいかによりますね、例えばウニなら7月ですね。
北海道には3つの海があるので、いつ来ても、ほとんどのネタは食べられます」とのこと。
3つの海(オホーツク海・太平洋・日本海)という考え方は、私にはちょっと斬新だった。

ちなみに小樽駅の構内にも、立ち食いの店があるので
電車での行き帰り、こちらで気軽に摘んでいくのも良さそう。

両親を含め、3人ともみな納得、3人とも満足。
また小樽を訪れるときには、この扉を開くことになりそうだ。

  • 苫小牧・北寄貝(¥495)。なまめかしい彩り! 軽くツメを塗って
  • 襟裳・真つぶ(¥605)。肉厚でパリッと甘い!
  • 八角西京焼き(¥1100)。硬い外皮を外して食べる。脂の乗った白身、これは美味しい!

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5位

歌行燈 本店 (西桑名、桑名、益生 / うどん、日本料理、そば)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.2
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥3,000~¥3,999 -

2018/12訪問 2018/12/27

東海道・伊勢国の玄関口。木造建築でいただく蛤料理は風情満点! 一人でもゆったり寛げる♪

[三重県桑名市]
2018/12/3(月)
桑名駅の東方・江戸町にあるうどん店。
一年中、桑名名物の蛤料理を楽しめる。

場所は… JR/近鉄桑名駅を出て、東の方(海の方)へ歩くこと20分。
国道1号を渡り、しばらく歩いてゆくと "柿安" などの高級料亭が点在するエリアに出る。
その中の小道沿いに佇む、風流な一軒。
桑名駅から徒歩20分(1km強)。定休日なし。駐車場あり。

ここは旧東海道、七里の渡し。
尾張の宮(熱田神宮)から桑名までの間は、東海道で唯一、旅人たちが海を渡る区間であった。
木曽三川に橋が架かっていなかった頃、この船着き場が伊勢国の玄関口だったのだ。
旅人を迎える立派な鳥居は、伊勢神宮の外宮から移設されたもの(式年遷宮のたびに取り換えられる)
というから、その格式のほどが窺える。

こちら「歌行燈」は、1877(明治10)年の創業。
明治末期の1910年には、泉鏡花が同名の小説にて取り上げ、
名物・釜揚げうどんの味を、当地の旅情に絡めて賞している。
現在は海外を含め、50店舗を展開する人気うどん店に成長している。

いかにも風情のある、二階建の木造建築。
一人で大丈夫かと思ったが、扉をあけると笑顔の店員さんに迎えられ、ほっとする。

店舗は奥に深く、4~6人掛けテーブルが多数。全席禁煙。
私は6人掛けの席に案内いただく。
グループ客の割合が多い店だが、各席がパーティションで分離されているため、
一人でも気兼ねなく寛げるのが嬉しい。

メニューはうどんだけでなく、和食全般を幅広く扱う。
店員さんを呼び出す無線ベルも備えており、いい意味で親しみやすい「和風ファミレス」感が漂う。
和服姿の女子バイトさん、若くて可愛い。
笑顔は100点、接客もしっかりしている。うむ、めちゃめちゃ可愛い(笑)

お品書きの一部を紹介すると…
〔蛤料理〕蛤づくし膳、地蛤うどん、焼蛤、酒蒸し、蛤フライ、蛤天ぷら
〔うどん〕歌行燈(釜揚げうどん)、牛肉カレーうどん、玉子とじうどん、しっぽくうどん、
     とりなんばうどん、おろしもちうどん、信乃田うどん
〔丼〕  蛤天丼、穴子天丼

蛤は外国産などを使わず、桑名赤須賀漁港で水揚げされた地物を使っているから安心だ。

桑名といえば「焼蛤」。
"その手は食わない" → "その手は桑名い" → "その手は桑名の焼蛤" という駄洒落のフレーズで
広く知られている。
だが、いまは蛤の季節でないため、少しだけ変化球で注文してみた。

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■宮の雪・冷(小¥637)
四日市市・宮崎本店で醸される、伊勢を代表する地酒。
宮崎本店は「キンミヤ焼酎」で全国的に知られるが、日本酒の方でも存在感のある蔵である。

朱色の徳利に3杯程度。私にとっては丁度良い、ほろ酔いの量。
すっごいまろやか! これは美味しい(^-^)
後から出てくるうどんの、出汁の味わいにぴったり呼応する。
日本酒と出汁の相性、最強ですね…。

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■蛤酒蒸し(¥1080)
蛤4匹。蛤の旬は春だから、時期外れであることは否めないが、
やはり名物をその土地でいただけるというのは、格別である。

まずはお出汁から。うむ、旨いね~
出汁の旨味が、ぐーっと奥深いね! 素晴らしい!
貝そのものに旨味があるのではなく、出汁の味わいが凄い。
後から出てくる蛤うどんにも似ているが、酒蒸しの方が、蛤の旨味をよりダイレクトに
反映しているような気がする。満足。

一つだけ気になったことを挙げると、料理提供のペースが少し早いかな?
酒があるときは、もう少しゆっくり時間を掛けて、料理を味わいたい。

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■蛤うどん御膳(¥1933)
蛤うどん・天ぷら・茶碗蒸し・ちらし寿司のセット。

◎蛤うどん
 蛤が浮かぶ、かけうどん。
 麺はそれほど期待していなかったが、ツルツルと滑り良く、コシもあって美味しい。
 さすが、うどん専門店らしい実力を見せてくれる。
 蛤特有のとろんとした出汁が、汁の方へとしっかり染み出て、大変コク深いスープになっている。
 汁まで飲み干してしまうことは必至である。

◎天ぷら
 スタンダードな一品だが、カリッと仕上がっているのが印象的。

◎茶碗蒸し
 後から供される。本当に熱いから要注意!
 具は、海老・鶏肉・椎茸・三つ葉。さすがに蛤は入らない。

◎ちらし寿司
 錦糸卵・椎茸・でんぶ・大葉が入ったちらし寿司。
 ほんのり甘酸っぱい、上品な風味。
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お会計¥3650。
一人でもゆったり人目を気にせず過ごせるから、非常に居心地が良かった。

パーフェクトな料亭風情を求める方には向かないが、
老舗の風情を残しつつ、ファミレス的な良さも取り入れて、現代に合う形に進化されていることを、
ここは高く評価したい。

  • 蛤は小振りだけど、染み出る出汁の美味しさは本物。さすが地物です!
  • 蛤うどん(御膳セット¥1933)。蛤特有のとろんとした出汁が染み出る、つゆまで飲み干してしまうこと必至!
  • 麺はツルツルと滑り良く、コシもあって美味しい。さすが、うどん専門店の貫禄を見せてくれる

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6位

OTTO SETTE (小淵沢 / イタリアン)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2018/05訪問 2018/08/16

アクティビティ充実の「ワインリゾート」。すべての料理に驚きがあり、満足度高い。山梨県産に絞ったワインの品揃えも好印象!

[山梨県北杜市]
2018/5/27(日)
リゾートホテル「リゾナーレ八ヶ岳」館内のイタリアンレストラン。
食べログスコア★3.86/ 98件の人気店。

※長文恐縮です… 夕食に関しては「■夕食」のところに記載しております。

場所は、中央道・小淵沢インターを下りて清里方面へ右折、
次の信号(道の駅の角)を右折、そこから案内に従って進めば到着。小淵沢ICから車で5分。
鉄道利用の場合、JR中央本線・小淵沢駅からホテルのシャトルバスを利用。
駅から約2km、タクシーで1メーターの距離。

山梨県の北西部、長野県境にほど近い小淵沢。
車でも電車でも、東京からおよそ2時間半~3時間の距離。
星野リゾートが経営するこちらのホテルは、爽やかな八ヶ岳高原にあって、交通至便なロケーションを誇る。

この日は爽やかな晴天。
国内旅行大好きな私だが、星野リゾートに泊まるのは初めて。
同行者と出会うことがなければ、ここへ来ることもなかったかもしれない… と感慨深い。

15時ちょうどにチェックイン。
館内は、子ども連れの若いファミリーが多め。
入館ルートによっては案内看板が少なく、フロントへの行き方が分かりにくい。
想像を超えるお客さんの数で、チェックインの行列が出来ており、しばらく待たされた。

"ピーマン通り" と名付けられたメイン通りには、12000本の花々が彩りを添える。
両脇には小さな店舗が並び、アウトレットパークを訪れたような楽しみがある。

敷地内の飲食店やカフェ・ショップも充実しており、連泊しても飽きることがなさそう。
できるだけ早い時間に到着し、ぎりぎりまで滞在したい気分にさせてくれるホテルだ。

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■客室
今回は 1室¥50,000程度(食事別・2名合計)の内容。
同じ部屋でも、日によって大きく金額が異なる(¥31,400~¥79,400)ので参考まで。
正直、同行者にご馳走してもらうのが申し訳なくなるグレードだ(^-^;)

まず驚かされたのが、客室のロケーション。
前述のピーマン通りに面した 3階建の建物に、客室が用意されていた。
高層ビルでないため、あたかも「その街に住んでいるような気分」を味わえるし、
道行く人々を上から眺められるのも、ちょっと楽しい。

室内は、ワインレッドや紫系のカラーが使われ、なかなか攻めた色彩。
"ワインリゾート" という施設のコンセプトを意識しているようだ。
壁面には、南アルプスの峰々がCG風に描かれている。

高級ホテルだけあって、室内はさすがに広い。
セミダブルサイズのベッドが2つに、フラットタイプのソファーが2つ。
後から気付いたが、この部屋は4人部屋で(ベッドを4つ置けるスペースがある)
当日空室であったので、アップグレードしてくれたのだと思う。

チェックアウトは12時なので、アクティビティを楽しむにも、
ゆったり寝転がるにも都合が良い。

客室にソムリエナイフやワイングラス(赤・白)が用意されているのは、ワインリゾートらしいポイント。
ベランダも比較的広いので、外に出て過ごすことも出来そう。
ただし網戸が無いので、窓を開けたままにしておくと虫が入りそう。

室内はWi-fi(無線インターネット)完備。
Bluetoothで、手持ちのスマホと接続できるスピーカーもあるので、
お気に入りの音楽を流すことも可能(やや操作が難しいが)。

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■ワインハウス
"ワインリゾート" と称するだけあり、地元ワインへのこだわりが随所に感じられる。
館内のワインハウスでは、山梨県産のワインを幅広く扱っており、
「海外産は一切置かない」思い切りの良さには、非常に好感が持てる。

enomaticのワイン自販機が設置されており、24種類の県産ワインを、
10~50mlの範囲で有料試飲することが可能。
10mlというと舐める程度だが、高級ワインの香りだけでも楽しめるのは嬉しいところ。

中でも、新進気鋭の女性醸造家が醸す「ミエ・イケノ」は、ホテルお勧めの銘柄。
他ではほとんど見掛けないワインなので、少量でも是非試していきたい。

ここで購入したワインは、客室はもちろん、追加料金無しで
レストランへの持込(Bring Your Own)が可能。

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■アクティビティ「春風アペロ」(15:20集合→17:30解散 参加費¥3800)
滞在の楽しさにこだわり、「アクティビティの提案」が非常に充実したホテルだ。
ワイナリーやぶどう畑の見学、高原乗馬、カヤック、マウンテンバイク、アスレチック、ホタル探し、川遊び、各種フルーツ狩り…
月光乗馬など、夜間のプログラムが多数企画されている点にも、冒険心をそそられる。

もし雨が降ったら “ワインの学校”に一日入学するも良し、木工やアクセサリー制作に取り組むも良し。
水着を借りて、デザイン性の高い屋内プールで一泳ぎするのも良い(^-^)
(アクティビティの大半は、事前にWeb予約して参加する)

今回、私たちが体験したのは「春風アペロ」。
昼下がりのぶどう畑を散策、高原の風に吹かれながら、グラスワインと軽食を頂くという趣向。
ぶどう畑を見学したことはあるが、その場(屋外)でワインを飲めるというのは実に魅力的。

まさに、テロワールを肌で感じられる機会。
私としては絶対に参加したいアクティビティ(ワイン苦手な同行者には申し訳ないが…)

マイクロバスで15分ほど、小牧ヴィンヤードに到着。
元・帝国ホテルのソムリエさんが、退職後、ご夫婦でワイン用ぶどうの栽培を手掛けられている。
遠く八ヶ岳を望む傾斜地に、青々と葉を茂らせるぶどう畑の光景は、すがすがしさ満点!
高原の風に吹かれながらいただくスパークリングワインの一杯は、とっても贅沢。

その後はサンルームに入り、5種のつまみと一緒に赤ワインをじっくり楽しんだ。
サービス精神満点なソムリエさんのお話は、ワインに疎い私にとっても非常に興味深かった。
ワインの香りの楽しみ方から始まり、海外における甲州種人気など…
これからの日本ワインを考えるきっかけともなり、非常に充実した 2時間だった。

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■夕食
イタリアン「オットセッテ」または「ワイワイグリル」を選択可。
私たちは前者を選択。お子様やお年寄りと一緒の場合は、ワイワイグリルが良いかもしれない。

18:30スタートで、同行者が予約を取ってくれていた。
以下¥11,880(1名)のコースについてご紹介。

コンクリート打ちっ放し、絵画の飾られたモダンな空間。
卓上には、蒼い夜空に浮かぶ月を表すような、真ん丸の飾り皿が配される。
窓の外にはアカマツの森。

本日のテーマは「山梨~長野 山笑う八ヶ岳」
山笑うとは、春を迎えた山に草木が芽吹き、山々が明るく色づく様子を捉えた、俳句の季語だという。
地元の野菜をたっぷり使ったコースを期待できそうだ。
一皿ごとに、絵画のような題名が付けられているのも印象的。

◎レジ・ブルー(¥1296)
 フランス産・オーガニックぶどうジュース。
 アクティビティでワインを嗜み、ちょっと酔っ払いなので(笑)、まずは酔い覚ましを注文。
 安物の炭酸飲料とは全く異なる、ぶどうの旨味と、深みのある香り。

◎勝沼醸造「アルガーヌ・ボシケ」2016(グラス¥1296)
 甲州種100%。日本独自の葡萄だが、DNA的に "西洋種" と判定されたことから、
 本格的なワイン用品種として、海外での評価は高まる一方だとか。
 全く甘さがなく、完全な辛口! これはとってもオトナ味な白ワイン。
 渋味さえもフルーティーに感じられる。

◎丸藤葡萄酒「ドメーヌ・ルバイヤート」2011(グラス¥2268)
 長期熟成されたワインらしく、角がなく優雅でまろやかな味わい。

◎融和
 ディナーの幕開けを飾るのは、ミネストローネのような野菜スープ。
 紺色の丸皿に、白い丸皿を重ね、さらにスープカップを乗せる演出。
 カップは斜めに傾いており、意図された不安定さがなんだかアーティスティック(^-^)
 見た目と異なり、トマトは使われていない様子。代わりに、おろし生姜の風味を効かせてある。
 山の香り、土の香りをイメージさせる一品。

◎パン(これは題名なし)
 一つ目は全粒粉のパン。アツアツなのが嬉しい。
 オリーブオイルを付けて食べるのだが、このオイルの美味しいこと!
 非常に果実味があり、フルーティーそのものなのだ。

 何口食べても感動は褪せず、驚くほど鮮やかな美味。
 このオリーブオイル、ホテルで売っていたら間違いなく購入したのだが、
 店員さんに聞いたら販売は無いとのこと(勿体ない~) 

 二つ目は蕎麦粉のパン。割ってみると、蕎麦の香りが立ち上る!
 これ、日本酒の店に置いたら面白い一品かも。

 三つめは玄米パン。見た目はどれも同じだが、三者三様の風味。
 地味だけど、こちらのパン部門、よく頑張っていると思います。

◎畑
 出ました! これぞインスタ映えの一品(^o^)
 白い丸皿に、20種類の野菜と魚介が美しく並ぶ。
 カリフラワー、ブロッコリー、きゅうり、プチトマト、ラディッシュ、カブ
 大根、紅芯大根、パプリカ2種、ウリ、さつまいも、里芋、長芋、菜の花、枝豆、空豆。
 ミズダコは柔らか、カジキマグロはむっちり!

 空豆のソース、バルサミコとオリーブオイルで味付け。
 シンプルな味付けだからこそ、素材の良さが伝わる。
 サラダのように混ぜられていない分、野菜の個性を一種類ずつ確かめることができる。

◎自然
 4本の縦長グラスで供される。これまた驚きの演出!
 風林火山ならぬ "水・土・森・太陽"。まさに五感で味わう料理。
 器の色柄でも、料理の性格を表現しているようだ。

 - 水  ベニマスのマリネ、クレソン、大根、コンソメのジュレ。
     意外とはっきりした味付け。柚子の爽やかな香り。
 - 土  岩魚とじゃがいものエスプーマ。
     ヴィシソワーズを泡立てたような感じで、コク深い。

 - 森  鹿肉のサルシッチャ(サラミ)、くるみのジェノベーゼ(バジル風味)、
     器の底に、ふきのとうのマヨネーズ和え。
     ふきのとうと鹿肉、珍しい組合せをマヨネーズがとり持つ。
     ほろ苦さと繊維質。
 - 太陽 真っ赤なアイコ(プチトマト)に、八角の泡を乗せて。
     スパイスの甘い香り、トマトできちんと湯剥きしてあるのも印象的。

 いずれのグラスも、複数の食材を重ね合わせているので、
 混ぜて食べることで、パフェのような楽しさが味わえる。

◎香り
 フォアグラのグリル、トリュフのピューレと春キャベツ。
 いかにもワインに合う、温かい一皿。

◎旬
 桜海老と筍のパスタ。黄金の鉢で登場。
 "ストラッチ" と言われる、薄い三角形のパスタは、まるでラザニアみたい。ひな祭りの菱餅を連想したり…
 桜海老に加え、木の芽(山椒)の香りを効かせた、和風のイタリアン。
 塩だれの旨味が、具のあっさり感を引き立てる。
 5月下旬であったため、旬というにはやや遅い気もするが、"春の名残" と言ったところか。

◎郷土
 豚肉・チーズ・トマトソースのパスタ。
 羊乳から造るペコリーノチーズは、香りにインパクトがある。
 パスタの麺は "ブッカティーニ" と呼ばれるもので、よく見ると中心に小さな穴が貫いている。
 この穴のおかげで、パスタに火が通りやすくなるという。
 見た目はナポリタンに見えるが、トマトが突出しておらず、まろやかな味。
 豚肉は脂身まで柔らかくて美味しい。

◎協調
 スズキのグリル・サフランソース。
 魚介の出汁を活用したソース。淡泊な塩味、その中にセロリの隠し味。
 添えられたグリーンアスパラ・玉ねぎ・カブも、甘くて美味しい。

◎相性
 牛肉のグリル・二種のソース。グレーの大皿が、ディープピンクの牛肉を引き立てる。
 オレンジ色も鮮やかな人参のソースと、肉汁を利用したとろとろのソース。
 クミンの香り、茄子・オクラ・ラディッシュが添えられる。
 牛肉は2切れで、ボリューム的にも満足のいく量。
 ここまでの流れで、見た目以上のボリューム感があるのだ。

◎変化
 キウイフルーツの微炭酸ムース。肉料理からデザートへ向かう途中の一呼吸。
 パンナコッタのように見えるが、口に入れると「しゅわっ」♪
 炭酸(二酸化炭素)を閉じ込めたムースで、期待以上の発泡感がある。
 キウイの爽やかな甘酸っぱさで、口直しにぴったり。 

◎爽快
 甘夏尽くしのデザートプレート。
 同行者が "Happy Birthday" のメッセージを付けてくれた(^-^)
 透明なゼリーは、エディブルフラワー(食用花)のエキスを固めたもの。
 …これはまさに "食べる香水" である!
 きつい香りではないので "食べるアロマ" というのが妥当か。

 さっくりとした飴細工に、まったりとしたマスカルポーネチーズ。
 甘夏のジェラートはほろ苦さがあり、全体を引き締める。
 メレンゲ、ジュレにピール、まさに甘夏尽くし。
 コースの中で、最も印象的だったかも… 創作性あふれるデザートに大満足!

◎お茶菓子7種
 さすがに満腹になったので、持ち帰り用に包んでいただいた。
 翌朝、コーヒーを飲みながら、お目覚めとして食す。

 ・さつまいものクラフティ  バター風味の鬼まんじゅう(名古屋名物)みたい!
 ・あんずマカロン      さっくりと甘酸っぱく♪
 ・ブラウニーオレンジピール すごい柑橘の香り!
 ・胡桃入り生キャラメル   上品な甘さに、くるみの香ばしさ。
 ・メロンパイ        キラキラして綺麗! メロンの甘い香り。
 ・生チョコ         とろーんと柔らかく、洋酒が効いて大人の味。
 ・イタリアンアマレッティ  アーモンドプードルのメレンゲ菓子。杏仁の香り!

全11皿、全ての料理に驚きがあり、極めて満足度の高い内容だった。

宿泊料金には割高感があるが、レストランの料金に関しては良心的、
素晴らしい内容に比して、むしろ安いと感じた。
もし、予算面で星野リゾートを敬遠している方がいらっしゃれば、
まずは夕食だけでも、体験の価値があると思う。
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食後は、セピア色にライトアップされたピーマン通りを二人で散策。
季節は夏に移り変わろうという中、最後の春風が肌に心地よい。

また来年も、そのまた来年も…
こうして穏やかに、二人で季節を感じられますように。

  • 「畑」 空豆のソース・バルサミコ・オリーブオイル。サラダのように混ぜ合わせていないから、素材の味が分かる
  • 「自然」 左から順に、水・土・森・太陽。器の絵柄が、料理の内容を予感させる
  • 「相性」 牛肉のグリル・二種のソース。対角線を描くような配置も独創的!

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7位

レストランRyu (漕代、斎宮 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.2
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2018/12訪問 2019/01/07

シェフ自ら焼いた皿と、地産地消のご馳走でもてなす。とろとろ軟骨とブイヨンの旨味が詰まったリゾットは絶品です!

[三重県明和町]
2018/12/28(金)
近鉄山田線・斎宮(さいくう)駅の南方にある、"懐石フレンチ" レストラン。
食べログスコア★3.71/ 103件の人気店。

場所は… 伊勢市の北西。
伊勢道・玉城インターから北へ10km(車で15分程度)、伊勢神宮から約20km。
公共交通の場合、近鉄山田線・斎宮駅からタクシーで5分。
駅前の明和タクシーに電話して「金剛坂交差点のレストランリュウ」と言えば通じる。
タクシーは2台しかないので、事前予約がベスト。

何の変哲もない、住宅地の中に佇む一軒。
シェフは陶芸家でもあり、自らが焼いた器でもてなすというコンセプト。
店の入口には、自作陶器の販売コーナーもある。
いずれも地元の伊賀土を使って焼き上げているそうだ。
料理の方も、地物の食材に徹底的にこだわっているというから、期待が持てそうだ。

完全予約制。全組一斉、18:30からのスタート。
ディナーは1種類のみ。主役となるのは、1ヶ月以上熟成させた松阪牛。
オプションとして、松阪牛を1.5倍に増量したり(¥1296)、魚料理を伊勢海老に変更したり(¥4320)することも可能。
希望により、松阪牛を鹿・豚・鴨などに差し替えることも出来る。

客席は 2~4人掛けテーブル×4卓(全10席)。全席禁煙。
焼き上げた茶碗を窯から出した際、表面のガラス質にヒビが入る貫入音が、BGMとして流れる。
♪チリ、チリンという、風鈴を手で持って鳴らしているような、硬質な音。

定刻にはきっちり満席に。
観光地から離れた辺鄙な場所を満席にしてしまうのは、ひとえに店の力量であろう。
この地で生まれ育った男性シェフと、女性ホール係の二人体制。
地元食材・地元資源への徹底したこだわりを持つ。

テーブルナフキンには、明和町の御糸織(みいとおり)を採用。
卓上には初めから「COIN」と書かれた、白いラムネの粒みたいなものが置かれている。
これに熱いハーブティーを注ぐと、白い粒がほどけてお手拭きになる仕組み。
自家栽培ローズマリーの香りが広がり、ぐっと豊かな気分でディナー開始!

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■天空23年熟成ラムのスパークリング(¥864)
グアテマラ産の高級ラム「ロンサカパ」23年を、贅沢にもソーダ割りで。
甘い香りが、グラスから弾き出てくる。
でっかいロックグラスを、陶器の皿の上に置く演出もユニーク。

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■ラ・フランスのノンアルコールスパークリング(¥540)
同行者が注文。すごい果汁感あり、見事なまでのフルーティーさで、これは美味しい!
こうしたお洒落なノンアルコールドリンクがあると、お酒を飲めない人にもドライバーにも嬉しいね。

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■薔薇のノンアルコールスパークリング(¥540)
自家製の薔薇シロップで作ったドリンクのようで、華やかなピンク色、香りもまた華やか!
味の方は、ちょっと甘めだったかな。

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■キール(¥648)
赤ワインにカシスリキュールを加えた甘口カクテル。
今回はこれを食事のお供にした。

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■12月のディナー(¥6480)
◎明和町産大根とほうれん草のカプチーノスープ
 冬の料理らしく、温かい一品からスタート。大振りな抹茶椀で供される。
 中身は泡立ち、やさしい緑色で、まるで抹茶ラテのよう(^-^)
 味わいは「和風の魚介出汁」を強く感じる。シェフ自ら "懐石フレンチ" と称する方向性。
 不思議と愛知県のシンプルな雑煮を思わせる、記憶の中にある、懐かしい味。
 身体が温まり、気分が解れてゆく。

◎月替わりの十寸オードブル
 すべて地元・明和町の野菜で構成される前菜。
 懐石の "八寸" は、直径八寸(24cm)の皿に盛り付けられる前菜だが、
 それより二寸大きな(30cm)、シェフ自ら焼き上げた陶器の皿を使って提供。
 緑の色使いでクリスマスのイメージであることはすぐ分かったが、中央部分が白く残されており
 クリスマスリースのイメージなんだとか!

 ・大根    酸性にすることで鮮やかなピンク色が生まれる。漬物ではないので酸味は穏やかでナチュラルな味。
 ・菊芋    シンプルに塩味で仕上げてある。サクサク♪
 ・黄色カリフラワー こちらも塩味。調理で色を付けたのではなく、もとから黄色い野菜。
 ・金時人参  濃い赤色が特徴。レモンで甘酸っぱく、爽やかな人参さん。
 ・黒大根   塩味強め、和の出汁を効かせて日本酒に合いそう。
 ・志摩かぼちゃ こちらも塩味強めに茹でてある。まさに地の味。
 ・ヤーコン  浅めの酢でピクルス仕立てに。サクサク食感の健康野菜。
 ・パープルカリフラワー これも最初から紫色。アントシアニン豊富で身体に良いかも。
 ・カブ    食感にこだわり。茹ですぎてふにゃふにゃにしては駄目とのこと。
 ・ハヤトウリ メロンみたいな見た目だが、和出汁を効かせた深い味わい。
 ・シルクスイート 甘みの強いさつまいも。砂地で育つので、そのイメージでグラニュー糖をまぶしてある。

 皿の中央には「おたふく春菊」が一枚。
 アクが少なく、生で食べられる春菊。たった一枚だが、一口で鍋を食べているような気分に(笑)
 その脇には、松阪極み豚のジャンボン・ド・パリ。
 加熱をした一般的なハムで、弾けるような弾力を感じる。シンプルな塩味。
 鶏むね肉のフランボワーズソースは、ビーツも使って、梅干しを連想させる色合いに。

◎明和町の米を使った豚軟骨のリゾット・ねぎ油仕立て
 これが非常に印象に残った一品。
 フレンチのコースであるが、まるで中華料理のようにガツンと旨いのである。
 最初にシェフが各テーブルを回り、小鍋に作りたての「葱オイル」を見せてくれる。
 地元産の葱の香りが油に溶け出し、弾ける。そのままアヒージョにしたり、ラーメンスープに浮かべても旨そうだ。

 テーブルに運ばれてきたあと、シェフが豆乳カプチーノソースをふわっと注いで出来上がり!
 米は、地元産の御糸米(みいとまい)を半年以上熟成させて使用。
 しっかり米の芯を残しつつ、これでもかというほど旨味を閉じ込めてある。

 トッピングは、5時間グツグツ煮込んだ「阪極み豚のバラ軟骨」。
 とろとろ、沖縄の軟骨ソーキを思わせる、口の中でとろけるコラーゲン質!
 味付けがしっかりしていて、これは泡盛が飲みたくなる(^-^)
 シェフいわく「命のブイヨン」、3つの旨味成分が全て入っている。非常に濃厚な味の競演。
 さらにねぎ油がたっぷり入っているので、非常にコクが強く、最後まで温かいままいただける保温効果もありそう。

 リゾットというのは見た目が地味で、写真だけでは魅力を伝えにくいが、これ本当に美味しい。
 リゾット増量というオプションがあるけど、リピーターがそのオーダーをするのも理解できる。
(でも増量しなくても、結構なボリューム感です!)

◎南伊勢町の伊勢真鯛、明和町で採れた白菜の芯
 大根おろしを思わせるエスプーマは、伊勢二見浦の海水を薪で煮詰めた天然塩を泡状にしたもの。
 伊勢の海から釣り上げられた真鯛と、伊勢の塩が、皿の上で再び邂逅する。
 そしてシェフお手製の皿は、二見浦の夫婦岩を描いたもの。
 自分自身で食器を手掛けているから、ここまで完璧なストーリーが演出できるわけだ(^-^)

 真鯛は皮目がパリッと香ばしく、塩味は強め。シンプルに白身の旨さを引き出している。
 クリーミーなソースには、王道のフュメ・ド・ポワソン(魚と野菜の出汁)を使用。

 付け合わせには、近場で採れた白菜の「芯」を、バターで香ばしく炒めたもの。
 芯というと家庭料理では節約料理の対象という感じだが、芯にしか出せない甘みと食感がありそうだ。
 シェフは「バターで炒めると、牡蠣のような香りがある」と表現。
 淡泊な味わいの鯛を引き立てる。

◎あおさパン
 手で割ると綺麗なグリーン!
 まるで、お好み焼きに振り掛ける青海苔を食べているみたいな感覚。
 マヨネーズ・ソース・鰹節を掛けたら、美味しいお好み焼きパンになりそう(^-^)

◎摘み立てポールミントのハーブティー
 魚料理のあとはシャーベットで口直しというのが基本だが、真冬だから温かいものにしたいというシェフの発案。
 シェフ自作のお猪口がたくさん運ばれてきて、好きなものを選べる(^-^)
 こういう仕掛けは、個人的に大好き。
 私はかなり迷いつつ、椿の柄を選択。同行者は■を手に取った。

 急須から湯気をたてて注がれるのは、近場で採れた「クールミント」のハーブティー。
 ペパーミントやスペアミントより、雑味が少なくクリアな味がするという。
 蜂蜜を使っているのだろう、蜂蜜りんごのような優しい味わいで、メインを迎える準備は万全!

◎松阪牛のグリル・明和町のマイヤーレモン添え(肉1.5倍 ¥1200増)、リュスティック
 1ヶ月熟成させた松阪牛を、伊賀の土鍋を使い、2時間掛けて火入れする渾身の一品。
 シェフが各テーブルを回り、焼き上がった塊を見せてくれる。
 照焼きのような甘辛い香りに、食欲がそそられる。
 ちゃんと写真撮影タイムも設けてくれるのは、食べロガーにとって嬉しい(^-^)

 皿は陶器でなく、黒い石をシェフが「肉叩きで叩き割った」もの。
 カットされた松阪牛の、薔薇色の鮮やかなこと!

 12月は明和町のマイヤーレモン(レモンとオレンジを掛け合わせた品種)が添えられる。
 さらに仕上げとして、シェフ自ら各テーブルで、レモンピールを皿の上にすりおろす!
 あたかもカクテルを仕上げるバーテンダーを思わせるパフォーマンス。
 伊勢に降る粉雪に見立てた、この季節ならではの爽やかな香りが、食卓を風のように駆け抜ける。

 一切れ目はソースを付けずに、そのままの肉の風味を愉しむ。
 塩味がきちんと効いており、ジューシーな肉汁が感じられ、とても美味しい。
 何より感心したのは、レアさを感じさせる火入れ加減でありつつ、歯切れが良いこと。
 普通、肉はレアであるほど歯切れが悪いものだが、低温でじっくり火を通してあるから、肉の柔らかさと歯切れが両立している。
 シェフが「火入れは最高の調味料」と書いているが、その真意は十分に伝わってくる。

 二切れ目からは、グレービーソースとマイヤーレモンを絡めていただく。
 塩味に加え、タレの甘辛さと酸味のコントラスト、口の中で複雑な味わいが交錯する。
 松阪牛は100%赤身なのでしつこくなく「1.5倍」のボリュームであっても全く食べ飽きない。
 白い堅焼きパンのリュスティックとともに食べ進めば、あっという間に完食である(^-^)

◎明和町の紫芋を使った絞りたてモンブラン
「絞りたて」なのがポイント。沖縄土産の紫芋タルトを彷彿とさせる。
 タルト生地はスパイスの香りを効かせたもの。
 メープル風味のクリームに、胡桃のアクセントというのも、なんだか冬らしい。

◎ムジカティー
 大阪堂島(現在は芦屋に移転)の紅茶専門店「ムジカ」で買い付けた茶葉を使用。
 コーヒーはなく、この紅茶に合わせてデザートが設計されている。

 うさぎさんを乗せた、水色のドット柄の斬新なティーポットで登場。
 ドット柄のソーサーも、楽しげな感じ♪
 一杯目はストレートで、味が濃くなる二杯目はミルクティーで、ゆっくりと愉しめる。
 時間が経って濃い味になった紅茶、この飲み方がまさにしっくり来る。
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食後はお客さんたちが長居せず、ささっと帰宅していったのが印象に残る。
サービスの女性は、終始凛とした対応。ちょっとだけ、話し掛けにくい感じもあったかな?
お会計は、クレジットカード利用不可なので注意。

レジ前に並んでいるシェフの陶芸作品は、非常に求めやすい価格で、使いやすそうな色柄のものが揃う。
旅の記念に、大胆な筆致で椿を描いたお猪口を購入。
手に馴染む形状、伊賀土の豊かな表情が滲み出ており、実家の家族にも好評だった。
なんと¥1250であったが、その数倍の価値を感じる作品だ。

2018年のラストを飾るご馳走を、同行者からプレゼントしていただき、とても幸せな気分に(^-^)
扉をあけると氷のような冷たさだったが、ダウンのファスナーを引っ張り上げ、温かな気持ちで二人、伊勢を発った。

  • 断面の色が素晴らしい! 低温で長時間火入れしているから、レアで柔らかいのに「歯切れが良い」。これは満点です!
  • 月替わりの十寸オードブル。クリスマスリースをイメージした器に、明和町の野菜を色とりどり織り込んで
  • 地元産の御糸米に、豆乳カプチーノソースで仕上げ。これでもかというほど旨味を閉じ込めてある

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8位

リストランテオット (銀座一丁目、銀座、有楽町 / イタリアン、イノベーティブ、パスタ)

1回

  • 夜の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2018/11訪問 2018/12/02

要所要所で「愛媛食材」を活かし、和食の技法も取り入れたイタリアン。鴨と最後のデザートには唸らされた!

[東京都中央区]
2018/11/17(土)
銀座三丁目・中央通りの西側にある、イタリアンレストラン。
2018年7月オープン。愛媛・八幡浜の食材を活かした料理を提供。

場所は… 和光前から晴海通りを日比谷方面へ進み、グッチの角を右折。
レンガ通りをしばらく歩き、"アンティーク" "すぱじろう" の向かい側。新しいビルの6階。
メトロ銀座駅(B1出口)から徒歩3分、JR有楽町駅から徒歩5~6分。日曜・第1月曜定休。

愛媛県八幡浜市にあるイタリアン「アマルフィ」の2号店にあたる。
個人的に愛媛にはご縁があるので、銀座への進出を応援したい思いもあり、予約を入れて訪れた。
店名のOTTOとは「8」の意味で、八幡浜の八と、無限の可能性(∞)を掛けているという。

店内は意外と広い。
客席はカウンター6席、2人掛けテーブル×1卓、8人掛け×2卓。
全席禁煙。BGMは静かなジャズピアノ。

柔らかな珊瑚色の椅子に、木製のテーブル。
窓側の2人掛けテーブルは、まるで屋外のように見える場所にある。

ディナーのコース設定は、一種類のみ(¥9504)。お水は有料。
料理内容は、月替わりとのこと。
八幡浜の海産物・果物・野菜を使うことに加え、
従来の技法に捉われない"イノベーティブ" な料理を提供します、との触れ込みだ。

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■アルコール
◎グラスワイン・スパークリング(¥1180)
 フランスのシャンパーニュと、イタリア産が選択できる。
 イタリアンなので後者を選択(^-^)
 キリッとした辛口で、料理の味を引き締めてくれそう。

◎グラスワイン「アサラ」(¥1062)
 南アフリカ産の白ワイン。
 さっぱりとした酸味、甘さは限定的でキリッとした印象の一杯。

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■ディナー(¥9504)、ガスなしミネラルウォーター(¥590)
前菜・メイン・デザートまで全10皿の構成。

◎ブロード・卵
 ブロードとは、イタリア語で "出汁" のこと。フランス語のブイヨンと同義。
 こちらは「甘鯛の出汁」に卵を加えて固めたもの。つまり茶碗蒸し!
 馴染み深い、和の旨さが口の中に広がる。
 すだちのエスプーマ(泡)が乗せてあり、香りも豊か。

◎ヨコワ・米
 ヨコワとは、クロマグロの小さなものを指す。
 柔らかい肉質の若いマグロを、パリパリとした米のクラッカーとともに。
 柿の甘さに加え、脇役の「刻み玉ねぎ」がいい仕事をしている。
 玉ねぎが甘いのである(^-^)

◎パン
 硬めに焼き上げられたバゲット。お替わり可能。
 オリーブオイルは瀬戸内産… というわけではなく、イタリア製オーガニックエクストラヴァージン「Particella 34」。
 フルーティーさが強く、なかなか気に入った。

◎真鯖・サワークリーム
 銀色の背も美しく、立派なサバが登場! これはもちろん八幡浜産。
 ライムとレモンでマリネされており、風味は爽やか。
 黒胡椒の風味に加え、塩味が明確でワインが進む味。
 サワークリームをブレンドしたマッシュポテトと合わせると、一層まろやかな味わいに。
 皿全体に青海苔の彩り。イタリアンとしては意外性のある香り。

◎シャコ・フリッタータ
 フリッタータとは、卵を使ったキッシュのような料理。“フリッター” とは全く別物。
 レモンマリネした八幡浜産のシャコとアサリが主役。
 さらに、シャコの出汁を効かせた卵でとじ、ケール・野沢菜・紫キャベツが添えられる。

 とにかく「シャコの殻を煮出した出汁」が効いていて、和食のエッセンスを感じる。
 食欲をそそる香り。しっかりとした塩味で、白ワインにぴったり合う。
 レモンマリネの効果で、全体に爽やかな酸味がある。
 ちなみに、洋風料理で野沢菜を食べるのは初めて。
 長野でこんな料理を流行らせたら、面白いかも?

◎車海老・椎茸
 八幡浜で水揚げされた立派な車海老、
 その上に「ラルド」と呼ばれる、薄く上質な豚脂を乗せてソテーに。
 ぷりぷりで旨味たっぷり! 食べ応え十分。
 泡は、甲殻類の出汁のエスプーマ。周囲には梅肉パウダーが振られる。
 でっかい椎茸も、もちろん愛媛産。

◎ブシャルディ・渡り蟹
 ブシャルディとは、空洞のあるショートパスタのこと。
 渡り蟹のほぐし身がたっぷり!
 かぼちゃソースの甘さに、蟹の甘さが呼応する。
 周囲に振られたパウダーは、かぼちゃの種というから意外性がある。
 自家製ドライトマトの尖った酸味が、味わいのアクセント。

◎スパゲティ・トリュフ
 黒トリュフと生マッシュルームを、ふんだんに散りばめたスパゲティ!
 不思議とミルキーな香り。
 香りにそれほど敏感でない私だが、これだけ盛大に乗ってくると、さすがにその魅力を理解できる(^-^)
 パスタはアルデンテ、硬めの茹で加減。
 塩味は強めに付けられており、白ワインによく合う。

◎鴨・人参
 シャロン鴨のグリルに、発酵人参のソース、紫人参パウダーを添えて。
 分厚いカットで、見るからに食べ応えがありそうな鴨。
 発酵人参のソースは、思ったより甘い香り。

 フランスのシャロン地方で育てられたシャロン鴨。
 肉質は柔らかくてジューシー。火入れの加減が絶妙。
 塩・黒胡椒の味付けが明確。
 肉の内側に旨味が閉じ込められており、噛むほどにじゅわりと美味しさが広がる。
(個人的に、鴨は濃いめに味付けした方が美味しいと思う)

 ちぢみほうれん草は、冬が旬。
 葉に甘みを貯め込んでおり、発酵人参の甘口ソースによく合う。
 最近食べた鴨料理の中では、間違いなくトップに躍り出る美味しさ!

◎早生みかん・レモングラス
 愛媛県産のみかんに、レモングラスのソルベを添えて。
 みかんは生のまま使用。天然の甘さをそのまま楽しめる。
 蜜柑ピールが、香りのアクセント。
 外側にはレモングラスのソルベ。

◎りんご・サンブーカ
 デザートは、液体窒素の白煙をまとって登場!
 イタリアのハーブリキュール「サンブーカ」で風味付けした、りんごのシャーベット。
 そこへ薄く作った「りんごあめ」を割り、食感のアクセントに。
 彩りに薔薇のエディブルフラワーを散らし、アップルティーソースでまとめてある。
 甘過ぎず、エルダーフラワーの香りが爽やかで、見た目にも楽しさがある。これは完成度高い!

◎エスプレッソ、小菓子
 栗のプチシュークリームと、チョコレートで可愛らしくシメ。
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2人で2杯ずつ飲んで、お会計¥23000。
クレジットカード利用OK。

最初の接客は、それほどフレンドリーな感じではなかったが、
食後はスタッフの方も厨房から出てきて下さり、楽しい会話が弾んだのは好印象。

少し気になったのは、客入りに比べてスタッフの数が 5名と多いこと。
客としては有難い話だが、経営面が心配になってしまう。

もう一つ、愛媛発のイタリアンということで、食材説明をもう少し聞きたかった気もする。
逆に言えば、愛媛食材に「過度に」こだわりすぎず、良い食材を使い、美味しい料理を目指す方向性かなと感じた。

全体的にしっかりした味付けで、料理の腕は確か。特に鴨の一皿と、デザートには唸らされた。
また季節を変えて、伺いたいと思える一軒だ。

  • 冬が旬のちぢみほうれん草は葉に甘みを貯め込んでいる。鴨は贅沢な厚切りで、火入れが絶妙!
  • 不思議とミルキーな香り、パスタは硬めの茹で加減。塩味は強めで、白ワインによく合う
  • 甘過ぎず、エルダーフラワーの香りが爽やか。エディブルフラワーの彩りが鮮やか

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9位

桔梗苑 本店 (加納、岐阜、茶所 / 焼肉、ホルモン、韓国料理)

1回

  • 夜の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2018/04訪問 2018/05/05

岐阜最高峰の焼肉店。霜降り和牛の旨さはもちろん、特選ミノの食感は快感そのもの!

[岐阜市]
2018/4/30(祝)
JR岐阜駅の南方(加納矢場町2)にある焼肉店。
食べログスコア ★3.70 /50件。焼肉店としては、岐阜県内で最高スコアを誇る人気店。

場所は… 岐阜駅南口の通りを真っすぐ進み、加納城南通3の交差点を左折。
国道へ出る一本前の細道を右折。次の角を右折したところにある。
岐阜駅から徒歩25分、車で10分程度(1.5km)。駐車場あり。基本的に無休。

創業1968(昭和43)年。静かな住宅街の、細い路地に立地する。
間口こそ狭いが、板張りの塀で囲まれた重厚な日本家屋。
まさに "和風焼肉" と称するにぴったりの風情を醸す。

こちら本館と、道路向かいの別館がある。
今回は 4名で予約を取り、本館を利用。
予約のとき「席は 2時間制です」と言われたが、席に空きがある場合は比較的ゆるい運用のようだ。

玄関で靴を脱いで上がる。
パーティションで囲われた、個室風の掘りごたつ席に案内された。
タバコに関しては分煙。

店舗はリニューアルされたようで、非常に清潔感がある。
各テーブルの中央に、埋め込み式のロースター。
排煙設備も完備されており、煙臭さも全く感じられない。
焼き網も快く交換していただける。

飛騨牛などの銘柄牛を含め、コース形式で焼肉を楽しめる。
コースは ¥4320、¥5400、¥6480の 3種類。

もちろん単品注文で、好きな肉を選ぶことも可能。
メニューの一部を紹介すると…
〔精肉〕  黒毛和牛上ロース、つぼ漬けカルビ、上ミスジ、上いちぼ、ヒレ
      骨付きショートリブ、上ランプ
〔ホルモン〕タン塩、上ハラミ、特選ミノ、和牛シンゾウ、和牛レバー
      しろセンマイ(湯引き)、豚コブクロ、テッチャン、知床どり
〔サイド〕 桔梗苑特製サラダ、チシャバ、ニンニクオイル焼き
〔スープ系〕テールスープ、カルビスープ、野菜スープ、韓国豆腐チゲ
〔食事〕  冷麺、ビビン麺、石焼ビビンパ、カルビクッパ、赤出し、ライス

米は山形県産「夢ごこち」を使用。こだわりをもって選んだものだという。
ワインやシャンパンの品揃えに力を入れているのも特徴的。

卓上には 3種類のタレがセットされている。
 レモンダレ(タン塩向き)、ポン酢ダレ(イチボ向け)、醤油ダレ(全般)

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■冷酒「TERA」(グラス¥648)
各務原の蔵元・林本店が開発した "焼肉に合う純米酒"
なんとロックスタイルで登場!
爽やかな甘酸っぱさは白ワインのよう。「かち割りワイン」のようにカジュアルに楽しめる一品。

■スパークリング日本酒「のの」(¥1782)
山口・五橋酒造。紫蘇の風味が付けてあり、ほんのりピンク色で女子ウケ確実な一本(^-^)

■チェジュ生マッコリ(750ml¥1296)
済州島で醸される、非加熱の生マッコリ。
父いわく「酸味強め」との評。それが口をさっぱりさせ、焼肉には合うと思うが。

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■6000円コース(¥6480)
全11品(うち焼肉 6品)のコース。
肉は塩から始まり、それからタレへ移ってゆく。
あっさり系からコッテリ系へ食べ進む、王道の流れである。

◎キムチ盛り合わせ
 白菜・カクテキ・オイキムチ。
 最初やや甘めの味付けに感じられるが、旨味がぎっしり詰まっており、
 さすが名店のキムチだと感じる。

◎桔梗苑特製サラダ
 ドレッシングは、韓国風・イタリアンの二種から選べる。
 シンプルなグリーンサラダに、旨味たっぷりの塩ドレッシングを掛けて。
 コクの秘訣は、松の実と胡麻油だという。

◎スープ
 塩味の玉子スープ。シンプルながらコク深い。
 味はやや濃いめで明快。
 個人的に、ぼやけた味よりこういう味付けの方が好み(^-^)

◎タン(塩)
 この店で一番人気だという。
 輪切りのネギが盛られ、円形に並ぶ姿はいかにも美味しそう!
 お約束のレモンダレで。
 通常よりやや厚切りであるが、厚すぎないので火の通りが良く、
 タンならではの弾力を存分に楽しめる。

◎和牛特上ヒレ(塩)
 三角形に切り揃えられた、端整な霜降り肉。
 極めて柔らかく繊細な味わいが特長で、ポン酢ダレで食べるよう勧められる。
 ジュワッとあふれ出す肉汁の旨味、思わず酒が進みます(^-^)
 ジューシーさを身上なので、焼きすぎないよう注意して!

◎和牛上ロース(タレ)
 サーロイン・リブロースを使用。
 霜降りの美しさは、和牛ならでは。

◎和牛上カルビ(タレ)
 トモバラと呼ばれる、味わい濃厚な部位を使用。
 カットは分厚くて豪快、口の中が肉汁パラダイスに…
 この歳になると、たくさんは食べられないかな(笑)

◎和牛上ハラミ(タレ)
 味わいの濃い、横隔膜の部位。
 こちらはホルモンの一種なので、じっくりと火を通して…
 脂身は少なめな部位のはずだが、非常にリッチな食べ応えであった。
 自家製ダレの実力を、余すところなく感じられる一皿。

◎特選ミノ(タレ)
 脂の乗った精肉が続いたあと、ここで待望のホルモン登場!
 美しく切り揃えられた和牛ミノ(第一胃)。
 火の入れ加減さえ間違えなければ、ジャキジャキとした極上の食感が味わえる(^-^)
 包丁の入れ方も、この食感を際立たせているのだろう。
 味はあっさりとして、クセは皆無。何個食べても飽きがこない。
 今回食べた肉の中で、最も印象に残ったのはこの「ミノ」であった(^-^)

◎食事
 冷麺・クッパ・ビビンバ(いずれもハーフサイズ)から選べる。
 私は冷麺を選択。
 自家製麺はもちもちとしてハード、歯応えが快い。
 スープはやや甘み強めだが、出汁がよく効いており、あとを引く味。

◎デザート
 以下の 4種から選べる。
  杏仁ブラマンジェ&マンゴーシャーベット、アルフレッド・コン・カフェ
  マスカルポーネのブラッドオレンジ&シャンパンゼリー添え、ぷるるん抹茶のココナッツミルク

 四者四様、4人それぞれ異なるデザートを頼んだが、
 私が選んだ「アルフレッド・コン・カフェ」だけ、5分以上遅れて出てきたのは少し残念だった(^-^;)
 バニラアイスに熱いエスプレッソを掛けて味わう趣向。
 まったりとした甘味で、会食を締めることが出来た。

 ちなみに、父の誕生日祝いでデザートにお祝いメッセージを描いていただいた。
 キャンドルも一本立てていただき、丁寧なご対応に感謝。
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肉のボリューム・質とも申し分なく、大満足の会食となった。
(個人的には、同行者と両親の第1回目食事会というシチュエーションだったが、
 無事楽しい会となり、何よりであった)

欲を言えば、料理や肉が運ばれてくるテンポが速すぎて、
食事を急かされている気がするのは、改善可能なポイントだと言えよう。

また、ロースターの火力調節はお店任せとなっており、
やや焼きすぎになったり、火を弱めてもらうと消えてしまったり… という一幕もあった。

いずれにせよ、清潔かつ落ち着いた環境で、上質な和牛焼肉を楽しめる店舗であることは間違いない。
ちょっとご馳走したい気分のとき、カジュアルな会食を楽しみたいときには最適なチョイスになるだろう。

  • 厚切りだが「厚すぎない」絶妙のスライスで、弾力ある食感を100%引き出す
  • 特選ミノ(タレ)。美しく切り揃えられ、丁寧に包丁が入れられている
  • 極めて柔らかくてジューシー。ジュワッとあふれ出す肉汁の旨味、思わず酒が進みます!

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10位

仙人小屋 (甲斐大泉、甲斐小泉 / 郷土料理、オーガニック、肉料理)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2018/05訪問 2018/07/10

五感で受け止める山の幸! ジビエもすごいが、山菜料理も驚きが止まらない!

[山梨県北杜市]
2018/5/28(月)
八ヶ岳高原ラインの途中にある、自然派食堂。
山菜やジビエをふんだんに使った、個性的なメニューを提供。
食べログスコア★3.65/ 133件の人気店。

八ヶ岳の南麓、中央道・小淵沢ICと清里を結ぶ、八ヶ岳高原ライン(県道11号)。
道の両脇に茂る新緑の木々は、いまが盛りとキラキラ輝いている。
標高にして400~500mを駆け上る山岳道路であるが、道幅は十分に確保されている。
ときおりコーナリングが入るので退屈せず、緑の美しさとあいまって、絶好のドライブコースと言っていい(´▽`)

小淵沢から清里へ向かう中間、少し清里寄りのところに、仙人小屋がある。
小淵沢ICから13km(車で20分)、JR清里駅から9km(車で15分)。
基本的には水曜定休、秋冬には定休日が増える(水木、水木金)。

"小屋" の外壁には熊の毛皮が何枚も貼られ、訪問者を出迎える。
並ぶ薪は、調理に使うのか、冬場の暖房に使うものか。

店内に入ると、すぐにお品書きが貼られている。
〔山菜系〕 春の山菜定食、山菜盛合定食、タラノメ天丼、こし油天丼、山うど天ぷら
      色々天プラ定食、焼タケノコ定食、タケノコ刺身、破竹の天ぷら、深山オニクスープ
      天然きのこカレー、百茸スープ、山菜天ざる、天然ワサビそば、とろろそば
〔ジビエ系〕熊&鹿焼肉定食、熊肉丼、熊のスペアリブ、熊の手の平スープ、熊カレー
      イノシシの顔面燻製、鹿のレアロースト定食、鹿しゃぶしゃぶ定食、鹿の心臓焼き
〔川魚系〕 ニジマスのノドチンコ、イワナ塩焼定食、ニジマス塩焼、ワカサギ天ぷら、新子天ぷら
〔その他〕 ハチノコ丼、ハチノコのつくだ煮

なんともインパクトの強いメニューたち(´▽`)
天然素材を使うため、季節によってメニューが大きく異なる。

注文をしてから、好きな席に座る。
客席はカウンター5席、4~6人掛け丸太テーブル×4卓、小上がり2~4席×3卓。
全席禁煙。BGMはクラシック。

「仙人」というから、気難しい親父さんでも出てくるかと思いきや、
穏やかな感じの女性だったのでまずは安心(笑)

その「普通さ」とうらはらに、レジでは、大熊の毛皮(40万円)を販売中。
それは買えないという貴方、熊の手のひら¥3000~ の購入を検討なさっては。
ほかにも熊の骨(オブジェ用)、熊の脂、狩猟用ライフルの薬莢など、
一歩以上突き抜けた品揃えだ。

店内には複数の石油ストーブが並んでおり、その上にやかんが多数置かれている。
(夏なので、火は焚かれていない)
やかんには、一つずつ異なる薬草茶が入っており、これらは全て(無料で)飲み放題だ。
いわば薬草ドリンクバー。

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■カラマツ茶(無料)
すごい香り! 何これ?
何とも表現しにくいが、どこかアルコールのジン(ジュニパーベリー・杜松の実などで
香り付けする)を連想させるような…
甘さはなく、特異な香りを楽しむドリンク。

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■ニッキ茶(無料)
すごい香り! そのまんまシナモンジュース!
こちらは甘味が含まれており、まさに "ニッキ水"。
昭和中期に育った方にとっては、懐かしい風味なのでは。

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■ノンアルコールビール(¥450)
銘柄は、キリン「零ICHI」。
自転車愛好家を除けば、クルマでしか到達できない場所のため、ノンアルの需要は高そうだ。

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■色々天プラ定食(¥2000)
これは凄い(´▽`)
見たら、もう笑うしかないボリューム!
もちろん全て揚げたて。きのこ汁・小鉢・お新香・ごはん付き。

わらび、こしあぶら、タケノコ、しめじ、舞茸、エリンギ、でかいキノコ、
ズッキーニ、ピーマン、茄子、いんげん、れんこん、さつまいも、かぼちゃ、カニカマ
…カニカマが入っているのが微笑ましい♪

見た目にも、また実際に食べてみても、とんでもない量…
同行者はさっそく戦意喪失し(笑)私が後を引き継ぐことに。
天ぷらはどれも美味しく、気合を入れて食べ進む。なんとか完食!

普通の食堂であれば、ゆうに2人分以上の量がある。
これで2000円とは、恐れ入る。

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■山菜盛合定食(¥2000)
おひたし・白和え・醤油漬けなど、全8品が整列する。
見た目には地味だが、これこそ山の幸、山の滋味の決定版!
ちなみに各山菜の説明はなく、以下には私が食べながら推測した内容を含む。

◎行者ニンニクの醤油漬け
 ビリビリビリ、涙が出るほどの辛さ!
 青い葉の部分はそうでもないが、白い茎の部分に辛味が集中している。
 醤油の旨味とあいまって、白飯が進む味。
 残り香はニンニクより強いので、要注意(ニヤリ)

◎シュンラン梅肉あえ
 ピンク色で可愛い外見。
 若いタケノコかなと思ったが、メニューを見るとシュンラン(春蘭)とある。
 Wikipediaによれば、花を酢の物にして食べるとあるが、これは花なのだろうか。
 興味深い…

◎ハコベのキャビア和え
 あっさりと淡い味付けのおひたしに、ぷちぷちとした食感。
 魚卵だろうか… と思ったが、メニューを見るとキャビアのようだ。

◎野セリの白和え
 セリというと香りが強いイメージだが、こちらは豆腐を加えてあっさりと。
 山菜は見ただけでは正体不明、メニューを見なければ判別困難~

◎ふきのとうのおひたし
 これは一口食べて判別できる。すごい香りと苦み!
 これぞ大人の食べ物(^-^)

◎ゆりねの甘煮
 おせち料理でお馴染み、それ以外ではめったに見かけない百合根。
 ほんのり甘く、クセなく仕上げてある。

◎きのこ汁
 これ、単なる吸物のレベルを超越している。
 凄い大きさのシメジ!
 ヒラタケ・舞茸・えのき茸・生きくらげ。シャキシャキ、シャキシャキ…
 驚いたのは、甘さ強めの甘辛い味付けで、かつ片栗粉のようなとろみがあること。
 なるほど、キノコにはこんな味付けも合うんだ…と、目からウロコ。

◎小鉢
 ふきのとうの酢漬。天然の苦味と、酸味が交錯する。
 ふきのとうといえば、天ぷらか味噌に混ぜるかというイメージなので、
 ピクルス風に仕上げてあるだけで驚きがある。

◎ごはん
 白いごはんに、桜の塩漬けがトッピングされる。
 桜特有の香りに加え、ほど良い塩気が加わる。
 桜の塩漬け、お湯に入れるイメージしかなかったが、意外と白飯にも合うものだ。
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インパクト満点のジビエ料理もいいが、一見おとなしそうなイメージの山菜料理にも
"仙人小屋" ならではの驚きが詰まっている。

冬眠前のクマみたいに、満腹になったお腹を引きずるようにして(笑)
のろのろと帰途についた。

  • 山菜盛合定食(¥2000)。8種類の山菜が勢ぞろい、これぞ山の滋味の決定版!
  • 全15種類? 目の前にすると、写真以上の迫力があります。同行者は見ただけでノックアウト状態(笑)
  • 甘辛い味付けのキノコ汁は、もう一つの主役。ヒラタケ・舞茸・えのき茸・生きくらげ…

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