某名店から鹿肉を譲り受ける機会が何度かあり、気が付いたら既に四頭分以上
の肉を持ち帰って捌き、調理し、食していた事に気付いた。
そうした中で、漸く判ってきた事。
<良い時期、状態の鹿肉とは>
・良い山(良いエサが豊富)の鹿
・夏に旺盛にエサを食べる為、夏~秋が最も美味い。
・小鹿は特に肉質が柔らかく上品
・罠で捕らえ、上手く締めた(とどめを刺した)ものが良い。
銃だったり締めるまでに暴れたりすると血種が出来やすく肉質に影響する。
・血抜きがうまく出来ているもの
・出来れば一旦冷凍されたものではなく、皮を剥いで分解された状態で
持ち帰ったもの。それを切り分けた後1週間以内に食す分はパーシャルで、
それ以外はラップをして冷凍庫に保存。
・冷凍したものを調理する前は、必ずじっくり解凍し室温に近づける。
・水洗いは必要最低限に。水分はこまめに拭き取る。
・生食は絶対避ける(確かにルイベしたものを生姜醤油で食すと堪らなく
美味いが)。
<鹿肉によく合う料理法>
・バターソースのグリル:
赤ワインとビネガー、塩コショウで軽くマリネした鹿肉と多めのブラウン
マッシュルームを耐熱容器に入れ、サワークリームとバターを加えオーブン
グリル。淡白な肉質にバターソースの脂分が良く合う。実はこの料理では
マッシュルームが一番美味かったりする。
・鹿肉のソテー:
塩コショウとオリーブオイル、赤ワイン少々とニンニク数欠けで軽くマリネ
した後フライパンで最初強火で表面を焼き、その後じっくり時間を掛けて
弱火で火を通す(ミディアムレア)。マリネする時間はせいぜい20分程度で
構わない。上記のマリネ時に敢えて足すならタイムを少々まぶす程度。
良いロース肉が手に入ったらこの調理で頂くのが間違いない。
・鹿のコンソメスープ:
まずアバラ骨やくず肉だけを塩少々、白ワイン少々と水から煮込み、アクを
取っていく。そこに野菜類(玉葱と人参とジャガイモをやや細かく切った
もの+セロリ微塵少々)とローリエの葉を加え、更に火を通す。塩コショウ
で味を調整。これだけで充分香り高い澄んだコンソメスープになる。骨周り
の肉もあっさり美味しく頂ける。
(上記以上の野菜やスパイスは加えない方が良いと感じる)
・鹿肉のカツレツ:
シンプルだが非常に美味い。塩コショウした鹿肉に溶き卵、小麦粉、パン粉
の順で普通のカツレツの様に揚げるだけ。パン粉は市販のパンから作った
ものの方が美味い。お好みで普通のウスターソースをかけても充分いける。
単純だが、鹿肉の香りも引き立ち、その味わいの軽さも相まって想像以上に
美味い。
チーズや香草を加えたガチめのコートレットも試してみたが、上記がベスト
という判断に落ち着いた。
・鹿肉のソテー、イチジクとナッツ(ピスタチオ)のソース添え:
ミクニシェフのYOUTUBE動画の中のソースのレシピを若干変えて妻が
作ってみた。塩コショウだけをした大き目の鹿肉をじっくり時間をかけて
フライパンでグリルし、すぐにアルミホイルと紙でくるんで余熱を通す。
ソースは赤ワインで戻した乾燥イチジクと砕いたピスタチオとバター。
これが思いの外上出来であり、肉の味わいとソースのマリアージュが
素晴らしいものだった。外でこれが出てきたら「いい店だね、ここ」と思う
位には上等な料理になった。
上記以外にもバーベキューソースを作ってグリルしたり、タレに漬け込んで
竜田揚げっぽくして食したり色々してみたが、鹿肉の旨さ・持ち味を充分に
引き出す料理となると、今の所これらがBEST5となっている。
尚、上手く処理して火入れを気を付ければ、思いの外柔らかい肉質になる事も
判った。
先日旧友と会った際に、市内ではそこそこ有名な飛騨牛を扱う店で食事をした
のだが、家で上記の様な料理を口にしていると、あんなものに1万ナンボも払う
のが正直アホらしくなった。
(牛脂でドーパミンをガンガン出したい人には良いのかも知れないが)
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