『天然ハマチ~ワラサ~ブリとは』Sanurai Jさんの日記

大味必淡(そうでないのも亦楽しからずや)

メッセージを送る

Sanurai J (50代後半・男性・岐阜県)

日記詳細

昨今の温暖化で日本付近を取り巻く海流が変わり、東北や北海道ではイカが
不漁になっている。
北海道では鮭の不漁も続き、それにとって代わる様にやたら鰤が獲れ始めた。
鰤は基本的に暖流に住む魚である。

天然鰤なんて、少し前までは贅沢品の部類に入る食べ物だったが、ここ1,2年
スーパーでもほぼ年中天然物の鰤の切り身が置いてある。しかも結構な安い
値段で。気候の変動が日常生活に反映された顕著な一例だろう。

ご存知の通り鰤は所謂出世魚というやつで、そのサイズによって呼び名が
変わる。地方によってその呼称はまちまちだが、一般的にはハマチ~ワラサ~
ブリとなる。
ザックリではあるが、大体35~50cm半ば位までのものをハマチ、60cm~
80cm前半位までをワラサ、それ以上になるとブリと呼べるだろう。
但し獲れる場所や時期によってその個体の太さは変わるので、冬の氷見辺りで
売っている天然物だとその太さから70cm位でもブリと呼べる見映えになる。

自分は海釣りをするが、やはり気候変動のせいなのか15年位前までは三河湾内
の浅瀬(~25M程度)で船釣りをしても釣れるものはせいぜいハマチクラス
だったのが、ここ数年はワラサ~ブリサイズまでが頻繁に掛かる様になった。
当然釣り上げた物は持って帰って捌き、食べる。
そして食べる度に思う。世の中一般の方々は、釣りたての天然のワラサ~ブリ
とはどんな味なのか知っているのだろうか、と。

厳寒期の七尾湾で獲れる物のような特殊な場合を除けば、10月前後で本州で
釣れた物をその日に刺身で食しても、まず誰もブリの類とは判るまい。
ハマチやブリと聞いて想像するその味、風味からはおよそかけ離れたものだ。
目を閉じて口にすれば、人によってはマグロかな?とすら思うだろう。

魚種によって「最も旨味が増すタイミング」というものは異なるものだが、
ハマチ~ブリに関して言えば、釣り物であれば締めてから冷蔵庫で4日は置いた
方が良いと思う。
そうして口にしてみて、漸くあのブリらしい独特の風味が出てくる。
ましてやハマチサイズの物なら、少なくとも天然釣り物について言えば皆様が
想像するあの味にはまずならない。あれは良くも悪くも養殖ならではの味、
なのである。
スーパーで売っている天然物でも、多分獲れたその日のものを出している事は
無いのではなかろうか。そうでなくては一般的なイメージの鰤の風味が
出ないと思う。

釣った魚というものは概して美味い物だが、魚種によっては必ずしも釣りたて
=一番旨い訳ではない、という事だ。
そしてその旨味を十全に味わうためには、やはり処理や保存方法にそれなりの
気配りが必要なのである。

**無断転載厳禁**
ページの先頭へ